秋のシルバーウィーク3日目
葛籠の棚田〜福岡県浮羽町


シルバーウィーク3日目は福岡県から大分県にかけて棚田巡りを計画。
浮羽町にある葛籠の棚田も彼岸花で有名で2年前に行きたいと思っていたが日数が足りず断念したので、
今回の旅で絶対外せない場所であった。





先日の江里山でも思ったが、あまり早く行っても日差しが当たらなければ意味が無い。
何年か前の春に訪れた時、早朝に訪れたことがあるが、ここもまた山に囲まれた棚田なので、
棚田に日差しが当たるのに時間がかかることを思い出した。
連日の疲れもあり、朝を少しだけのんびり過ごして6時30分頃に出発。
高速道を走り朝倉ICで降りて浮羽を目指す。
合所ダムを横目に県道を走り、途中から狭い山道をひたすら上がっていくと広い棚田が出迎えてくれた。



出発してから1時間あれば着くと思っていたが、
インターを降りてからの道のりの時間がかかり、現地に着いた時には8時を回ってしまった。
幸い棚田の中腹にある駐車場に止めることが出来たが、先客のカメラマンに先を越されて既に撮影が始まっていた。
太陽は山を越えて棚田に日差しが当たっているが、まだ東側は陰ったまま。
ただ西側の方が彼岸花の密集度は高く、石垣も美しい曲線や段々になってとても魅力ある光景に早速撮影開始。
先客のカメラマン待ちで思うように撮影出来なかったので、
もう少し早く来ても良かったが、時間帯は8時くらいがベストタイム。
ここもまた彼岸花の見頃は少し過ぎているが、アップにしなければさほど気にならないレベル。
贅沢を言えばもっと赤く染まって欲しいが、稲穂実る棚田にとても重要な脇役を果たしてくれた。



棚田を散策しては足を止めてシャッターを切る連続で、本当に撮影していて面白い棚田だと改めて思ったが、
よく見ると下部では工事車両が入って工事していたり、石垣は所々綺麗に補修されていたりする。
長い年月が経っているのと、ここ数年の激しい豪雨の影響なので、こればかりは仕方ない。
ありのままの姿を撮るかカットするか難しい選択だった。
9時を回ると観光客もやってきて、こうなると広角で棚田を撮影するのが困難となる。
狭い駐車場も既に満車状態で狭い山道の路肩が駐車場となっており、
朝から暑い日差しの中、地元の係員が忙しく誘導に追われていた。



撮影も適当に切り上げて、最後に一周しようと散策。
外から棚田を俯瞰するのも面白いが、棚田の中を散策するのも意外と面白いもので、
石垣の高さ、あぜ道の湾曲など近くで見ていて飽きない。
春の棚田も良いが、秋もなかなか捨てがたいもので、
普段は見向きもしない棚田もこの時期だけは大勢の人がやってくる理由もわかる気がする。
しかし子供が両親に果物狩りに早く行こうと催促している光景を見かけ、
小さな子供にこの魅力の良さがわかるのはまだまだ先のようだ。


上原・広内の棚田〜福岡県星野村

浮羽と星野は一山超えた隣町だが、
直通する道は無く(本当はあるのかもしれないが)一度国道まで戻り、また山道をひたすら上がることになる。
棚田が広がり彼岸花も咲いて快適なドライブもやがて狭い山道となりカーブが続く峠越え。
峠を越えてしばらく下ると上原・広内地区になる。
写真集を見ると本当に素晴らしい棚田の光景を切り取られて、
いつかそんな光景に出会いたいと思っていた。
しかしそんな憧れも数年前の豪雨災害で貯水池は決壊して現在は稲作が行われいなかった。
現在は、ボランティアにより稲作に向けて準備されているようだが、
果たして昔の光景に戻るにはいつのことになるか。
そんな棚田にも彼岸花は咲いており、せっかくなので1カットシャッターを切った。
トンネル工事が行われいたので、数年後には峠越えも改善され今度訪れる時が楽しみではあるが、
秘境とは苦労してこそ来た達成感があるというもので、楽に辿り着くとちょっと寂しい気もする。



山浦早水の棚田〜大分県玖珠町

福岡から大分へ移動。
日田を過ぎて玖珠町に入ると懐かしい慈恩の滝が見えてくる。
さすがシルバーウィークだけあって慈恩の滝にも大勢の観光客がいると思ったその瞬間、
線路に豪華観光列車ななつ星が走り抜けたではないか。
みんなこれが目当てで人が集まっていたかどうかはわからないが、
事前に知っていれば、どこかでななつ星の写真を撮りたかった。
慈恩の滝から県道の山道を上がっていくと山浦早水の棚田が見えてきた。



13時30分、棚田に到着。
2台ほど止められる公民館の前に止めて散策。
さほど広くないが展望所が数カ所設けられており、そこから俯瞰しようと上がっていくと獣除けの柵に鍵がかかっており、
展望所を目の前にして行くことが出来なかった。
なるべく高いところから俯瞰して撮影したが、思ったほど彼岸花が咲いておらずちょっと期待外れ。
暑い日差しを浴びながら散策して数カ所から撮影したが、
朝夕に比べると影が少なく物足りず、やはり棚田撮影は朝と夕方が良さそうだ。
ここの田植えは遅いので、稲刈りはしばらく先のようだ。





