やつしろ全国花火競技大会〜熊本県八代市

4月に発生した熊本地震の影響で今年は開催自粛を覚悟したが、
自粛や規模を縮小するどころか、玉数を例年より増やし復興祈願花火というプログラムが用意されていることを発表された。
開催に関しては大きな決断、批判もあったかもしれないが、
開催される以上、ほんの少しでも復興祈願に携わりたい気持ちを込めて、今年も八代へ向かった。
ちなみに例年だと八代遠征に高速代だけで1万5千円かかるが、
今年は九州周遊パスの恩恵を受けて約1万円に抑えることが出来るので、
その分、熊本でお金を落とせればと思う。

出発は去年同様、朝の買い出しを終えて7時30分に高速道路に乗る。
見事な快晴で絶好の八代日和。
特に渋滞も無く気持ち良く順調に車を走らせたが、熊本市を過ぎた辺りで復興工事で数キロ渋滞に30分以上のロス。
高速道路から少しだけ見えたが、ブルーシートで覆われた家、崩落したのり面など地震の爪痕を目の当たりにした。
今回は会場に寄らずそのまま日奈久駐車場へ向かい、会場に着いたのは14時30分頃。
いつもの土手下流側に三脚を置いて、その後は現地の雰囲気を味わいながら現地調査、散策、物産コーナーで買い出しという毎年変わらずの行動。
物産館では熊本県内のご当地グルメがたくさん出店されて、
どれを食べようか考えても仕方ないので、結局、いつもの弁当と唐揚げという組み合わせに落ち着いてしまう。

たまには違う所から撮影しようと毎年思うのだが、やはり会場の雰囲気を味わってしまうと対岸に行けず、
帰りのシャトルバスを考えると有料席や上流側は遠すぎるので、結局、いつもの土手下流側になってしまう。
ただ土手下流側と言っても、微妙の数メートル違うだけで少しだけ雰囲気の違う絵になるので微調整が必要となるが、
ただ撮影するなら、毎年安定している風向きを考えて上流側が妥当であり、
過去に一度だけ撮影したことがあるが、実際に空いているので撮影はしやすい。
今年は上流側で新たに有料撮影スペースを設けているので、一般スペースは早くから確保する必要があった。
土手を降りて河川敷から撮影するのも面白いが、10号玉やワイドスターマインを撮影するならやはり土手が撮りやすい。
あれだけ天気が良かったのに、八代市内に入った頃から曇空へ変わり、
気付けば雨がポツポツと降ってきた。
予報ではほぼ降らないはずだが、アメダスを見ると雨雲が迫ってきており、
この時点で雨は避けられないと覚悟した。


※いつもの場所より





去年は綺麗な夕焼け空だったが、今年は今にも降りそうな雨雲が広がっている。
その後、小雨が降ったり止んだりの繰り返しだったが、始まる前になると止むことは無くなり、
会場からは徐々に傘の花が咲き始めた。
18時00分、相変わらず市長の長い挨拶が終わると競技大会前のオープニング花火が打ち上がる。
去年からナイアガラが無くなったが、流行りの曲に乗せて250mワイドスターマインで来場客は大いに沸いて心を掴む。
やはり何をするにもオープニングが肝心である。
競技トップバッターから野村花火と真打登場。
美しい5号玉と見事な5重芯が八代の夜空を飾った。
今年は復興祈願ということもあり、
出品者からは「復興」という意味が込められている作品もよく見かけ、
今年は競技大会とはどこか違う雰囲気を感じられたような気がした。

九州業者のスターマインは、どの音楽を使用して打ち上げるのか楽しみの1つであり、
スターマインの部のトップバッターである高田花火では、医龍のテーマ曲が流れた時は鳥肌が立った。
ハロウィンをテーマに生島煙火はキャリーパミュパミュの曲に乗せて見事にハロウィンを再現。
その後、何と唐津煙火も同じ曲を使用するという未だかつてないダブルブッキング。
同じ曲でも演出によって見比べるのも面白いかもしれないが、本当に珍しい事件!?である。
打ち上げ場所が目の前にある木にかぶって邪魔だと思ったが、
競技が進むにつれて上流へ移動したので支障は無かったが、
いつもながら年々成長していく木には頭を抱える。
ただシルエットになることで八代らしさがあるという意見もあり、一概には言えない。


※新たに新設されたカメラマン席

1部と2部の間に用意されているのが、妖怪ウォッチ花火。
雨の影響で子供たちがどれだけ楽しめたかわからないが、
招待された家族達には花火を通して笑顔になって欲しいと願う。
ゼクシー協賛による恋結火はサビまで音楽のみでトラブルなのか演出かわからない内容だったが、
サビの部分で見事なワイドスターマインが打ち上がる。
そして嵐の曲に乗せた復興祈願花火。
今まで何度か八代の花火を見てきたが、
復興をテーマに花火を見ることを想像したこともなかった。
ワイドに打ち上がる素晴らしい花火を通して、多くの人が復興を願う花火になってほしい。

2部と3部の間に行われるミュージック花火はタイトル「MUSIC」と珍しくストレートなタイトルにどのような演出なのかとても気になった。
例年に比べると壮大な音楽に乗せて明るめの花火演出だったのもやはり震災に配慮しているかどうかはわからないが、
ここ数年と比べると思考を変えてきた演出だったと思う。
ミュージック花火は全国各地で見ることが出来るが、
八代のミュージック花火は他と少し違って良くも悪くもオリジナリティが強い。
今年も凄い物を見させてもらったが、やはり雨に降られたことに悔いが残る。
撮影は去年同様、構図を固定してファインダーを通さず肉眼で花火を見ながらレリーズを押す。
以前は縦構図で28mmは入らなかったが、
去年からすっぽり入るので、広角レンズを横用で装着。
横だとすべて入るが迫力に欠け、縦だとすべて入らないが一部切り取ることで迫力が出る。
これは自然、風景と同じことが言えるが、
どうしても欲張りな性格なので広角レンズですべて入れたがり、
そしていざ現像を見て、迫力の無さに幻滅させられる。
それ以前に今年は雨でどのように仕上がっているかわからないが、
デジカメみたいに少々の雨滴は写らない・・・はずなので、
それもまたフィルムならではの楽しみだったりする。


※土手上流側より、撮影はしやすいが日奈久シャトルバスから遠いのが難点

開始前に降り出した雨は結局、最後まで止むことはなかった。
たまたま用意していた雨具で撮影は出来たが、
雨からカメラを守りながら撮影することで精一杯で花火観覧に余裕が無かった。
あまりに雨が酷ければ撮影を辞めて観覧に集中しようと思ったが、
目の前に素晴らしい花火が上がれば撮りたいというのが正直な気持ちであり、
一応撮影はしてみたものの、果たしてどれだけ雨の被害を被ってしまったか・・・
しかし本当に今年の八代は素晴らしく良かっただけに雨が降ってしまったことと、
例年に比べるとやはり来場者は少なく感じられたのも残念に思う。
ただ帰りのシャトルバスは意外と早く乗れて21時30分に駐車場に戻ることが出来た。
帰りは北熊本SAでラーメンを食べるのが楽しみの1つなのだが震災の影響で休業中。
仕方なく次のSAでラーメンを食べたが、イマイチ美味しくない。
食べ終わった頃に、そういえば去年も同じところで食べたことに気付いたが時すでに遅し。
熊本ICを抜けるまで工事渋滞で結局、家に戻ったのは日付が変わる頃となった。



写真館 二千年一夜