大三島大橋とダルマ夕日〜愛媛県伯方町

12月から1月にかけて伯方島でダルマ夕日を見れるスポットがあり、
以前からずっと気になっていたので、天気を見てはチャンスを伺っていた。
広島県内ではダルマ夕日が見られる場所が無いので、
橋代の交通費はかかるが近場で挑戦できるスポットであり、
大三島大橋を前景に狙えることもあって、カメラマンの間ではお馴染みの定番スポットになっている。







16時頃に伯方島に上陸。
初めての現場なので、まずは観光がてらに早目に現地調査しておこうと思ったが、
午後から雲が広がっており、片道970円の交通費を無駄にしたくないので、
伯方島上陸に迷いがあったが、晴れマークが付いていた天気予報を信じて遅めの上陸となってしまった。
古びた小さな熊口港が撮影ポイントだが、港からだと太陽の沈む位置が大三島にかぶってしまうので、
港と幼稚園の間の沿岸が撮影ポイントとなる。
ただし背後にすぐ民家があり、沿岸に出るのも狭い路地を歩き、
また近くに駐車場やトイレが無いので、カメラマンとしてマナーやモラルが必要となる。
17時過ぎになって続々とカメラマンが集まり、最終的に10名ほど集まっただろうか。
テトラポットが無ければどこからでも狙えるが、その間を狙うなら定員10名では厳しいかもしれない。



この日のために久々に秘密兵器を持参したが、
思いのほか大三島大橋が近かったので300mmの望遠レンズで十分間に合うが、
周りのカメラマンの装着レンズを見ると、大三島大橋の下のダルマ夕日のみを狙っているようだった。
太陽が徐々に沈んでいるうちに、今日は綺麗なダルマ夕日が見れるかもしれないと、
地元、常連カメラマンがざわついてきた。
昨日も綺麗な夕日が見れたらしいが、残念ながら雲でダルマにはならなかったようで、
それだけに今日の夕日は期待が大きい。
ただ今日は土曜日ということもあってか、貨物船の往来は昨日に比べると殆ど見かけなくて、
沈む夕日をバックに何か脇役を入れたいところである。



17時30分あたりからいよいよクライマックスを迎える。
真っ赤な太陽が水平線へ沈み綺麗なダルマ夕日となった。
瀬戸内海なのに水平線があるなんて不思議な感じがするが、
沈む方向に周防大島があっても高い山や近くの島の間を交わして夕日が沈めばダルマ夕日が誕生する。
ダルマ夕日を見たことは何度かあるが、撮影するのは今日が初めてで、
この日は本当に綺麗な夕日を見ることが出来た。
上空にある太陽は動いているのかわからないが、夕日になると不思議と早いスピードで沈んでいくのだから、
撮影するタイミングは本当に僅かな時間で、構図を練っているうちに沈んでしまい、
予め構図を練ってシャッターを切るか、どうしても構図を変えたければ二台態勢で臨まなければいけない。
ここの現場は、前景に大三島大橋があるので、夕日と橋のどちらかを主役にするかで大きく絵が変わってくる。
これは作者の好みの問題なので、どれが正解で間違いというのは無いが、
誰が撮っても同じような写真にだけは仕上がりたくない気持ちもあれば、
誰もがわかる写真に仕上げたいという気持ちもあり、
事前に構図はしっかり練っておかないといけないと改めて反省。
交通費の問題もあるので何度も現場に行けないし、
期間限定のポイントなので貴重なチャンスを逃したくない。
今回の撮影を踏まえてまた来冬に向けて挑戦したいと思った。

ダルマ朝日は、何度も挑戦しているがなかなか出会うことは出来ず、
ダルマ夕日は、天気予報を見てある程度、出会える可能性が高い気がした。
気温が低いと厚い雲が発生しやすいが、今日は比較的暖かく太陽が沈む方角に高気圧がいたので、
天気図を見れば予想出来るかもしれない。
今回訪れた熊口港は、かつて三原今治間の途中下船として利用されていたが、
今は役目を終えて廃墟と化した小さな売店と共に時代に取り残されたような雰囲気が漂っていた。
しまなみ海道が開通する前は、この港も多くの人で賑わっている光景が目に浮かびそうだ。





写真館 二千年一夜