ふじさわ江ノ島花火大会〜神奈川県藤沢市






ハイシーズンである夏の花火シーズンを終えると、
もう1つの楽しみなのが10月に開催される季節外れの花火大会。
夏開催の予定が悪天候やその他何かの理由で夏に開催出来ない場合、大概10月に開催されることが多く、
去年は大井川の花火大会に出掛けている。
今年はどこか無いかと調べていると関東方面にて足立、成田、藤沢などビッグイベントな大会が目白押し。
その中でも藤沢の花火大会は、堀内煙火店による打上で、
玉数は3000発と少なめながら2尺玉2発、ミュージック花火、そして斜め打ちスターマインなど
三国の花火を縮小したような展開に、これは見ずにはいられないと気持ちが一気に急上昇してしまった。
しかし八代遠征を目前に遠征はなるべく控えたいところだが、
行くか断念するかそんな気持ちと格闘しながら10月に入って日々過ごしていた。

いつもなら鉄道の日記念切符で関東方面に行くのだが、
今年は3日間通し切符になっていたので、一泊二日で帰るとしたら1日分を捨てることになり勿体無い。
それでも格安夜行バスで行くよりも交通費は安くつくが、
電車の長旅は思いのほか疲れるので久々に夜行バスを利用することにした。
しかも格安夜行バスだと行きも帰りも22時発と出発時刻が遅く、
仕事が多少長引いても、花火会場が混雑しても乗り遅れることなく間に合う計算。
もし予約が取れなければ諦めも付くが、幸か不幸か予約が取れてしまったので正式に藤沢行きが決定した。

22時30分、福山発のバスに乗り込む。
乗車率90%の混雑ぶりに夜行バスの事故があっても人気は健在のようだ。
4列シートで中途半端な深夜の時間帯にSAで休憩を取ってくれるものだから熟睡出来る訳もなく、
しかし窮屈な夜行バスで熟睡してしまうとエコノミー症候群になったり喉を痛めたりするので、
こまめに起きてはお茶で喉を潤したりストレッチなどの対策が必要。
もちろん空気入れて膨らます枕も久々に活躍。
幸い通路側だったため足を通路に投げ出し、特にストレスも無く横浜までの移動だった。
当初8時横浜着の予定が、道が混んでいたのか30分過ぎに到着。
ここからすぐに藤沢へ行くにはあまりにも早すぎるので、
ちょうどコスモスが見頃を迎えている昭和記念公園に向かう。
実は、彼岸花の群生地で有名な場所も考えていたが、
既に見頃を終えていたので急遽計画を変更してコスモスの見頃を調査したところ昭和記念公園がヒットした。


〜国営昭和記念公園 東京都立川市〜

開園時間前に入園したかったが、横浜に到着したのが遅かったせいで現地に着いたのは10時前。
誰もいない時に撮影したかったが既に多くの観光客やカメラマンがコスモス園を堪能していた。
晴れ渡る青空に眩しい日差しが園内に広がり、秋にしては少し暑いが風は涼しくて心地良く、
まさに東京に住んでいる疲れた心を癒してくれるオアシスだと思った。
園内には、西、東、センセーションの3ヶ所のコスモス園があり、
西と東は満開を迎えていたが、一番撮影したかった花の丘はまだ1分咲きだったのが残念だった。
昭和記念公園の顔である巨大なケヤキを入れることで、
昭和記念公園らしさを出し、また刷毛で掃いたような雲が良いアクセントとなり、
これで人がいなければ文句無しだったが、考えを変えて広角レンズでダイナミックに取り込むことで
人の存在感を目立たなくしようと試みると思いのほか楽しく撮影が出来た。
遠征時は荷物になるので広角レンズの持込を辞めようかと思ったが、持って来て良かった。
赤やピンクのセンセーションが広がる西畑の撮影を終えて、
イエローのコスモスが広がる東畑は、色、構図ともに単調で面白くないので観覧のみ。
昭和記念公園には、4年前のポピーの時に訪れた事があったが、
東京都内にしては思った以上に良い撮影場所だと思った。
またいつか機会があれば開園前、閉園前の人が居ない時を狙って撮影してみたい。
入園してから1時間30分ほど過ごして藤沢へ向かった。




