若草山の山焼き〜奈良県奈良市






2002年以降、今回で10年連続の撮影に挑む若草山の山焼き撮影。
今年はどこから撮ろうか計画を立てていた時、ブログで薬師寺の東塔の工事が遅れていることを知り、
今回を逃せば2019年まで足場に囲まれた状態になるため、迷うことなく大池からの撮影に決めた。
2年前に大池にて初挑戦したものの見事にピンボケで失敗。
その屈辱を晴らすためのリベンジ撮影である。

午前3時に家を出て大池に着いたのは7時前。
薬師寺と朝日が撮れるかなと7時前に着いたが、今の季節、太陽が昇る位置は薬師寺から随分離れていた。
山焼き撮影最大の人気スポットの大池だが今年は例年以上に大勢のカメラマンが早くから集結していた。
2年前に止めたところに車を止めようと早く来たのに鎖をかけて止められなくなっていたので、
とりあえず路駐して機材を下ろして撮影場所を確保。
大池ほとりの歩道は数日前から場所取り完了されているため最初から病院内の敷地である憩いの広場。
当初、水槽附近から狙おうと思っていたが、報道陣が事前に有料で撮影許可を貰って場所を確保している話を聞いて、
その隣でのこのこと素人が撮るのは場違いだと思って断念した。
万が一、憩いの広場で撮影禁止の御触れが出てはいけないのでダミーでもう一箇所確保して場所取り完了。
去年は良くても今年はダメというパターンはどこでもよくある話で、
万が一、カメラマンのマナーが悪ければ憩いの広場も立ち入り禁止になる。
喫煙はもちろんゴミのポイ捨てなどあれば即翌年から撮影禁止に違いない。
それでも未だに暗黙の了解なのかアマチュアカメラマンが園内で撮影出来るのは、
一応、カメラマンのマナーが保たれているからなのである。
激戦スポットである歩道の場所取りにも暗黙のルールがあり、
そうと知らずに三脚を立てらす新参者がいれば大勢のカメラマンから非難を浴びることになる。
池のほとりの歩道も自転車や歩行の邪魔になるためニ列の撮影及び縁石に乗っての撮影及び観覧は禁止されており、
そうと知らずに撮影でもしていると山焼きが始まる直前に警備員や警察に注意されることとなる。
そんなこんなでいろいろと規制に厳しいスポットではあるが、
特に構図に拘りが無ければ歩道はスペースも十分あり、道路を挟んだ法面からも撮影は可能なので、
早からず遅からず午前7時頃に来て、先客カメラマンにいろいろと情報を貰って撮影場所を決めると良さそうだ。
憩いの広場で撮影出来そうな雰囲気になってきた時を見計らってダミー三脚は撤収。
現地に顔馴染みの写友さんが居たので近くのファミレスでモーニングをご馳走になり、
その後、午前中は平城京跡の駐車場で仮眠をとった。







数年ぶりに訪れた平城京跡は、去年の1300年祭のイベント広場になっており
私の知っている平城京跡は、何にもない一面に広がる空き地だったが
目の前に広がる景色はアスファルトで作られた駐車場や工事車両が走れる仮設道路になっていた。
今は元の姿に戻すための修復作業の最中らしいが、何とも言えない空しい光景だった。
そんな修復作業がいつまで続くのかはわからないが、今は駐車場も17時までしか止めることが出来ず、
例年だとここも大勢のカメラマンがいるはずなのに、後方に若干名いる程度。
大池にカメラマンが集中したもう1つの要因だったのかもしれない。



大池の近くに1000円で止められる駐車場もあったが、
少し離れたスーパーに広い駐車場があったので車を止めて昼食を物色。
15時まで再び仮眠を取りそのまま19時まで止めさせてもらった。
薬師寺の東塔が西日に当たり黄金に輝く頃になると、
訪れるカメラマンもピークになるにつれて警備員の注意も頻繁になり警察官やパトカーもパトロール。
歩道も人1人分というか一脚1本分のスペースも無くビッシリと隙間無く埋まり、それが数百メートルまで続く。
道路を挟んで憩いの広場にも大勢のカメラマン。
そんな光景を知らずに通る通行人は驚きを隠せず通過していく。
歩道には撮影スペースは無いが憩いの広場には撮影する場所に余裕があり、
望遠レンズで狙うため、少しでもスペースがあれば撮影は可能なのである。
お陰で待ち時間も自由に動き廻れて隣人とのストレスを感じることなく撮影は出来る。
夕方になって暗くなるにつれて薬師寺がライトアップされ奈良の街並にも灯りが灯りだした。
そして18時00分、花火が打ち上がる。
今年はパワーアップした去年をさらに上回り、尺玉30発を含む600発の打上。
その尺玉も去年同様、競技大会出品作の銘品が用意されていた。
3キロ近く離れているため花火の迫力どころか音すら聞こえない。
聞こえてくるのはパトカーから発せられる違法駐車の警告。
尺玉は塔1つ分まで上昇するため200mmくらいに設定してシャッターを切る。
花火の内容は例年通りの流れで、単発、対打ち、型物、尺玉、スタマ、尺+一斉打ち、尺+銀一斉打ち。
30発のうちのどれかを入れて露光しようと思いながらも、
今回、カメラは1台態勢なのでついついシャッターを切ってしまい、
こうなればラストの野村花火の四重芯を入れようと思ったのだが、思ったより高く上がらず
結局、シャッターを切ってしまった。
そういえば去年も野村花火の四重芯だけは高く上昇しなかった。
ラスト前の尺+一斉打ちで止めとけば良かったものの、欲が出てしまい最後の最後、尺+銀一斉打ちを山焼きの組み合わせにした。
絞りはF16、露光時間は100秒(5秒×10回、もしくは10秒×5回をランダム)
ここ数日、雪も雨も降らず全国的に乾燥注意報が出ていたお陰で今年も勢い良く燃えて良い山焼きでした。
しばらくは大池で撮ることは出来ないので悔いの無いように撮影した積りではあるが、
ラストの銀を選んでしまったことは心残りだった。
何気に小さく見えるはずの興福寺の塔も茂みに隠れてしまったし、
構図に拘りが無ければストレス無く撮れる場所ではあるが、次回同じところで狙うかどうかは今年の撮影結果次第。
その結果がわかるのは数ヵ月後先なのはフィルムの宿命である。



18時40分にシャッターを切り撮影は終了。
撮影後は市内で地元の写友の集まりに参加して22時前に奈良を出て家路を急いだ。






写真館 二千年一夜