三江線の紅葉〜広島県作木村

三江線の紅葉撮影から2週間。
去年、たまたま三江線の紅葉撮影に出掛けた時に出会った双子のイチョウの木に再び会いに行く。
天気予報は高気圧が広がり朝から晴れの予報。
昨夜までの雨がどれだけ影響があるか現地に着いてみないとわからないが、
やはり三次市内に入ると霧がかかっていた。
三次市内から国道375号線を走っていると、思いのほか早く着いてしまい、
予定外だったが7時台の三次行き421Dを信木駅で迎え撃つ。
霧のかかる薄暗い条件でシャッタースピードは出ないので、
駅に停車する信木駅は撮影に適している。
すっかり綺麗に整備された道路沿いから待ち構えていると、
霧の動きが変化していき、東の空が徐々に明るくなっていく。
紅葉も終わり少し寂しい景色だが、駅周辺の家々と霧が信木駅らしい景色を作ってくれた。
小さなホームには老婆らしき人が1人待っており、
連日の混雑とは程遠い喉かな光景であった。





カヌー公園で双子イチョウを見届けた後、いつもの撮影ポイントに到着。
前回は定番中の定番である作木口駅附近から狙ったが、
山に日差しが当たらず敢え無く撃沈したので、
前回の反省を踏まえて少し上流、熊見トンネル出口付近から8時台の三次行き423Dを狙う。
数十メートル移動するだけで違う光景が楽しめるのもこの場所の特徴であるが、
正面よりも角度を付けた方が三江線らしさが出る。
霧は相変わらず晴れないが、霧の動きによっては山に日差しが当たったり当たらなかったりで、
風が止むと江の川に山が映り込み、静寂な景色となる。
辛うじて残っている紅葉に日差しが当たれば綺麗に輝いてくれるが、
霧が残ればそれはそれで幻想的で良い絵になりそうで、
あとは気動車が通過する時に少しでも良い条件であってほしいと願うばかり。
結果としては霧がかかる中、日差しは少しだけ当たり条件は割と良かった。
シャッタースピードは出ないが、この区間はゆっくり走ってくれるので問題は無かった。
絶望した2週間前だったが、これで思い残すことは無いかな。



423D撮影後、424Dまで時間があるので香淀のイチョウへ行ってみた。
朝は日差しが当たらないことは知っていたが、
有名なイチョウの木なので午後になると混雑するのを避けて朝に撮影。
数日前の新聞では見頃を迎えていたと記載されていたが、
既に落葉が始まってイチョウの絨毯となっていた。
わかっていたが日差しが当たらないと感動は無いので軽く撮影して終了。





9時過ぎにカヌー公園に行ってみると早くも先客のカメラマンが三脚を立てていた。
撮ろうと思えばどこからでも撮れるが、
それなりに拘って狙おうと思えば場所は限られる。
その限られた場所が既に抑えられていたので、
その近くに三脚を仮置きして、どこか良い場所が無いかと散策してみたが、
最終的にその場所に落ち着いた。
去年と同じ構図になってしまうが、まだ完全に真っ黄色になっていないのと背後の山が完全に落葉していないので、
去年と若干違う絵になると期待。
通過時刻が迫るにつれて多くのカメラマンや観光客が集まり、
石見川本行きの424Dは通過していった。



その後、どこか紅葉が残っていないかと北上して、個人的にお気に入りの第2江川鉄梁へ移動する。
残念ながら紅葉は殆ど終わり中途半端な撮影となってしまったが、
後にして思えば下流から狙えば良かったと反省。
この口羽以降は走行スピードが早いのでシャッタースピードが出ないと厳しい区間である。




INAKAイルミ〜島根県羽須美村

三江線の撮影はこれで終わりにして、
このまま家に帰るか、宇都井駅でINAKAイルミを撮影するか迷ったが、
時間もあることなので雰囲気だけでもと宇都井駅へ寄ってみた。
現地ではイルミの設置や屋台村の準備などで追われている中、
観光客が見学のためたくさん訪れていた。
たまたま団体臨時列車が宇都井駅に停車して、
訪れた観光客にとっては運の良い出来事だったに違いない。
何か食べられるものが無いかと思ったが、
屋台村はやはり夕方からスタートなので大和の道の駅で昼食を取ることにした。



昼食を済ませこのまま家に帰るのは勿体無いので、
結局、INAKAイルミを撮影すべく再び宇都井駅に戻る。
とは言っても13時30分とまだまだ時間があるので、
早起きしたせいもあって疲労と眠気がピークに達していたのでしばし仮眠をとった。
15時頃、今日はかなりカメラマンが押し寄せるであろうと推測していたので、
場所を抑えておこうと現地に行ってみると、
時既に遅しでお目当てのポイントは既に抑えられており、
先ほど早く現地入りした時に押さえておけば良かった。
ベストポジションは取れなかったが稲穂イルミの正面はまだまだ余裕があったので仮押さえしたが、
最終的にここで撮影することになる。



屋台村の設営状況を見ながら何を食べようか考えたり、
何度かやってくる気動車をどこでどのように撮影するかシュミレーションしているうちに、
太陽は徐々に傾き辺りは暗くなっていった。
時間が経つにつれて観光客やカメラマンはやってきて、
いつしか稲穂イルミ付近は三脚で埋め尽くされ、
かつて初めて開催された201年の時とは比べものにならないほどの混雑状況となった。
早くからライトが点灯しているので、
辺りが暗くなると駅やその周辺のライトが目立ち始める。
屋台村からは良い匂いが漂い、
早くから訪れている人達は一足早く地産の料理を堪能していた。
石見牛や石見ポーク、イノシシを使った料理など、
空腹時に撮影は出来ないので地元野菜がたくさん入ったとん汁を頂いた。

まだ完全に空が暗くなる前の17時台429Dがやってくる。
SLほど迫力は無いが、それでも汽笛が鳴り響くと周りから歓声が沸いて鳥肌が立った。
天空の駅と呼ばれる宇都井駅に入線する気動車はまさに銀河鉄道のようで、
多くの乗客を乗せて再び走っていった。
本来ならあっという間にいなくなるはずだが、
あまりの乗客の乗り降りに時間がかかり停車時間が長く余裕を持って撮影が出来た。
これで終わりにしようかと思ったが、
せっかくなので違う場所からも狙ってみた。
空が完全に暗くなると吐く息もより白く見えて気温が下がっていくのが肌で感じる。
それなりに防寒対策はしてきたが手足がかなり寒くなってきて、
屋台村にソフトクリームを見て誰が食べるのだろうか!?と思ったが、
子供が食べている姿を見て、思わず自分の弱体ぶりに痛感させられる。
気合を入れて18時台432D、19時台433Dを撮影。
保険で停車した光景を撮影するが、
本命は躍動感ある絵にするため停車から発射するタイミングでシャッターを押す。
それが想像通りの絵に仕上がっていてくれたら嬉しいのだが。



残す20時台436Dの終電は体力と寒さの限界で断念してここで終了。
開催される場所が場所なだけに、
混雑するのは最初だけかと思われたが、
19時を回っても帰る人より訪れる人の方が多いのでは?と思うくらいの賑わいだった。
羽須美中学校からシャトルバスが出ているが、
乗車するのにかなりの時間がかかったに違いない。
近くの駐車場も満車を超えて溢れかえっていた。
三江線が廃線となり今年最後のイベントになるかどうかわからないが、
たとえ廃線になってもこのイベントをこれで終わらせるには実に惜しいので、
今後も続けて欲しいと願いたい。



写真館 二千年一夜