江の島までのアクセスはいろいろあったが、JR藤沢駅から早くて安いであろう小田急で片瀬江ノ島駅に向かい、
現地に着いたのは14時頃。
本来ならいち早く会場に向かい現地調査をすべきところだが、
何分、朝から何も食べておらず、オマケに睡眠不足、疲労、そして燦々と降り注ぐ西日が体を容赦なく襲い、
とても現地調査する気力体力が無かったので休憩がてら昼食を取ることにした。
昼食を済ませ、しっかり気力体力も回復した所で現地調査開始。
と言っても事前にネット調査して撮影場所は予め目星をつけておいた。
台船はまだ定位置についておらず、正式な場所決めの前に会場を散策。
有料席隣の一般席はカメラマンにとって特等席だろうか、隙間無く場所取りが完了されている。
ほぼ正面であろう特等席だが、正面に拘らなければ十分余裕はあり、
前回有料席だった階段護岸も今回は一般席として開放されて十分余裕だった。
砂浜の有料席でもフェンス越しで三脚を立てらせて撮影は可能のようで、
まだチケットが販売されていたので、予算的に余裕があれば有料席から撮影してみたい。



荷物を軽くする意味も込めて階段護岸に三脚を仮置きして水族館の方へ足を運んでみる。
大勢のサーファー達が波に乗っている光景を見ながら江の島と富士山を早朝撮影したことを思い出しながら海岸を歩いていた。
実に9年ぶりの江の島。
16時頃に台船が沖へ移動する姿を見て、思った以上に第二会場である堤防から離れている。
江の島のシンボルである展望台を絡ませて江の島らしい絵にしようと考えていたが、
横構図で歪んだ絵にするには抵抗がある
無限に広がる一般席、のんびりストレスも無く撮影は魅力だが片瀬海岸西浜での撮影は却下した。



江の島大橋の後方である東浜。
2尺玉を狙うには十分な距離であり大橋を入れることで雰囲気のある絵になりそうだった。
しかし距離が離れすぎていることでアナウンスが届くとは限らない。
それではせっかくのミュージック花火が台無し、花火の楽しさも半減されてしまうことは明白である。
到着が遅かったり、何度も通ってたまには気分転換に違う場所から撮りたいと余程の気まぐれが無ければ、
東浜から狙おうとは思わないだろう。


※大橋から望む東浜

江の島には何があるのか・・・
そう思わせるほどの観光客、はとバスまで止まっている人気観光地でかなり混雑しており、
あまりの混雑ぶりに島内を散策するのを断念した。
少しお土産屋を覗いてみたが、とても手軽に買い物出来るような値段ではなく驚かされる。
そんな江の島からでも花火撮影は可能で、
予定している撮影地が無理なら江の島から狙うのも悪くないと思った。
しかし既に観覧客による場所取りが終了しているので、
早めの確保が必要のようだ。



遠路遥々やってきて天気が崩れたらショックも大きいが、
最高のコンディションで花火が見れた時の喜びはかなり大きい。
湘南の空に広がる夕暮れ空は、まるで私を歓迎してくているような素晴らしい空が広がっており、
それは最高の花火が繰り広げられることを示してくれる合図にも見えた。





無料で貰った素晴らしいプログラムを熟読し流れを把握。
その内容からしてワクワクが止まらず、待ち時間何度も読み返して飽きないのが不思議である。
時間は刻々と流れ18時に本当に暗くなるのか?と思ったが、
18時が近づくと本当に辺りが真っ暗になってきた。
人の混雑も17時頃からピークが始まり大橋には大勢の観光客が行き交いしていた。
季節外れの花火大会。
中には花火大会があることを知らず、現地に来て初めて知る観光客もいるに違いない。
人気のある観光地なだけに混雑度はいつも以上だろう。

