鰐淵寺〜島根県出雲市




紅葉撮影も終盤に向かい、今年度最後の紅葉撮影は山陰に決めた。
数年前にJRポスターで見て以来、いつか行ってみようと思いながらも
場所が場所だけになかなか行く機会が無かったが、
近年、個人ブログでリアルな紅葉情報をチェック出来るようになり、
鰐淵寺は今が見頃ということで行ってみることにした。
3時30分、家を出発。
出発前に三次の霧ライブカメラを見ると雲海が出来ていたので、
立ち寄ってみようかと思ったが人気の紅葉スポットである鰐淵寺に朝一行っておいた方が良さそうなので今回は見送り。
ちょうど三次を通過した頃の高谷山からの景色は霧が街明かりを透過して幻想的な光景だったとか・・・
三刀屋から無料実験区間の山陰道を走り宍道で降りる頃にはすっかり明るくなっていたが、
雨上がりだったせいか出雲の街並みは雲海で幻想的な光景になっていた。
標高が高い位置にいる訳でもないのに雲海が見れるとは、予想外な光景に驚いてしまった。
このような景色がしょっちゅう見れるのか、はたまた雨上がりで出来た珍しい景色なのかはわからない。
7時10分、案内板に沿って鰐淵寺に到着。
早朝から混雑しているかと思いきや第一駐車場もガラガラで一安心。
早速、渓谷沿いの道路を歩いて鰐淵寺に向かう。
山奥にひっそりと佇む中に鰐淵寺があり静寂な時の流れを感じさせ、
かつて武蔵坊弁慶も修行していた場所らしい。
仁王門を潜ると素晴らしい紅葉に出迎えられたであろう景色も1週間遅かった。
出鼻をくじかれ今日は撮影は無理かもと不安になりつつ階段を上がっていくと
JRポスターで見た1度も来た事は無いが懐かしい光景が見えてきた。
本堂に続く階段、その附近に飾られた紅葉は、
幸い、日が当たらないお陰で仁王門附近より紅葉は遅く落葉はしていない。
落葉どころかまだ色も染まっていない葉もあり、赤、黄、緑、色とりどりの紅葉が楽しめそうだ。
周りの山に囲まれているため紅葉全体に日差しが当たるのはしばらくかかりそうなので、
早速、しっとりと色深い雰囲気を出すための撮影開始。





本堂に続く階段付近が有名だが、その隣の宝蔵殿の紅葉も素晴らしく
一面に敷き詰められた落ち葉、石垣に付いたコケも美しい。
ただよく見ると外灯あり、電線ありと残念な景色でもあった。
一通り撮影を終える頃に観光客やカメラマンがやってきた。
日差しが当たるまで時間があるので境内を散策して他に撮影ポイントを探してみたが、
このタイミングだと今回撮影した二ヶ所がベストポジションのように思えたが、
訪れる時期によっては撮影場所が広がるかもしれない。



時間が経つにつれて階段付近にも日が当たり出し、見上げると色とりどりの紅葉が透過して
久しぶりに美しく透過した紅葉に心癒される。
ただスポット的に綺麗でも全体を見ると午前中は撮影に向いておらず
午後の方が全体に日差しが当たって綺麗かもしれないが、
その時間帯には大勢の観光客が階段を行き来しているだろう。
日の当たる明るい光景は断念して10時40分、撮影を切り上げた。
第一駐車場は既に満車。
辺鄙な場所にある鰐淵寺だが、大勢の観光客が訪れるのはそれだけ有名で美しいということなのだろうか。
今日の天気予報は晴れのち雨。
急いで次の紅葉スポットへ向かう。








安来清水寺〜島根県安来市

山陰道を東に走らせ安来で降りると案内板が出ていたので迷うことなくたどり着いた。
12時20分、青空が広がり最高の行楽日和で、紅葉の名所である清水寺に訪れる観光客も結構多く近くの駐車場は満車になっていた。
今回、訪れるのは初めてで山陰に訪れるならと思って調べていて見つけた紅葉名所。
果たしてどんな紅葉を楽しませてくれるのか期待しながら向かう。
大門を潜って薄暗い遊歩道を歩いていくと日差しに透過される美しい紅葉がお出迎え。
これは期待出来るとさらに先に進んでいくが、この後がよろしくない。
見所と思える紅葉は無く、電線などの障害物も多い。
庭園、茶室のある蓮浄院は何故か休園で入れなかったが、
どちらにしても入園料600円は高くて入っていたかは微妙。
歴史あるお寺で国重要文化財にも指定されており、秋問わず春夏秋冬美しいようなので
訪れるタイミングによるのかもしれないが、今回は時間の関係上、深く散策はしなかった。



