若草山の山焼き〜奈良県奈良市






2002年以降、今回で13年連続の撮影に挑む若草山の山焼き撮影。
週刊天気予報だと土曜日が際どい予報だったので13年目にして断念しようかと思っていたが、
週末に向けて辛うじて雨は大丈夫そうになってきたので、
出発前に再度予報をチェックして11時に出発。
休憩を挟みながらゆっくり走り15時00分頃に現地に到着。
いつも止めている駐車場が満車だったが、しばらくして空車になり止めることが出来た。
実は奈良駅周辺に至る所に600円/日があることを後で知り、
一番賑やかな駅周辺なのにこの値段はありがたい。

写友と合流する前に時間潰しに現地調査して撮影許可を得る。
しばらくして写友と合流して今日の撮影場所を再度下見。
少々ネオンは賑やかだが、若草山を見渡せ興福寺の塔も見え、
距離も大池や平城京跡に比べると近く、個人的にはお気に入りの場所であり、
そのうちカメラマンで賑やかになるのではないかと心配していたが、
2年経った今もカメラマンに知られない穴場的場所だった。



せっかく奈良まで来たのだから、
奈良観光をしようと思いつつ今年も現地に着いたのが遅かったので駅前をぶらぶらする程度。
適当に時間を潰して17時頃に現場へ戻った。
今回は初の2台態勢で撮影すべく、この日のためにレンズも一本購入しておいた。
山焼き撮影には本番に向けて機材とメンタル面の準備が重要で、
通常よりも早めにセッティングしてイメージトレーニングをする。
どのタイミングでどのように撮るか、
近年ではデジカメの進歩で素晴らしい画像を見ているので、
何だかフィルムの一発撮りが空しくなってくる今日この頃だったが、
それでも1つの作品作りとして拘りを持ちたいと思いモチベーションを保ち続けている。
それにしても暖かい。
寒くならないだろうと思っていたが、予想以上に暖かく、当日は15度くらいまで上昇したとか。
例年だと朝露や雪で芝の燃焼を心配しているが、
今年は風も吹いて良く燃えそうな気がした。

18時くらいになってもカメラマンは来なかったが、ギャラリーは徐々に増えていった。
それでも混雑するほどの多さではないのも個人的に好きな場所の理由だったりする。
18時15分、花火が打ち上がる。
今年は最初から最後まで良い玉を選んでいるように感じた。
僅か15分ほどの内容だが、競技大会を縮小したような素晴らしい内容でどのタイミングも見逃せない。
こうなると少しでも近くで見たいと欲が出るが、
麓で見ると、尺がスターマインとかぶってしまうので近ければ良いという訳でもないのが若草山である。
この現場では尺を入れようと思えば135mmが理想だが、
それ以上にズームしてスターマインだけ狙えば迫力のある山焼き撮影が出来る。
しかし、どうしても尺を入れたい症候群が強いので、
今回も尺が上がるまで僅かながら花火撮影を楽しんだ。
尺玉20発のコーナーが終われば、スターマインが豪華に上がる最中にタイミングよく尺が4発。
シャッターチャンスはその4回のうち2回。
どれも捨てがたいが、ここは一発撮りの宿命。
絞りを16に設定して山焼き用にシャッターを押した。

18時30分、今のところ雨が降りそうな雰囲気は無いが、
上空が曇っていれば空が街灯で白飛びするかもしれないので、極力露光は抑えたいところ。
若草山への点火が始まり炎の線が一直線に引かれると、
今までにない速さでみるみるうちに炎が駆け上がり、手前の山を僅か10分足らずで燃えつくしてしまった。
風向きや天候が良ければ、これほどまでに良く燃えるのかと改めて驚かされてしまった。
これだと今日は短期決戦になるかと思っていたが、
上の山はなかなか燃えず、結局、1時間かけての撮影となった。
しかし今年はタイミングよく燃えてくれたので、
露光は例年より少し短い90秒(5秒×18回)でシャッターを切って今年の山焼き撮影の戦いに幕を閉じた。

今年も無事撮影は終わったが、
ファインダーを覗くと白っぽく見えたので、
もしかしたら今日の暖かさで街中に靄が広がっていたのかもしれない。
結果は現像が上がってみなければわからないが、
必要以上に光を拾わないフィルムの特徴を生かしてアンダーな仕上がりになっていれば良いのだが。
距離は離れていたが、素晴らしい花火と例年以上に勢い良く燃えた山焼きに満足感でいっぱいだった。
この場所での撮影は今回で最後と決めていたので、
それだけに過去2年の思いが蘇る。
今日は親切にも管理人がよく声を掛けてきてくれた。
通常なら怪しい余所者を嫌う管理人だが、快く撮影を認めてくれたのは関西人の心意気なのだろうか。
本当に素晴らしい場所を提供してくれて感謝です。
撮影後は、もう一人の写友と合流して楽しい夕食を過ごした。
帰りは久しぶりに味わう豪雨に驚いたが、
この雨が山焼き直前に降られていたら完全にアウトだった。
そう思うと今年の山焼きは今までとはまた違った思い出深い1日になったに違いない。





写真館 二千年一夜