井仁の棚田〜広島県筒賀村




与一野のしだれ桜を初めて撮影したのは今から5年前のこと。
朝日に輝く桜は美しく田んぼに映り込む姿に心癒されたものです。
しかし、撮影することが出来なかったのは桜の側に電柱があったからでした。
その電柱が移設することを1年前に知り、来年は絶対に与一野のしだれ桜を撮影したいと思い早1年が経ちました。
せっかく戸河内に行くのなら、久々に井仁の棚田へ寄り道してみました。
14時頃に棚田に到着。
晴れ渡っていた空も気付けば薄っすら雲が出てくる中途半端な天候。
棚田に水が張られているのは半分以下で田植えシーズンに比べると撮影段階ではないが、
この時期、菜の花や桜が撮れるのではないかと前々から4月に行ってみたいと思っていた。
実際に桜や菜の花はあるものの、棚田と絡ませた構図は微妙で撮影するには若干厳しい。
時間に余裕があったので時間をかけて周辺を歩いて構図探し。
石垣に生えた草を取っているお年寄りの姿を見ると棚田を維持する大変さを思い知らされ本当にお疲れ様と思ってしまった。



それにしても土筆の多さにはビックリさせられた。
土手に生えている土筆を見ると微笑ましく思うが、
斜面一面に生えている見慣れぬ土筆の群生は逆に怖いです。


与一野のしだれ桜〜広島県戸河内町





5年前はほぼ無名だった桜も時が経つにつれて有名になったのか、
道の駅でも宣伝していたりポスターに起用したりして訪れる人も増えているだった。
15時30分、5年ぶりのしだれ桜に再会。
樹齢100年にも満たない若い桜だが、若いだけに樹勢も良く見応えがある。
桜の周辺は、駐車場、休憩所なども用意されており、
募金を募って桜周辺の整備や芝桜を植えて地域一丸となった町おこしに力を入れているようだった。
ライトアップも去年から始まり反響を呼んでいる。
1本桜を撮影している者としては珍しく無いが、
それでも田んぼに映り込む桜の光景は本当に美しいと思えるので、
年に1度しかしない花見客にとってはさぞかし絶景に思えるだろう。
5年前に電柱で泣かされた構図を中心に撮影は進んでいくが、
午後の日差しは逆光になるためハレーションに気を付けなければならない。
逆光により透過して輝く姿にカメラマンから人気を呼んでいるようで、
大勢のカメラマンが逆光を狙ってシャッターを切っていた。



桜の開花状況は7分咲きといったところで、ここ数日の暖かさで一気に満開になるかと期待したが、まだ満開には至っていない。
早朝から夕方、ライトアップ、月光、霧中など想像するとキリが無いほど面白い被写体で、
来年はどんな感じで撮影しようか考えながらライトアップの時間を待つ。

19時が近づくと空も暗くなりライトに照らされた桜が浮き出て、
今年初のカエルの合唱とともにライトアップ撮影が始まる。
そして空に青みが無くなる頃に撮影は終了。
ライトアップも夜景と同じでシャッターチャンスは短く限られている。
撮影を切り上げる頃には早くも満天の星空が広がっており空気の鮮明さを感じさせれた。
そして眩しいほどの真ん丸お月様。
許されることなら、まだここに留まって月光撮影をしたいが明日の仕事を考えて早々と家路に向かった。





写真館 二千年一夜