次回、いつ訪れられるかわからないのと、せっかく訪れたので一番の見所であって旅館附近で撮影して清水寺を後にした。
ちなみに境内にある旅館、特に松琴館は大正時代に建てられた古い旅館らしい。
実は旅館から見る紅葉が一番の魅力だったのかもしれない。
精進料理は予約無しでも楽しめるようなので機会があれば入ってみたい。


枕木山〜島根県松江市

山陰道を走っている時にあまりにも雪化粧した大山が綺麗だったので大山を撮りたい!と思ったが、
最終撮影地に間に合わなくなりそうだったので断念。
以前から寄ってみたいと思っていた枕木山へ向かう。
東出雲ICで降りて大根島を横目に枕木山山頂に続く山道を走り14時30分に到着。
山頂らしきところに着いたものの展望台は無し。
林道があったが大平山へ続く道のようでお寺に続く道は私有地で車の乗り入れは禁止されていた。
山頂に続く遊歩道があるのかもしれないが、時間の都合上今回は断念。
下山しているとNHKアンテナの広場に数台車が止まっており、
ここの広場から大山や中海などの景色が見下ろせる視界が広がっていた。
その広場から少し下りた所に視野の広がる場所もあり、どうやら山頂ではなくその道中がポイントのようだった。
今回は将来の雲海撮影のための現地調査だったので訪れて良かった。




大根島の廃船(通称:船の墓場)〜島根県八束町

枕木山を降りて大根島に上陸。
由志園に向かう途中の海岸に廃船がある。
今回の撮影のメインは紅葉ではなく実はこの廃船撮影が目的であった。
別に廃墟好きな訳ではないが、道路拡張工事に伴い、年明けにも廃船が撤去されることを新聞の記事で知り、
撮影するなら今年しかないと今回の紅葉撮影を兼ねて廃船撮影を決行。
どのように撮影するか頭の中でイメージしたが、
被写体を立体的に表現出来る午後の日差しを浴びる瞬間を撮影することにした。
15時00分、雨の予報を覆し真っ青に広がる山陰の空、午後の日差しを浴びる廃船は静かに眠っているかのように見えた。
この廃船は不法投棄されたものではなく、
約30年前、地元住民が防波堤代わりにと境港の漁業者から譲り受け国の許可を得て係留したものらしい。
何故、地元の人達が中海で防波堤代わりに船を係留しなければならなかったのか・・・
その歴史を紐解くと、この帆船撤去が妙に寂しく感じるようになった。
そのためにも今回はどうしても撮影して記録に、記憶に残しておきたかった。
同業者(カメラマン)らしき人が訪れ、撮影ポイントを言っていたが、
芸術的に撮るよりも普通の表情をした姿で収めたかったのが何気に私の拘りでもあった。
工事の様子を見る限りでは、拡張による埋立は廃船附近のみ。
年明けの工事が少しでも延びてくれればまた撮影するチャンスがあるかもしれないが、
果たして廃船はどんな運命が待っているのだろうか。




志園〜島根県八束町

15時30分、今日の最終撮影地である由志園に到着。
午後の日差しを期待して紅葉撮影を考えていたが時すでに遅し。
入口附近の一部の紅葉に日差しが当たり綺麗に輝いていたが園内の殆どは日陰になっていた。



午後の撮影を終えて夜のライトアップになるまで室内で待機。
さほど混雑していないのでソファーで少し仮眠を取っているうちに17時。
園内を見ると既にライトアップしていたので再び園内を一周して構図を練る。
幸い、三脚規制は無く園内も広いので撮影自体は難しく無いが、
問題はどの程度の混雑が予想されるか・・・
場所が場所だけに気軽に訪れる観光地では無いが、無料シャトルバスなども出ているのでまったく予想出来ない。
17時30分、撮影開始。
日中では気付かないことも夜のライトアップでは気付かされることがあり、
それがライトアップの面白いところである。
風の無い静寂な夜、水面に映り込む庭園は誰もが息を呑み込む美しさ、
黒い背景にライティングされたひっそりと佇む紅葉。
明るい時の紅葉とはまた違う美しさに訪れた誰もが感動していた。
訪れる人は多いものの京都のような混雑は無く比較的順調に撮影は進み19時に終了。
撮影のために5周園内を廻ったが、最後くらいは撮影抜きでと思い、
ライトアップされた紅葉を楽しませてもらった。








写真館 二千年一夜