両合の棚田〜大分県院内町

玖珠町から国道387号線を北上すると院内町に入る。
その道中、豊後森駅の近くに廃墟となった旧豊後森駅があることを知り、事前に知っていれば立ち寄ってみたかった。
(仮に立ち寄っていたら、宮地嶽神社の花火には間に合っていなかったが)
地図で見ると隣町なので意外と近いと思って足を延ばしたのだが、
これが意外と多く、結構車を走らせた感覚がした。
途中、宇佐のマチュピチュをこれまた偶然に目に飛び込んで、
以前、ネットの記事で見たことあるが、まさかこの国道沿いにあるとは知らず、
逆光ということもあり今回は時間の関係上、そのまま通過。
(こちらも仮に立ち寄っていたら、宮地嶽神社の花火に間に合っていなかった)
途中、市道に入って余温泉を過ぎてしばらく走ると両合の棚田に着く。
こちらも過去に行ったことあるが、
あまり記憶に残っていないせいか、結構山奥へ入っていくので本当にあっているのか不安になってきた。
棚田の案内板というより両合橋を目印に進んだ方がわかりやすい。



15時20分、両合の棚田に到着。
秋に来てみたいと思って、どんな棚田の姿になっているか期待していたが、
殆どの棚田が休耕田となっており、民家の近くの一部のみ稲作がされていた。
その周辺に彼岸花が咲いて、西に傾きかけた優しい日差しが彼岸花を照らしていた。
何十年前であればさぞかし綺麗な光景だったに違いないが、時間の流れとは時に残酷なものである。
綺麗に設置されている公衆トイレと棚田百選の案内板が妙に空しさを感じさせた。
休耕田は多いが範囲は結構広く、棚田の奥へ行くと放牧として利用されて牛がいた。
時間をかけて散策すれば違う見方が出来たかもしれないが、
思いのほか時間がかかってしまったので、今回は入り口周辺のみ撮影して終了。
石橋の両合橋も見ることなく最後の目的地である宮地嶽神社へ向かった。




宮地嶽秋季大祭
ねがいかなえ開運花火大会〜福岡県福津市


両合の棚田を出発したのが16時頃。
高速道路を使用しても渋滞してるだろうし交通費節約のため下道で向かう。
耶馬渓で有名な一帯を走っているので紅葉の時はさぞかし綺麗だろうと、信号も無い、車も少ない山道を走る。
2時間あれば着くと思ったが、これが意外と時間がかかり山国まで1時間、さらに小原石まで1時間と飯塚すら辿り着かない。
そして悪いことに飯塚に近づけば近づくほど信号や車も増えて思うように前に進まず、徐々に焦りが出て来た。
さらに1時間かけて飯塚に到着。
ここで2ルートの選択肢。
昔有料だったバイパスを走って福岡市、古賀市経由で向かうのと、
飯塚を抜けて県道30号線を走って福津へ行くルート。
時間からして飯塚市内は混みそうだが、バイパスも出口で渋滞するんじゃないかと悩んだが、
当初では県道30号を走るつもりだったが、八木山バイパスは昔、ちょっとした想い出があるので、
久々にバイパスを走ることにした。
その予定変更が良かったかどうかはわからないが、
意外とスムーズにバイパスを走り抜け、特に渋滞に遭うことも無く古賀市内に入った。
と言っても、その時点で30分を切っていたが。
せめて真っ暗になる前に現地に着きたいと思っていたが、
その思いも空しく今の時期だと19時30分にはもうすっかり空は真っ暗になってしまう。
福津市に入ると宮地嶽神社は目前。
駐車場はあるはずだが、満車に違いないのでたまたま目にしたモールに車を止めた。
周りの人達も駐車場から歩いて神社に向かっているところを見ると考えはみな同じ。
連戦練磨の勘が的中したのか、神社の駐車場は満車で道路も渋滞して動かない状態。
欲を出して少しでも近づいていたら完全にアウトだった。
数年前から花火の打ち上げ場所が海岸から神社裏に変更となったようで、
ネットの事前調査の甲斐あって現地調査せずに撮影場所を特定。
大勢いるカメラマン集団の端っこにお邪魔させて機材をセッティング。
打ち上げ10分前、まさに滑り込みセーフ。



20時00分、周りの照明が落ちて花火が打ち上がる。
小型煙火、単発、スターマインの1セットが何回も繰り返される展開。
規模は小さくなれど近くで見る花火は迫力があり、まじかで体感出来る小型煙火が意外と評判が良い。
予想していた所じゃない所に上がってしまったので本殿の側面に移動して再度撮影態勢を整える。
個人的には良い前景だと思ったが、実は小型煙火が本殿に隠れて見えないのでカメラマン集団から少し離れて一人ぼっち。
正直、小型煙火が見えようが見えまいがどうでも良いが、小型煙火が見えないお蔭でカメラマンの前に人がいなくて撮影はしやすかった。
思えば福岡県内で花火らしい花火を見るのは本当に久しぶりで、
やっぱり本場で見る体感花火は広島で見るのとは一味違う・・・ような気がする。
宮地嶽神社の歴史も古ければ秋季大祭の規模も3日かけて行われるのだから相当なものだが、
花火が上がったのは最近の話らしい。
15分程度派手に上がって終わりだと思っていたが、
30分以上の打ち上げで、それなりの玉数と種類、
風向きにも助けられて撮影、観覧共に楽しませてもらい、頑張って来た甲斐があったというもの。
最後は怒涛の冠菊で幕を閉じた。



せっかく初めての現場なので、もう少し時間をかけて散策したいところだが、
気力体力共に疲れ切ったので、参道で売られていた梅ヶ枝餅、じゃなく松ヶ枝餅を食べて大町へ戻る。
下道で帰ろうかと思ったが、さすがにそんな元気も無く高速道を利用。
最初から素直に高速道を使っていれば、そんな苦労しなくて良かったのかもしれないが、
花火が無事に見れたのであれば、それまでの工程はこの際、深く考えないことにしよう。
ただ一つだけわかったことは、院内から飯塚まで3時間かかるということ。



写真館 二千年一夜