因原ふるさと祭り〜島根県川本町

島根県の山奥にある川本町因原で何故か尺玉が上がる小さな花火大会がある。
主催者がよほど花火好きなのかどうかはわからないが、
以前から機会があれば行ってみたいと思っていた。
川本町にはあまり縁の無い町で、やまなみ街道が開通して近いと思ったが、
断魚渓の北側に位置する結構遠い町だった。
国道375号線から邑南町を横断して国道261号線を北上すれば川本町となる。
途中、せっかくなので羽須美村にある神谷の棚田に寄ってみた。
17時過ぎの時間帯なので日差しも和らぎ、優しい光を浴びた棚田の光景を想像したが、
太陽が沈む位置から厳しい西日がガンガンにあたっていた。
やはり撮影は午前中の方がよさそうだ。









因原に到着したのは18時30分頃。
道の駅の裏手の広場が祭りの会場となっており、ステージではアーティストのライブで盛り上がっていた。
狭い町で本当に尺玉が上がるのだろうか・・・
そんな不安が過るがとりあえず打上現場を調査する。
狭い町では小高い山が打上現場になりがちだが、
近くにある江の川の支流である小さい川の河川敷に筒がセットされていた。
町の雰囲気を入れて撮りたいところだがこれという場所も無く、
なおかつ尺玉が上がるとなればそれなりの距離が必要となる。
土手を歩きながら国道261号線東側の土手が良さそうなのでそこで狙うことにした。
せっかくなので他に良さそうなところが無いか因原地区内を散策。
山奥の小さな町だが、三江線の駅、ホームセンター、スーパーなどあり、お年寄りでも住むには利便が良さそう。




※尺玉6発と5号玉くらいのがいくつか。

20時30分、花火が打ち上がる。
オープニングは予想通り尺玉で幕が上がる。
総数230発という小規模ながら単発がメインで約20分の中で尺玉6発が散りばめられている。
尺玉は割物に千輪、そして中でも「雪の結晶」(名前がわからないので勝手に命名)が見れたのは衝撃的で、
このような花火が毎年見れるなんて因原の住民は羨ましい。
どうして因原で尺玉が上がるのかはわからないが、
主催者の花火に対する意気込みと担当煙火店、生島煙火の心意気で生まれた素晴らしい花火大会だった。



カメラマンの姿は誰一人として見ることは無かったが、
230発と聞けば時間を掛けて気軽に訪れる場所ではないので、足が遠のくのもわからないでもない。
しかし生島煙火が尺玉6発も上げてくれると知れば、その辺の1万発クラスの花火大会に匹敵する感動が待っていることを、
果たしてどのくらいのカメラマンが理解出来るだろうか。
風はそこそこあったものの、今シーズンにして初めて煙で撮影に支障が出たものの、
それは中盤のみで終盤にかけて風向きが変わり観覧、撮影共に支障は無かった。
最後は尺玉を含むスターマインで終了。
このパートだけで230発上がったのでは?というくらい素晴らしい大スターマインで、
いつか来てみたいと思っていた一つの花火大会だったが、本当に良いものを見させてもらった。


※町の灯りを背景に練ってみた

花火の背景に因原の街灯を入れる構図にしてみたが、果たしてどんな絵に仕上がっているだろうか。
花火の美しさもさることながら、上空には美しい星空が広がり川のせせらぎと三江線を走るディーゼル車の音がとても心地良かった。
イベント会場は花火終了後、神楽が披露されているようで、因原の夜はまだまだ長そうだった。




写真館 二千年一夜