秋のシルバーウィーク1日目
6年振りのシルバーウィーク。
前回は仕事が忙しくて良い思い出が無いが、今回は仕事も片付き予定通り休みを取ることが出来た。
実際は土曜日が仕事なので4連休を利用して2年振りに九州の棚田巡りを計画。
ここ数日の日照不足や台風の動きに心配したが、連休中は晴れマークが並び、
しかも彼岸花も名前通り彼岸に合わせて見頃を迎え、まさに条件がすべて整う連休となった。







江里山の棚田〜佐賀県小城町

2年前、旅の最後に寄った江里山の棚田。
その時は棚田祭りの日であり、訪れる時間も10時を回り観光客が大勢押し寄せて、
おまけにフィルムも残り僅かで思うような撮影が出来なかったことが反省と課題だった。
今回は旅の始まりを江里山に決めていた。
家を出発したのは21時過ぎ。
車は多かったが渋滞することもなく佐賀に到着したのは翌3時頃。
妻を実家の大町へ送り、その足で江里山へ向かった。
4時頃に小城駅に到着すると駅前が綺麗に整備されていたのに驚いた。
まだ夜が明けていないのでしばし仮眠するもあまり寝付けないので、
途中のコンビニで朝食を買って江里山へ向かった。



江里山の棚田には駐車場があるが、その場所は祭りの会場となっているので、
さらに上にいったところにある広い路肩に何台か車を止めることが出来る。
23日が棚田祭りでシャトルバスが出るが、その日以外は自家用車で現地入りしないといけないのだが、
果たして狭い山道にどの程度、車を止めることが出来るのだろうか。
一番乗りで現地入り。
日の出の時刻は6時頃だが、5時くらいになると肉眼でも棚田の姿が見えてきたので、
撮影前に散策を兼ねて構図を練りながら現地調査。
東の空が明るくなり、珍しく普賢岳が姿を見せるくらい澄み切った空だが、
残念ながら南側しか開けていない状況で朝一番の日差しはしばらくお預けになりそうだ。
東の空が綺麗に焼けている光景を見ると雲海撮影にすればよかったと思ったが仕方ない。
日差しはしばらく当たらないまま時間だけが過ぎてゆき、訪れるカメラマンも徐々に増えて来た。
そうなると思い通りの撮影もしずらくなるので、少しでも早く棚田に日差しが当たって欲しい。
ある程度、覚悟はしていたがやはり早朝訪問は痛手となった。


※雲仙普賢岳がお出迎え

6時30分、西側の山が日差しを浴びだしたが肝心の棚田にまだ日差しは当たらない。
カメラマンは各々気に入った場所で撮影が始まっているが、
フィルムの無駄打ちはしたくないのでひたすら日差しが当たるまで我慢。
7時を過ぎたところでようやく棚田に日差しが当たり始めた。
といっても西側の棚田から当たり、太陽が昇るにつれて徐々に東側の棚田に日差しが当たっていく。
太陽が昇り改めて彼岸花を見ると、少し見頃を過ぎたのか真っ赤というより少し白くなっていた。
そんな花もあればまだ蕾で咲いていないのもあり、
そもそも彼岸花は温度ではなく日照時間で咲く花なので、
辺り一面咲きそうなものだが、何故同じ場所で差があるのか不思議でならない。
二年前に訪れた時も思ったが、パンフレットに載っているような一面咲き誇る姿ではなく、
疎らに咲いている状態で期待以上の感動は今年も無かった。
地元の人曰く、今年も咲き具合はイマイチとのこと。
自然相手なので訪れるタイミングは難しいが、昔に比べると完璧な光景に出会えるのは数年に一度なのかもしれない。



東側の棚田に日差しが当たりだしたのは7時30分を過ぎたあたり。
ここからようやく本番がスタート。
朝の撮影は主役である棚田に影を作り立体感があって面白い。
その中にアクセントとなる彼岸花の赤が最高の脇役となる。
さらに青い空の舞台に秋らしい雲が登場。
役者はすべて揃い最高の舞台が始まろうとしていたが、
そんな時に限って目の前にカメラマンがマクロ撮影に集中して思うように撮影は出来ないこの歯がゆさ。
朝の日差しとはいえ、仕事を終えての長距離移動と睡眠不足の体には堪えるのでカメラマン待ちは少々辛いものがあった。
構図としては順光よりも逆光の方が面白いので撮影場所は殆ど同じところで集中することになった。
棚田から少し上がったところに民家があるので、どうしても電線や電柱は避けられず、
下がったところには石材の会社と会場のテント。
アップで入らないようにすれば良いのだが、それだと江里山らしさが出ないし、
せっかくの青空と秋の空が勿体ないので、広角でダイナミックに撮影してみたり、
どちらにしても前回出来なかったことを今回の旅で撮影出来たことは嬉しかった。
果たしてどんな形で仕上がっているか楽しみである。


