岳の棚田〜佐賀県西有田町






朝起きるとどんよりとした雲が広がり、昨日の疲れもあってか余計に腰が重い。
朝一番の撮影は、急遽予定を変更して西有田にある岳の棚田へ向かうことにした。
今の時期、雲海が見れるのではないかと淡い期待をしたが、
この曇り空と妙に蒸し暑い気温が幻想的な景色には出会えそうにない気がしてきた。
5時前に着いた時はまだ暗くて棚田の姿は見えず、雲に見え隠れする月の明かりを便りに見慣れた景色を確認する。
太陽が昇る前の朝焼けを待つべく車内で待機。
空が明るくなる頃に構図を練り、撮影ポイントを決めた。
やはり上空は雲が広がり、真っ青な朝空は期待出来そうになかったが、
向かい側に見える山の上空は少し晴れているようで赤みを増してきた。
山にかかっていた雲が下がり頂上が見えて想像していた雲海とは程遠いが、
それなりの景色になりつつあった。
ただ彼岸花は少なく稲刈りもまだなので立体感が無く、やはり撮影するには田植え前の6月が良さそうだ。



山から太陽が昇ると棚田に朝日を浴びて稲穂が輝いていた。
まさに今の時期ならではのシャッターチャンス。
しかしその太陽もすぐに雲に見え隠れてしまうので一瞬のタイミングも見逃せないが、
そのお陰で逆光でもフレアに悩まされず撮影はしやすかった。


蕨野の棚田〜佐賀県厳木町

岳の棚田から1時間かけて蕨野の棚田へ移動。
道中、道路が濡れていたので周辺では雨が降っていたようだ。
岳の棚田は標高が高い位置にあったので、伊万里方面に厚い雲がかかっていたのは見えていたが、
まさか雨が降っていたとは思わなかった。
その雨雲もどこかへ行き、青空が広がり雨に濡れた田んぼは彼岸花と共に朝日を浴びてキラキラ輝いていた。
それにしても佐賀の田んぼは彼岸花が多く、どれほど立ち寄って写真を撮ろうかと思ったことか。
8時頃に蕨野の棚田に到着。
まずは全体を見下ろすことが出来る大平展望台に行ってみたが、ここからはあまり棚田の感動は味わえない。
大平の隣にある南川原に行こうと思ったが、何をどう間違えたのか蕨野集落に戻ってしまい1からスタート。
今日は時間がたっぷりあるので車を交流広場に止めて、歩いて散策することにした。
実は蕨野の棚田は、大きく分けて、大平、南川原、石盛、下の木場、九郎谷の5つをまとめて蕨野の棚田と呼ばれており、
道が狭いこともあって一つ一つ車で散策するには不可能なので時間をかけて歩いて散策しなければならない。
以前来た時に、時間を作って散策したいと思っていたので、
今回は、ネットで見つけた散策マップを持って1箇所ずつ散策することにした。


※大平展望台

9時頃にスタートして約3時間かけて殆どを見て廻ったが、
今回力を入れて撮影したのは下の木場地区。
曲線美の棚田に畦道に咲く彼岸花、まだ稲刈り前の黄金に輝く稲穂、
そして真っ青な空に浮ぶ白い雲。
まさに秋らしい棚田の光景が広がっていた。
5つの棚田はそれぞれの特徴があり、
古い歴史があったり、日本一高い石積みの棚田があったり、
また農道の至る所に、猪避けの柵が設けられており、それはまさにアミューズメントパークのゲートに似ていた。
ゲートを潜るとアトラクションという名の棚田が広がっており、いろんな景色と感動を与えてくれる。
時折、トカゲやヘビが横切ったりスリルも満天(笑)
アップダウンの激しい坂道を歩くので運動にもなって健康的。
ただ太平洋沖に居座る台風の影響か、陽射しはきつく蒸し暑いので秋空の下で涼しい風が吹いていたが熱中症には要注意。
これが夏場だと想像もしたくないが、それが農業の厳しい世界なのかもしれない。
3連休ということもあり、いろんなところでは稲刈りが行われていたので、
あまり作業の邪魔にならないように、撮影は程ほどにして散策を楽しむ形になったが、
機会があれば朝の涼しい時間帯にまた散策したい。
今回、初めて時間をかけてじっくり散策したが、いろんな意味で楽しめる棚田でした。


※下の木場の棚田


※アトラクションへ続くゲート
 開けたら締めましょう!






