三江線〜広島県作木村、島根県大和村

以前はよく三次の雲海を撮影しに行っていたが、
ここ数年、あまりの人の多さに足が遠のいていた。
去年かいつか忘れたが展望台が新設されて気にはなっていたので、
季節外れではあるが久々に行ってみることにした。






今の時期、4時前には現地に着きたかったので2時30分に家を出発。
雲海というよりも街明かりが見える程度の薄い雲海を期待して、
頭の中に描いた理想の光景を撮りたいと思っていた。
久々に訪れる高谷山。
街中は霧の姿は見えなかったが、山道を上がっていくにつれて霧が出迎えてくれる。
しかしここでの出迎えは嬉しくない。
というのも、気温が高く霧が上昇している証拠で、
案の定、展望台は霧に包まれていた。
その時点で戦意喪失。
一気に眠気と疲れが襲ってきた。
もちろんカメラマンも観光客も誰1人いない。
いるのは道中に遭遇した巨大なイノシシくらいだろうか。
あまりの不気味な雰囲気に早々と撤収した。





このまま手ぶらじゃ帰れないということで、
三江線を撮るべく作木へ向かう。
国道375号線を江の川沿いに北上してお気に入りの撮影ポイントである第三江川橋梁に到着。
まずは三次行きの宇都井駅6時31分の始発を狙う。
前回は水を張った田んぼを前景に狙ったが、
すっかり苗が成長して緑の絨毯になっていたので、
今回は川を入れて正面から狙ってみる。
ただ霧が晴れず薄ぐらい光景にシャッタースピードは上がらず寒い光景になってしまった。
仮に晴れていても日差しが当たっていたかどうか微妙だが、
撮影するタイミングとしては次の8時台がベストだろうか。



先程通過した気動車を追っかけ次にカヌー公園へ移動。
6時51分、作木口駅発を撮影。
この時間にしてもまだ霧が晴れず上空は曇り空状態。
今日は朝から晴れの予報だったが、
霧の出る朝はその日1日天気が良いというので、8時台に期待する。

次の撮影ポイントは作木口から少し三次側へ上がったところに決める。
流れが弱く江の川の沿線はもちろん山の木々まで川に写り込みとても美しい。
日差しが当たればさらに川に写り込むはずだが、
果たして日差しは出てくれるだろうか。
時間潰しにその周辺をウロウロしていると道沿いに白いアジサイらしき花が咲いていたので、
それを絡ませて構図を練ってみた。
しばらくして雲と雲の隙間から青空が見えて若干弱いながらも日差しが出てきた。
完璧な日差しという訳ではなかったが、8時37分の作木口発を撮影。



予定ではこのまま帰ろうと思ったが、
せっかく日差しが出てきたので次の10時台まで粘ってみる。
作木へ行く道中、信木駅周辺がとても雰囲気が良くて気になっていたので移動。
1時間30分以上の待ち時間があるので車内で仮眠をとるが暑くて寝られず、
外で影に当たっていた方が涼しくて心地よい。
国道375号線も道路が広くなりすっかりアクセスが楽になったが、
それでもまだ一部、狭い道の状態で離合困難な場所もあり、
信木駅周辺はまさにそんな感じだった。
しかしそんな狭い国道に秘境感がありどこかワクワクさせてくれる。
広いだけが国道じゃないということを思い知らされ、さすが300番台の国道だけある。
信木駅の周辺は面山の麓にあり、石州瓦の集落が集まり、
まさにこの集落のためだけに設置された駅のように見える。
もし三江線が廃止されバス移動になったとして、
どうやってバスがその集落へ行くのだろうか。
朝の景色が嘘かのごとく青空が広がり日差しが眩しく梅雨時期とは思えない光景になってきた。
日差しが当たる緑の景色は基本マイナス補正するが、
川の反射と青空が入れば少し頭を悩ませる。
幸い駅に止まるので数段階、補正すれば良いのだが鉄道撮影は本当に難しい。
信木駅にようやく気動車がやってきた。
撮影後、すぐにカヌー公園へ移動。
意外と余裕で追い抜き無事に撮りたい鉄道風景は撮れた。
このまま第三江川橋梁まで行けば良いのだが、
そこまで元気は無くこれにて終了。
次の便は上りも下りも14時以降だが逆光になるので撮影に向いていない。
午後から狙える場所を開拓するのも良いが、
やっぱり午前の景色は本当に心癒されるので、
何とか廃線は撤回して大勢の観光客に訪れてほしいと願う。



余談ではあるが、翌日の父の日にこの癒し系スポットである三江線へ両親を連れて行った。
川の駅で昼食を食べ、カヌー公園のテラス席で食後のコーヒー。
午後だとテラス席に日差しが当たるので暑いが、幸い曇っていたので涼しくて気持ちよかった。
川の駅も地元で採れた食材を使っているので本当に美味しい。
乗って残そう三江線、という文字をいろんなところで見かけるが、
土日の臨時便、トロッコ列車、観光列車の企画など、
自治体とJRが協力してぜひ町おこしを盛り上げてほしい。
まさに「乗って食べて撮って残そう三江線」



写真館 二千年一夜