阿知須花火大会〜山口県阿知須町






梅雨を目前にした6月上旬。
相生、鞆の浦と共に阿知須町でも瀬戸内で早く開催される花火大会だが、
今年は潮の関係か一足遅い6月第一土曜日に開催され他所とバッティングしなかったので、
前々から行ってみたかった阿知須の花火に行くことが出来た。
山口南ICまで片道2時間30分の高速道路を走り、秋穂の花火大会などで過去に訪れた事のある懐かしい光景を走り抜ける。
阿知須に着いたのは16時過ぎで5000台収容出来るらしい大駐車場はまだ開門されていなかったので
道の駅に車を止めたが、大駐車場に止めるといつになったら出られるのか帰りが怖いので、
最初からそこに止める予定は無かった。
ただ道の駅からだと会場まで徒歩30分の道のりなので、どっちに止めても良し悪し。
噂には聞いていたが、遅く着いたとしても場所取りには十分困りそうに無いまったりとした会場で、
逆にどこで撮ろうか迷うくらい空いていた。



花火業者が鎌田煙火に変更になったことで打上演出も変わったのか、
露店を前景に狙う場所だとどう考えても不自然な絵になってしまうので、
今回は会場を通り過ぎたほぼ正面から狙える場所で撮影を決めた。
立ち入り禁止の規制は無かったが、なるべく正面から狙おうと移動していると警備員に阻止され、
保安距離は十分あるはずなのに何故か立ち入り禁止だと追い出された。
会場内は警備員は多く駐車禁止も徹底している。
堤防に腰かけたものならすぐ警備員が飛んできて注意する徹底振り。
地元の人の話によると、以前は路駐も当たり前で規制もこんなに厳しくなかったらしいが、
前回の花火大会で子供が海に落ちたらしく、今年からかなり厳しい規制になったとか。
その話を聞いて、厳しい規制にも納得したが、
警備員の注意の仕方がとても丁寧で、このような注意のされかただとお互い悪い気持ちにならない。
実際に私が規制区域に足を踏み込んだ時も、
ただ注意するだけではなく、理由や観覧場所の案内など丁寧に教えてくれた。
もしかしたらその厳しい規制が保安距離もより厳しくなり打上場所が遠くなったのかもしれない。



時間は十分あるが体力消耗を避けるため会場内をウロウロするだけに止まり、
阿知須の小さな漁港を見ながら時間を過ごす。
知名度の低い花火大会だが、地元の人達にとっては欠かせない毎年恒例のお祭りであり、
昼の『踊り引き山車』『神輿』、夜の『管絃船』など多彩な行事が行われる。
花火が上がる前は庭でバーベキューの準備が整い、これから訪れるであろう大勢の家族の賑わう光景が目に浮んでくる。
大きな花火大会では決して目に入らない、まさに小さな町で行われるどこにでもある何気ないお祭りの光景が、
小さい頃に経験した記憶とリンクしてしまい、どことなく心癒されてしまう。
花火の質はともかく決して小さな花火も悪いものではない。

本部に行ってもプログラムは無く、詳細なスケジュールがわからなかったが19時30分から花火が打ち上がるらしいので、
それに合わせて準備をしていたが、実際に打ち上がるのは19時50分頃とアナウンスが流れたが、
空の暗さの加減によっては左右されるという曖昧なスケジュール。
そして19時40分、何の合図もなくいきなり花火が打ち上がる。
まさかの怒涛の一斉打ちに驚き呆気にとられたが、これはサプライズなのか演出なのか・・・
そして開会のアナウンスなどで本番は19時50分から始まった。
メッセージ花火、企業協賛花火、音楽花火の3部構成。
メッセージ花火は単発、企業協賛も単発、時折小型煙火など。
音楽花火は吉田兄弟のアップテンポな三味線に乗せたシンクロ花火。
中国地方ではなかなかシンクロ花火が見れないので4分間の演出を楽しませてもらった。
終わりのアナウンスも流れ、片付けようかと思いきや怒涛の冠菊連打が始まり、
最初から最後まで油断の出来ない花火大会だった。



花火終了後、大駐車場は予想通りの大渋滞のようだが、
道路がスムーズに流れているので解消されるのは時間の問題かもしれない。
そもそも施錠時間が22時なので遅くてもそれまでには出られそうだ。
その隣にある道の駅からは当然の如くスムーズに出ることが出来て、
特に渋滞も無く山口南ICに乗った。
天気予報では夕方から小雨の予報だったが、
実際に雨が降り出したのは21時過ぎ。
当てににならない天気予報もたまには外れるのも良いことだと思った。





写真館 二千年一夜