福山夏まつり あしだ川花火大会〜広島県福山市

市制100周年を迎えた福山市の花火大会。
実に2007年以来、9年振りの観覧となった。
打ち上げ場所が下流に移動して初めて観覧した時は、
あまりの期待外れが原因で9年間の空白を作ってしまったが、
ここ最近の動画を見る限りでは、台船を増やして演出も工夫されており、
しかも市制100周年記念プログラムが用意されているとあれば、
国友さんのことだから、ただごとでは済まされないような演出が用意されているに違いない。





会場までの移動手段は電車とバスで向かうつもりだったが、
雨の予報だったので急遽、車で現地入り。
臨時駐車場の予想満車時間が18時と記載されていたので、
16時くらいまで着いても余裕だろうと思いきや、
芦田川に向かう間が既に渋滞でなかなか駐車場に辿り着けず断念した。
今年の駐車場は、入江大橋を渡ったJFEグラウンド、会場近くの竹ヶ端、2キロから5キロはあるであろう上流の河川敷の3エリアが用意されている。
炎天下に影の無い河川敷をひたすら歩くのは、もはや修行か訓練である。
大行列でいつバスが来るかもわからない遠く離れたJFEグラウンド。
正直、どちらも嫌なので駐車料金がどこも1000円なら竹ヶ端が早々と満車になる理由もわかる。
近くに学校はたくさんあるが、グラウンドは関係者車両以外、駐車不可となっており、
せめて競馬場跡地を開放すれば良いのに、臨時バスの発着場として利用。
帰りの大渋滞、大混雑が目に浮かび電車で来なくて良かった。
臨時駐車場は諦めてプランBに切り替えた。
長年、福山で仕事をしているので車を止められる場所に心当たりはあるが、
40分近く歩かなければならないリスクは避けたかったのだが仕方ない。
河川敷と違って建物の影に助けられて、さほど暑い思いをせずに会場入り出来たのは17時頃だった。

見慣れた芦田川の河川敷を見ていろいろと驚かされた。
9年前はどこで撮ろうかと思うくらい場所が空いていたが、
お目当てだった土手の打ち上げ正面はほぼ埋まっており、三脚もかなりいろんなところに立っていた。
西側、東側両サイドで観覧出来れば、駐車場、バス乗り場に近い上流側に観覧客は集中すると予想していたが、
露店がたくさん並ぶ下流側に多くの人が集まったようだ。



そしてさらに驚いたのは川に浮かべられている筒の配置。
芦田川大橋から上流に向けて1キロ以上に渡って大小のイカダが17か所設置されており、
今までいろんな花火会場に足を運んできたが、久しぶりに花火現場の凄さに圧倒された。
とりあえず打ち上げ正面エリアに辛うじて1人分の三脚を置いたものの、
本当に正面で撮って良いのだろうか?と再度現地調査。
このスケールな演出を撮るには背後に下がるか、両サイドへ移動するか、
風向きを考えると西側の方が向いているが、車を止めた場所を考えると出来れば東側に居たい。
撮影に拘るなら山の中腹に家があり意外と東側の方が背景は美しく、
太陽が西に沈むので19時30分開始なら夕景花火が撮れる。
そこで目を付けたのが芦田川大橋附近の下流側だった訳だが、
やはり考えることは同じで、こちらも結構三脚を見かけた。
前景に露店も入るが風向きが悪いので、なるべく露店から離れたところをキープ。
場所的には悪く無いものの、あと20mほど上流に移動すればよかったが既に三脚が並んでいたので仕方ない。
先ほど仮置きした三脚を取りに行き、3日連続今日もたくさん歩いて汗を掻いた。