鬼木の棚田〜長崎県波佐見町

高速道路を使って一気に波佐見に向かいたいところだが、
交通費節約のため下道で波佐見に向かい13時00分頃、鬼木の棚田に到着。
今の時期、かかし祭りが行われており、普段は見向きもしない一般客ですら棚田に訪れる混雑となっていた。
明日が本祭のため、もし撮影するなら朝の早い時間帯が良さそうだ。
車を置いて展望所まで歩いて行くのも良いが、時間の都合上、車で展望所まで向かうものの、
本ルートにかかしが並んで混雑していたので、迂回しながら展望所に到着。
展望所周辺にはたくさんの彼岸花が咲いており、まだ刈入れ前の色付いた稲にとても秋らしい棚田の光景であった。
早速、撮影しようかと思った途端、まさかのお天気雨。
通り雨なのは間違いないが、あまりの素晴らしい光景だったので、
明日の朝一番に再訪問しようと思い、今日の撮影はお預けとした。


※かかしです


日向の棚田〜長崎県川棚町

波佐見から南に15分ほど走った所に日向の棚田がある。
こちらも鬼木とセットでいつも訪れている御馴染みの棚田だが、
季節が違えば見える光景も変わって見えるのが棚田の面白いところ。
相変わらずダム反対の文字があちらこちら見えるが、本当にダムの建設が行われるのか、
数年前からまるっきり変わっていない光景に時が止まっているかに見えた。
14時00分、現地到着。
景色が違って見えるなら、定番ポイント以外に良い場所があるのでは?と期待したが、
やはりここの棚田の撮影は難しく、彼岸花の姿もあまり見かけず、結局いつもの場所で1カットのみ撮影となった。
怪しい雨雲が波佐見から流れてきているのか、今にも上空の青空を覆い隠そうとしていたので早々と撤収。




九州一花火大会 in ハウステンボス〜長崎県佐世保市

川棚町から海沿いの県道を走ってハウステンボスへ向かうのが最短ルートだが、
渋滞するのはわかっていたので、1度波佐見まで戻り山越えルートでハウステンボスへ向かう。
予想通りスムーズにハウステンボス近くまで来たのは良かったが、目前にして渋滞して車が動かず、
まだ渋滞するには早すぎるだろうと思っていたが、
15時の時点で園内の駐車場はほぼ満車だったようで臨時駐車場を案内していた。
正規のルートが駄目ならUターンして裏ルートで向かうとスムーズに園内に入ることが出来たが、
その前に、気になる場所があったのでそちらをプランAと名付けて撮影場所候補として考えていた。
既に先客が居るようで早くから三脚をセットしていたが、一般客も車内で待機しているようで、
知る人ぞ知る穴場なのかもしれない。
尺玉と2尺玉をどこから打ち上げるのか気になっていたが、
やはり台船を使って沖からの打上、しかも2隻プラス水上花火用1隻が浮んでいた。
尺玉100本、2尺玉5本ともなると台船を使っての打上になるとは思っていたが、
九州一というだけあって、かつて無い予算を注ぎ込んでの一世一代の大花火大会にしようという主催者の意気込みが伝わってきた。
ワイドスタマが無ければプランAからの撮影も面白いかと思ったが、
1キロに及ぶワイドスターマインを側面から狙うにはいかがなものかと思い、
オマケに普段気にしない風向きが芳しくないので今回は現地調査のみとした。



今回の撮影ポイントを決めるのに実に迷いに迷い、先ほどのプランAを含む5箇所からの候補地があった。
そのうちの3ヶ所は既に撮影経験済みなので、慣れた場所で狙うか、はたまた初めての場所で狙うか、
ワイドスターマインがあるならなるべく正面から狙いたいし、
2尺玉や尺玉100連発があるならある程度離れた方が良いか・・・
ただ園周辺が大混雑している状況で狙える場所は限られてしまったので、
プランAから近い撮影場所に向かった。
(以降その場所をプランBと記載)

何とか車を止める場所も確保出来て1つの山場をクリアした。
相変わらず周辺の道路は大渋滞で動きは鈍く、既に園内の駐車場は満車になっていたので余計に混雑は解消されることは無かった。
シーズンが終わった9月の花火大会なのに今回の花火の注目は大きいということなのか、
それとも3連休の中日ということもあり、花火大会と重なったことで人手が集まったのか。
どちらにしても大盛況なのには間違いない。
プランBでの撮影は2年前のカウントダウン以来2度目の撮影で、
ここで撮影することを考えて、予めどれくらい尺玉が上がるか、
ワイドスタマはどの程度広がるか、過去に撮影した動画を検証しながら構図を練っていた。
ハウステンボスらしさとワイドスタマを狙うならここしかない!と思っていたが、
規模の小さい競技大会を狙うには、望遠を使わなければ迫力のある写真は撮れないほどの遠く離れた場所なので、
正直言うと、花火を楽しむ距離ではないので個人的には好きではないが、
さすがに高い入園料を払って中に入ることは出来ないので今回ばかりは致し方ない。