※棚田と彼岸花、青い空の秋の雲。そしてカメラマンに建物、会場のテント。
 いらない物をカットすると同時に大事なものも捨ててしまう勇気が必要。

鬼木の棚田〜長崎県波佐見町

9時くらに江里山の棚田の撮影を終えて、このまま土谷の棚田へ行くには早すぎるので鬼木の棚田へ行ってみることにした。
10時頃に鬼木の棚田に到着。
ここも23日が棚田祭りのため、この時間でもさほど混雑はしておらず展望所にカメラマンが数人と観光客がいた程度。
彼岸花はピークを迎えていたので撮影するには今日がベストだが、
あまりにも日差しが強いのと、太陽が高く昇っているので棚田に立体感が無く朝に比べると少し面白味が無い。
今日撮影を済ませておけば、今後の撮影工程が楽だと思ってきたのだが、
やはり再度、朝に訪れることにして1カットのみ撮影を済ませて土谷の棚田へ向かった。




土谷の棚田火祭り〜長崎県福島町

12時30分頃に土谷の棚田に到着。
春に何度か訪れたことのあるが、秋に来たのは初めて。
5月上旬に田植えを終えている棚田は、この時期には大概稲刈りを終えて寂しい光景となっているが、
土谷の棚田も例外でなく、既に今年の役目を終えた状態になっていた。
そんな土谷の棚田で灯籠イルミネーションが行われる情報を得て、
そういえば2年前はハウステンボスの九州一花火大会と重なったため断念したが、
今年は1週間後に開催されるので迷うことなく撮影工程の最優先順位トップに挙げられた。
土谷の棚田の火祭りといえば、5月GW最終日という記憶があり、
いつか行ってみたいと思っていたが、さすがにGW最終日に行くのは夢のまた夢。
ところがそんなイベントもいつしか途絶え、数年後に復活するのだが開催が春から秋になっていた。
小さい地区でのイベントは地元の人達や周辺の協力が欠かせないが、
今年は去年より300本多い3000本の灯籠が並べられるというから驚きである。



この時間帯だと殆ど人影すら無いのでは?と思われがちだが、
早い時間帯から警備員が配置されて路肩駐車禁止注意部隊として配置されていた。
そして既に棚田には30人くらいは来ているであろう三脚がずらりと並べられていた。
会場から離れた道路に広い路肩があり、とりあえずそこに車を止めて現地入り。
春に夕景撮影した展望所一帯は何と三脚禁止エリアとなっており、
道路から下がった田んぼが三脚専用スペースとして設けられていた。
1人1000円が安いかどうかはともかく予定外の出費は痛い。
ちなみに三脚は1人1本。2本立てたいと思えばもう1人分払うルールとなっており、
撮影以外の同伴者でも同じく料金が必要。
今まで何かとトラブルがあったらしく、今年はかなり徹底しているようで、
そのお蔭で撮影する者にとっては安心して撮影が出来るので嬉しいのだが、
その分、早めに来ては少しでも良い場所を確保しなければならない。
場所は3段の棚田が用意されており、去年は150人くらいの入場者がいたらしく、
それでも余裕があったらしい。
早めに来たカメラマンは最下部に集中していたが、何も遮るものが無く集中して撮影が出来るメリットがあるのだとか。
個人的には最上部の方が棚田を立体的に撮れるので迷うことなく三脚を置いた。
最上部にもそれなりに先客はいたが、何故か端から埋まっていたのでお蔭でイメージ通りの場所をキープ出来た。



場所がキープ出来たら一安心。
仮置きしておいた車の移動アナウンスされると厄介なので、
正規の臨時駐車場に止めようかと思ったが、
近くに公表されていない臨時駐車場があったのでそこへ止めた。
ここでも駐車料金500円と痛い出費。
シャトルバスで現地入りするよりかは楽か。
今日はまともに寝ていないのでしばし仮眠。
しかし暑い日差しを浴びる車内で仮眠出来る訳も無く、日が暮れるまで長い待ち時間となった。