日中は暑かったが、この数日に比べると西日の和らぎが少し早く感じられた。
会場周辺に避難できる建物も木陰も無いのでどうなるかと思ったが、
近くで雨が降っているせいか、風も強くてお蔭で待ち時間はそこまで過酷ではなかった。
さすがに西側の土手や上流側へ歩く気力は無いので、のんびり変わってゆく芦田川の景色を眺めて花火打上時刻を待つ。
18時になると土手の道路が車両通行止めになって歩行者天国になり、
花火客のピークが本格的にスタートする。
時間が過ぎると共に訪れる花火客の人数が凄くて、
地元住人が涼しくなった頃を見計らってやって来たのかわからないが、凄い人数が次から次へとやって来る。
河川敷もかなりの面積が埋まり、土手の道路は本来観覧禁止だが、
警察も注意することなく、自然と観覧場所になっていった。
19時になると芦田川大橋が通行止めとなり東側の混雑はピークを達する。
周りに高い建物が無いので、花火を見ようと思えばどこからでも見れるし、
芦田川大橋下流側は空いているのに、混雑する所へ人は集まる。
そして最後まで見ずに早々と帰るのだから不思議である。

それにしても9年振りの来場となったが、
今年が特別なのか、それとも年々人気が出ているのか客足も早く、来場人数もかなり増え、
何よりカメラマンの人数がかなり多くて驚いた。
今回はたまたま良い場所が確保出来たが、本当に拘りの場所をキープしようと思えば、
早朝に来て押さえておいた方が良さそうだ。



19時30分、太陽も沈み背後に迫る入道雲に怯えながら花火大会が始まる。
空も青みがかかり綺麗な夕暮れ空。
山の中腹の灯りが芦田川に映りとても綺麗で、
早く花火よ上がれ!とレリーズを握ったものの、
市長の挨拶に始まり、議員の祝辞の紹介など10分くらい経ってようやくオープニングのカウントダウンで幕を開けた。
フィナーレと3部の構成で、その中から11のプログラムに分けられ約16000発が打ち上がる。
全長約1.4キロの水上スーパーワイド花火と呼ばれる仕掛けは、
小さなイカダにある筒を見て最後のフィナーレ用だと思っていたが、
まさかオープニングから登場し、その後も何回か披露された。
水面に浮かべられている灯籠も珍しい演出だと思いきや、
半年かけて開発されたと言われる花火の音に反応するイルミネーション。
その他、全編に渡る音楽花火に両岸からのレーザーなど、もはや自分が見てきた芦田川の花火とは別物になっていた。
オープニングはモーニング娘のアップテンポな曲に乗せて、見事にワイドスターマインや水上スーパーワイド花火がシンクロされる。
正直、これほど凄いとは思わなかった。
大玉が上がらない現場では、西日本一と言っても過言じゃない演出。
オープニングから見事に来場者の心を掴み大喝采。
その後も人気ソングで若者の心を掴み、アニメソングで型物花火を上げて子供の心を掴む。
国友の現場といえば、いつどこでプログラムが変わったのかわからず淡々と進んでいくイメージがあるが、
プログラム1つ1つにアナウンスが入り花火の説明がされる。
時には長いと思う人もいるかもしれないが、撮影側にとっては煙が掃けて嬉しい演出だった。
お蔭でこれほどの物量の打ち上げで風下だったのに、次のプログラムが始まる頃には綺麗さっぱり煙を掃かしてくれた。

フィナーレは冠菊から銀の大空中ナイアガラはもうすっかり定番になっているが、
さすがにこの規模は今まで見たことが無く、凄いとしか言いようが無い。
考えてみれば大玉のワイドに比べれば見劣りするだろうけど、
芦田川でこの規模の花火が上がることに意味があり、
すべてにおいて今回の演出を企画、そして実現させたまさに市制100年にふさわしい花火大会だった。
そして参加出来て本当に良かった。
この演出を今後もキープさせるには相当の予算が必要なので、
来年以降は通常演出に戻ると思うが・・・来年の芦田川も目が離せない。

久々に時間を感じさせない1時間の花火大会で開始が早かった分終わったのは21時前。
前回は路地を走ってスムーズに帰宅出来たが、
今回はそういう訳にもいかず2号線に出るまで一苦労した。
それでも2号線は渋滞も無く駐車場を出てから1時間で家に戻ることが出来た。
日付が変わっても入江大橋付近は渋滞していたところを見ると、
まともに臨時駐車場に止めていたら何時に帰れたことか。
そして砂埃が舞う蒸し暑い中で長蛇の列が並ぶ福山競馬場跡地のバス乗り場の地獄絵図を想像してしまった。
花火の演出は素晴らしかったが、その後の来場者に対する対応は9年経っても優しく無い花火大会だった。



写真館 二千年一夜