山王寺の棚田〜島根県大東町

何度も訪れている山王寺の棚田だが、
以前から水が張られた光景を撮りたいと思っていた。
なかなか5月中旬に訪れることが出来なかったので、
今回、念願叶って撮影条件が合ったので行ってみることにした。








日付が変わって0時30分に家を出発。
途中、30分ほど仮眠をとって現地に着いたのは2時30分頃。
本来なら夜間撮影をすれば良いのだが、
生憎、高感度を備えたデジカメじゃないので夜が明けるまで車内待機する。
4時頃になると肉眼でも周りが見えるくらい明るくなり、東の空が明るくなってきた。
日中は連日の真夏日を記録しているが、朝方になるとさすが標高が高いだけに一桁台まで下がる温度差。
薄着していたのでさすがに寒く山の早朝を甘く見ていた。
ここまでの道中、まったく霧が発生していなかったので、
雲海は諦めていたが、朝の冷え込みのお蔭か東方面は見事な雲海が広がっている。
もうひと山越えれば棚田まで雲海が迫ってくる勢いなのだが、
残念ながらそこまで勢いは無く、理想の景色にならず。
おまけに休耕田が多く何とも中途半端な棚田風景にショックは隠せなかった。
今の時代、仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが、
かつて全盛期だった頃の姿を見てみたい。



何度も訪れているがさすがにありきたりな定点観測になってしまうので、
たまには違うところから狙おうと思って少し上部から狙ってみようと思ったら、
先客が1人撮影していた。
少し高い位置だけに棚田が立体的に見えて美しいが、
方角から大山も雲海も何も見えないただの殺風景な棚田の景色となってしまう。
山王寺の棚田といえば、大山と雲海を入れてこそ完成される。
大山は拝めたものの雲海は山に堰止められ、
休耕田も多く自分が描いた完成度の高い写真には程遠い結果となってしまった。



夜明けの4時から始まり山から太陽を覗かした瞬間を撮って終了。
正味1時間ほどの早朝撮影だったが、やはり空気が美味しくて気持ち良い。




三江線〜広島県作木村、島根県大和村

天気も良くせっかく島根と広島の県境を走って帰るのなら、三江線を撮影しようと国道375号線を走ってみた。
三江線といえば江の川を走る沿線なので、どうしても江の川無しの構図は考えられないが、
雰囲気の良さそうな作木から大和まで範囲を絞って撮影場所を探してみた。
帰りはやまなみ街道を通らず国道54号線を南下。
赤来から県道を走って大和に入る。
何だか見慣れた景色だと思ったのは4月に桜撮影で訪れたばかりの町であり、
さっそく雰囲気の良さそうな場所を見つけた。
まだ山の上部に霧が残り雰囲気はとても良い。
7時15分、タイミングよく宇都井発江津行の始発の便が迫っていたので、早速撮影態勢に入る。
そしてしばらくして1両の気動車がやってきた。
非電線化の路線なので電車ではなく気動車。
1日片道4便しか走らない貴重な光景をシャッターに収めた。



その後、久々に宇津井駅に立ち寄ってみる。
以前、ライトアップで訪れたことのある日本一高いホームで有名な無人駅。
今の時期、水が張られた田んぼに駅が映り込む姿を見ることが出来る。
ただ残念ながら電線、電柱で思うような撮影は出来なかった。



その近くに江の川を渡る第3江川鉄梁という鉄橋と出会い、
その光景を見た瞬間、久々に心踊らされた。
しかも田植えを終えた田んぼに写り込むのだから、
もしかしたら三江線の中で一番美しい鉄道風景かもしれない。
8時17分、宇都井着三次行を撮影。
まさかの2両編成に驚いたが、
今日は見れないと思っていた神楽のラッピング車輌が見れたのは運が良かった。





予想以上の景色に出会い満足の中、家路へ向かっていると
作木で先程撮影した2両編成を追いついてしまった。
途中、撮影ポイントであるカヌー公園に寄ってみようと思っていたのでちょうど良かった。
急いで撮影準備に取り掛り8時37分作木口発の車両を撮影。
もう少し時間があれば構図を練って撮影したかったが、
それでも三江線らしい撮影が出来たのではないかと思う。



鉄道撮影をするなら鉄道の魅力を引き出すことが最大の目的だが、
個人的には風景に溶け込ませたい拘りがあるので、
三江線はまさに自分の想像通りの景色が広がっており、
鉄道好きというより風景好きが撮りたい鉄道風景じゃないかと思う。



写真館 二千年一夜