三脚を置いたものの現場が心配になり、散歩がてら棚田を散策。
15時の時点で三段の棚田は殆ど三脚の列が並び良い場所は残ってない状況で、
この時間帯にカメラマンが集中した模様。
今年はシルバーウィーク効果で例年より早く大勢のカメラマンが集中したに違いない。
この時間帯なら大丈夫だろうと来たカメラマンは三脚を持ったまま唖然としていた。
既に定員をオーバーしつつあるカメラマン席に緊急的な措置をとることになり、
17時になるともう一カ所、カメラマン席を設けることになった。
その場所が意外と理想だったようで、早めに来ていたカメラマンがそちらへ移動したり慌ただしい雰囲気。
棚田を正面から見下ろす場所なので、個人的に魅力は感じられず場所を移動することは無かったが、
夕暮れになって灯籠が灯ると面白い絵になりそうな雰囲気はあった。



大勢のカメラマンがいれば大小問わずトラブルは付き物だが、
カメラマン席という場所のお蔭で観光客とのトラブルは無いように見えた。
ステージではフラダンス、俵投げなどイベントで盛り上がっている中で太陽が沈む時を待ち続けた。
点灯開会式も終わり18時にいよいよ3000個の灯籠に火が灯された。
かなり時間がかかると思ったが、スタッフやボランティア総勢100名による点灯であっという間に棚田全体の灯籠が灯された。
まだ空が明るいので撮影にならないが、今の季節はあっという間に空が暗くなり点灯から30分後にはシャッターを切っていた。
綺麗な夕暮れ空を期待したが、残念ながら今日は雲の広がる寂しい空。
唯一の救いの種は、雲の隙間から少しだけ夕焼けが見えたので、殺風景な絵だけは避けられた。
初めての撮影で納得の行く理想の絵とは程遠い結果となってしまったが、
この光景が見れたことと撮影出来ただけでも満足感と嬉しさがあった。
辺りを見渡せば数えきれない大勢の人達が集まる、それだけ人気のあるイベントへと成長していたのが凄い。
寂れた棚田もいつもこのように活性化されれば日本も良い風が吹くのでは?と思った。

いろんな角度から撮影してみたかったが、意外とカメラマンが動かないので同じ場所のみの撮影となった。
空が暗くなってしまえば単調な絵になってしまうのでシャッターチャンスは18時40分くらいまでが理想。
混雑を避けるために早めに撮影を切り上げ、駐車場へ向かうと凄い列が出来ていた。
シャトルバスの帰り客の列、まともに並ぶと次の撮影に間違いなく間に合わなかった。
近くの駐車場に早めに来た甲斐があり、まだ賑わいが収まらない棚田の光景を横目に土谷の棚田を後にした。


ハウステンボス 秋のクラシック花火〜長崎県佐世保市

土谷の棚田からひたすら南下して今日の最終撮影地であるハウステンボスを目指す。
HTBまでの道のりは過去何度も走っているのでお手の物。
花火打上が20時40分と遅いので焦ることなく車を走らせる。
土谷の棚田からHTBまで約1時間10分かけて移動。
現地に着いたのは20時15分くらいだった。
撮影場所はいつもの防波堤。
規模の小さい花火は相変わらずこの場所で撮影しており、そろそろマンネリしそうな気もするが、
場外から撮影する最短の距離なので、やっぱりここへ来てしまう。
車を止めてすぐ撮影出来るのも魅力の1つ。
今日は風が強く穏やかな海が波立っているので少し恐怖を感じるが、
目の前は夢のような国が広がっている。
20時40分、花火が打ち上がる。
風が強い影響か音楽はあまり聞こえず、レーザー光線も場外なので有って無いようなもの。
花火も風に流されたが煙も流されクリアに見ることは出来た。
無理して来る必要も無かったが、
来週の九州一花火大会が見れない悔しさを紛らわすには良い口実だったかも。



花火撮影後、早岐で遅めの夕食をとり翌朝の撮影に備えて伊万里の道の駅で就寝。
寝不足と暑さで今宵は良く寝れそうだ。




写真館 二千年一夜