18時00分、10号玉の打上により幕が上がる。
怒涛のスターマイン、堤防、台船から二箇所単発の打上、
そして早くも斜め打ちスターマインで目の前は花火絵巻に感動が広がる。
単発は台船、堤防との距離が少し離れているため縦、横構図どちらも撮影するには難しい間合いとなってしまい、
もう少し右側に移動したら撮影し易かったかもしれない。
16に分かれたプログラムだが、いくつかまとめて進行しており、
単発の後にスターマインが始まり時々驚いてしまう。
時にアナウンスの紹介で10号玉が上がるのかと思いきや型物が上がり、
プログラムを見れば分かることだが、知らない人が見れば10号玉の型物!と勘違いしただろう。
ミュージック花火は音楽もクリアに聞こえる場所で、少し斜めからの撮影だったものの楽しく撮影させてもらった。
斜め打ち対策として2台態勢で挑んだが、ここでも横専用カメラが大いに活躍した。

プログラム11の10号玉8発は、たった一行の文面では想像出来ないほどの素晴らしい多重芯の作品の数々。
ゆっくり時間をかけて打ち上げて欲しいが、時間の都合上による展開なのは仕方無いにしても、
20号玉の打上前に1クッションおいてアナウンスで紹介してほしい。
何分、撮影するには心の準備が必要なのです。
そして宮島ではすっかり御馴染みの時間差による3段落ちの千輪はパート14の百花繚乱で披露。
前回はクリスマスツリーに見立てたカラフルな色だったので期待していたが、
宮島と同じような錦色にちょっと期待外れ。
それでも年に二度も見れるのは贅沢である。
個人的に好きな「You Raise Me Up」の曲に乗せてくれたのは本当に嬉しかった
蝶のような創造花火に点滅星をキラキラ輝かせ海もきれいに染まる光景は、何とも静なる美しさ。
音楽が無くても美しさは変わらないが、音楽があることで感動は一際高まる。
どんなに遠く離れた混雑のしない場所で最高の写真が撮れても、
記憶に残らない被写体に何の意味があるだろうか?
そしてラストのファイナルスターマインは、
先ほどの展開とは打って変わって三国を思い出さすかのような斜め打ちを含む冠菊の大放射。
2台のカメラのシャッターを夢中になって切っていた。
そしてスターマインが終わると一息吐く間も無く2尺玉が打ち上がった。
引き星が蜂のように変化する冠菊だったが風があったためかなり盆が広がったのでは無いかと思う。
そう考えると大橋から狙うには距離が足りず、離れた東浜から狙うのがベストなのかもしれない。
とりあえず縦、横両方シャッターを切ったが、ファイナルスターマインの余韻に浸ることなく2尺玉が上がるものだから、
気持ちの整理が着かないままシャッターを押してしまったので、果たしてどういう結果になっていることか・・・
そして2尺玉の余韻に浸っていると、締めの雷が打ち上がりシャッターを切ることを忘れてしまったことに悔いが残る。

藤沢には正直、行くかどうしようか迷いに迷った計画だったが、
本当に来て良かった。
そんな思いで一杯だった。
機材を片付けて、帰る前に懐かしい写友に声を掛けて江の島を後にした。
帰りの混雑は大会始まり前の混雑である程度覚悟はしていたが、
アクセスの選択があるので上手く分散されればさほど待ち時間は長くないと思っていた。
案の定、のんびり小田急の片瀬江の島駅に向かっても40分くらいで乗車することが出来た。
乗車率をもう少し上げれば駅前の混雑の掃けも早いかと思うが、
通勤ラッシュよりもゆったりとした状態で出発進行。
次の駅で乗車することを想定しても乗車率なのかどうかは不明だが、実際に次の駅で乗っている人も少なからずいた。
横浜に戻り、帰りの夜行バスの出発時刻まで1時間以上余裕があったので、
夕食を取ってのんびり出発時刻まで時間を過ごす。
各地方へ出発する夜行バス待ちの乗客で賑わう中、
広島方面はまだかなとウロウロしていると、既に到着しており、しかも私が最後の乗客であった。
予定より10分早く出発。
行きとは違い乗車率50%ほどの閑散した車内。
隣の席に人はおらず、帰りは行き以上にストレスの無い車内だった。
そして日曜日の朝の福山市内は空いているので、予定より1時間早く到着。
久々に夜行バスを利用したが、金曜日の夜に出発して日曜日の朝に帰って来れる、
ちょっとした弾丸ツアーだが、素晴らしい花火を堪能出来るのであれば最高の弾丸ツアーではないだろうか。
そう思うと早くも来年の弾丸ツアーを期待しながら家路へ向かった。






写真館 二千年一夜