今日行われる九州一花火大会のスペシャルな内容は、
「第五回世界花火師競技会決勝」と「大花火大会」の2部構成で総打ち上げ数2万発、
途中、第一部と第二部の間に30分ほどの休憩はあるので実質1時間30分の打上。
その規模はもちろん、使用する1尺玉や2尺玉は「全国花火競技大会(秋田県大曲市)」にて、
内閣総理大臣賞や入賞実績のある花火師の手によるものとなる。
18時00分、まずは第一部の世界花火師競技会決勝は、
前年優勝の山崎煙火製造所、今年国内予選優勝のワキノアートファクトリー、
海外予選優勝のGFA PYROの三つ巴の戦い。
約15分弱の音楽花火が披露され、時折打ち上がる尺玉に驚かされた。
決勝戦が始まる30分前から極度の強い風が吹き付け、
三脚が倒れそうなほどの強風だったが、その風は決勝戦の最中まで止む事は無かったので、
もしかしたらブレていたのではないかと不安で仕方無かった。
距離が離れていたこともあり、尺玉以外のシャッターチャンスは無く、
やはり花火を見るテンションが上がらず、近くで見れば綺麗な花火が楽しめたかと残念な思いをした。
三社それぞれ個性ある花火を打ち上げ、やはり前回も思ったが山崎煙火の花火だけは、
遠い場所からでも感動は伝わった。

第一部が終わり投票・表彰式などが行われ20時過ぎにいよいよ第二部が始まった。
当初、有名花火師の尺玉披露がプログラムに組み込まれているはずなのに、
いきなりワイドスターマインが始まり意表を突かれた。
遠く離れていたのでアナウンスは僅かに聞こえるか聞こえないかの程度。
その後、尺玉が打ち上がったのでどうやら尺玉披露が始まったようだ。
玉    名 都道府県名 花 火 師 名
昇小花   燻し銀の華 東 京 細谷 一夫
昇曲付   二層時差式発光球 秋 田 小松 忠二
昇朴付   芯入群光千輪 山 梨 山内 宏
昇分火   八重芯変化菊 長 野 篠原 茂男
昇分火   銀彩の花 福 島 菅野 忠夫
昇曲導付  松島の夜景 新 潟 小泉 英一
昇曲付   大万華鏡 愛 知 磯谷 尚孝
昇小花   八重芯菊先変化光露 長 野 青木 昭夫
昇小花   虹の華 茨 城 野村 陽一
昇曲付  三重芯銀点滅 茨 城 山崎 芳男

プログラムによるとレーザー光線との競演はは園内でしか楽しめないらしいので、
フィルム消費を抑える箸休めタイムにしていたが、
ここでもワイドに打ち上がるスターマインに余計とフィルムが消費していく。
そして水上花火の前に尺玉100連発が披露。
フィルム消費計画を頭に入れて撮影していただけに、
混乱してしまい尺玉100連発では無意識にシャッターを押し続けて、
気付けば残り枚数が僅かになっていたことで我に戻り、
危うく翌日のフィルムが無くなるところだった。
よく見ると尺玉100連発の中には、さほど驚くような玉ばかりが上がる訳でもなく、
冷静になって選別してシャッターを切れば良かったと後悔。
それでも時折上がる千輪などに、やはりシャッターを切る手は止まらなかった。

大玉水上花火は、所謂水中花火。
さすがにここでは見るに耐え難い距離なので観覧のみ。
そしていよいよ約1キロに及ぶ3000発のワイドスターマイン。
通常のカウントダウンでは4箇所からの打上だが、今回は5箇所からの打上。
終盤になると尺玉が入り、この規模はまさに九州一の大スターマイン。
近くで見ればさぞかし迫力があったかもしれないが、
遠く離れていたプランBだからこそワイドに楽しむことが出来たと思う。
冠菊の大空中ナイアガラが終わり、最後は2尺玉で打ち止め。
これだけの大量の花火が打ち上がっているのにも関らず、
風が強いのが不幸中の幸いとなり、さほど煙害も無くクリアに見ることが出来た。
花火を見たという満足感は残念ながら無かったが、花火を撮ったという達成感はあり、
ハウステンボスの花火らしい写真に仕上がったことは、過去の経験からして間違いは無い。
ただし強風がもたらした結果は、果たして吉と出たかそれとも・・・
カウントダウンもこれくらいの規模で打ち上げて欲しいものだが、
もし来年も九州一花火大会が行われるとしたら、やはりここで撮影しているかもしれない。
ただ、無理してハウステンボスへ行くくらいなら、東の有名花火大会の方がよほど感動の度合いは大きいので、
今回の旅みたいに彼岸花が咲く棚田巡りと兼ねて計画を立てた方が良さそうだ。

帰宅も裏ルートで早々と園から離れることは出来たが、
佐世保方面が大渋滞して高速に乗るまでが時間がかかった。
高速に乗ればあっという間に大町に帰宅した。




写真館 二千年一夜