奥出雲おろち号〜広島県西城町






今年は久しぶりに紅葉の色つきが良い、という情報が各地から届いていた。
大山山頂付近に雪が積もり、数年に1度しか見ることの出来ないと言われる姿が見られるチャンスだったが、
生憎、仕事疲れと体調不良により11月第一週の週末は家で待機していたため、
本格的の紅葉撮影は第二週からスタート。
しかし日曜日は雨の予報なので撮影チャンスは土曜日のみとなった。
前日までどこに行こうか迷ったが、高速代を浮かすべく奥出雲方面に決定。
というのも、数日前にイチョウの大樹が水田に写る記事を見つけて行ってみたいと思っていた。
せっかく奥出雲へ行くのなら、久しぶりに紅葉の名所である「おろちループ」附近でトロッコ列車撮影の計画を立てた。



現地に着いたのは11時30分くらい。
予報の晴れマークから一転、どんよりした曇り空が広がり、時折薄っすら日差しが射す程度。
標高が高いところだけに気温は10度。
風が吹けば体感温度が下がりかなり寒い。
おろち号といえばスイッチバックや道の駅附近からの見学が人気スポットだが、
撮り鉄の間では、油木〜三井野原の区間が人気のようで三井野原へ向かう途中、
待機しているカメラマンをよく見かけた。
今回撮影場所として選んだのは、雑誌などにも載っている有名なポイント。
唐松が黄色の色つき、秋ならではの美しい姿を見せてくれる、
まさにおろち号撮影には欠かせない場所。
それだけに早くから待機しているカメラマンもいたが、
今回は上手い具合に他所にばらけため混雑することは無かったようだ。
12時前くらいに備後落合駅に向かうおろち号が通り過ぎたのは、
事前に時刻表を確認してなかったので不覚だったが、
後ろ向きで下っていた姿は何とも不思議な光景だった。
そして1時間後に木次駅に向かうおろち号を狙うべくスタンバイ。
三脚は場所的に立てられなかったので手持ち撮影となったが、
逆にそっちの方が都合よく撮影出来て良かった。
最高な被写体を目の前にしつつも、太陽は廻りの景色に日を射すことは無く、13時頃におろち号が通過。
太陽が出ていれば最高のロケーションだっただけに残念だったが何よりもシャッタースピードが1/60しか上がらなかったことに、
フィルム撮影の限界を感じつつ撤収した。




金言寺の大イチョウ〜島根県横田町

おろち号撮影後、道の駅に立ち寄ると観光客で駐車場は満車状態。
蕎麦処でもある奥出雲は、どこの蕎麦屋も行列が出来ており、
すっかり観光地化されたことに嬉しく思うが、秋以外は閑散とした町なのである。
金言寺のイチョウは、ここ数年ですっかり有名になったようで道の駅にも紹介されていたが、
案内板も丁寧に記載されて迷うことなく辿りつきそうだった。
途中、棚田百選である大原新田の前を通るので久しぶりに立ち止まった。
久しぶりに来てビックリしたのが、
ちゃんと百選と表記されていたのと、展望台が出来ていたこと。
しかし高さが足りないので、やはり今までどおり獣道を歩いて上がらなければならないようだが、
町が少しでも観光地を増やして盛り上げようとする姿勢は嬉しく思った。
今の棚田は刈入れもとっくに終わっているので撮影には至らず。
またいつか水が張られる春に訪れたいと思った。



その大原新田からさらに進み14時頃、金言寺に到着。
新聞記事に出たこともあるが、道の駅で紹介されているものだから、
すっかり観光名所となった金言寺はかなり混雑していた。
蕎麦を食べ損ないお腹が空いていた所に、山菜おこわが売られていたので腹ごしらえに購入。
構図をイメージすべく境内を歩きながら練るものの肝心な日差しが出ず、
次から次へとやってくる観光客が掃けないので撮影意欲が沸かず、しばらく車内で待機していた。
しかし待てど暮せど状況は変わらず、諦めて機材をセット。
人がいなくなる一瞬のタイミングを逃さないべく待っていた。
16時を廻ると訪れる人も少しは落ち着いたが、曇っているせいでイチョウの木や周りの景色も暗くなり、
時間が経てば経つほど撮影条件が悪くなっていた。
結局、諦めてシャッターは切ったものの、期待通りの撮影が出来なかったことが残念だった。



訪れる観光客の誰もが感動していた景色だが、
本格的に撮影する者にとっては、些か感動とはかけ離れた見方をしてしまう。
確かに水田に写るイチョウの木と藁葺き屋根は素晴らしい景色だが、
周りの障害物に問題あり。
イチョウの木の背後の駐車場、その周りにある電柱。
ライトアップした夜間になるとその障害物も目立たなくなるかもしれないが、
誰もいない静寂な光景にしようと思うのはかなり難度が高そうだ。
ちなみにライトアップの期間は先週の3日間のみであり、気付いていれば撮影しに行っていただけに無念。
早朝撮影も考えたが、太陽が昇る方向に裏山があり日差しが当たるのは時間がかかりそうで、
条件の良い撮影時間は午後の方が良さそうだ。
葉が落ちる前と落ちて藁葺き屋根や水田が黄色で染まるなど
撮影する時期が違うことで違う写真が撮れて面白いかもしれない。
今回は初訪問だったこともあったが、現地調査ということで次回は違うタイミングで本格的に撮影出来ればと思った。









写真館 二千年一夜