米見山の雲海〜広島県豊松村

雲海というのは年中見れるものだが、
一般的には気温差が大きい9月末、所謂、雲海が見られる可能性の高い季節が始まった。
すっかり雲海撮影から遠ざかっていたが、
SNSの刺激を受けて天気の良い日に標準を合わせて狙っていた。
今度の土日は雲海が発生する可能性が高く、天気も良さそうなので
今回、初めて訪れる紙ヒコーキタワーでお馴染みの米見山に決めた。
土曜日も綺麗な雲海が出たらしいが、
前日の夜に見た衛星によると雲が広がる予報だったのと仕事疲れで断念したので、
気持ちと体力を温存して日曜日の早朝3時30分に起床。





満天の星空の下、1時間30分かけて車を走らせる。
井関を過ぎた辺りから濃い霧に見舞われたが、
そこ以外は現地に着くまで霧に遭うことは無く、
今日はもしかしたら雲海が出ないのかと不安になった。
国道182号線沿いに米見山の案内板が立っており、
県道から分岐点がある度に案内板があるので迷うこと無く、
また米見山へ続く道も比較的走りやすく、初めて訪れる人にとっても安心して行くことが出来る道であった。



現地に着いたのは5時20分頃、東の空が薄ら明るくなる時間帯。
麓の気温は11度で雲も風も無く絶好の雲海日和。
山頂には車の姿は無くカメラマンは誰もいないのは意外だったが、
山頂に聳える紙飛行機タワーに入れなかったのは想定内。
展望台となっている紙ヒキーキタワーは有料施設なので、
当然のことながら早朝から開いている訳が無く、
タワーの近くに東方面を望む小さな展望台があり、そこから雲海を望むことが出来る。
その肝心な雲海だが、北方面や東方面の遠い山の向こうに雲海が発生しているものの、
山の麓の町内に雲海の姿は無い。
北方面に視野の開けた場所は無いし、タワーには上がれない。
綺麗なかぎろいが発生しているのに雲海が無ければ意味が無く、
今日は駄目かと諦めかけていたが、時間が経つにつれて徐々に北方面から霧が流れ込んできた。
北方面に霧が大量発生していることから、発生源は備中湖、成羽川あたりからだろうか。
もう少し冷え込みがあれば早くから霧が流れ込んでいたかもしれないが、
何はともあれ町内の家々が見え隠れするくらいまで霧が流れて、
太陽が顔を出す前に雲海らしい景色が広がった。
上空は真っ青な空にどこからかやってきた雲が発生して赤く染まった。
標高600m以上もあれば眼下に広がる雲海とまではいかないが、
水墨画のように霧で見え隠れする山々の景色は個人的に好きな雲海であり、
太陽を正面に見る雲海は、太陽が昇った後も刻一刻と姿形を変えるのも雲海も魅力であり楽しみである。





思いのほか楽しい撮影となったが、この日訪れたのは家族1組のみ。
小さな展望台は多く見積もってもカメラマン5人くらいで定員オーバーになり、
見学者でもいれば微妙に揺れるので決してシーズン中の撮影は向いていない。
結果としては誰も来なかったこの日に訪れて雲海撮影出来たのは大きな収穫となった。
太陽が完全に昇りしばらくすると見え隠れしていた麓の集落は早々と霧が無くなった。
7時くらいに撮影は終了。
ひと段落したところで、改めてタワーの周辺を散策してみたがやはり視野の開いた場所は無く東方面のみ。
早朝にタワーに上がれないとは、何のための展望台なんだか・・・
しかも入場料300円。
エレベーター完備の立派な展望台で天気が良ければ大山や比婆山連峰まで見渡すことが出来るらしい。
恋人の聖地として認定され紙ヒキーキと飛ばせることをウリにしているが、
果たしてどのくらいの利用者がいるのか、どう考えても税金の無駄であり、
何故に雲海という観光資源を活かさないのか神石高原町に言いたい。



帰る途中、雲海の名所で有名な弥高山の案内板を見かけた。
何故にこんなところに!?と思って地図を見ると、
豊松地区は広島県と岡山県の県境に位置し、
弥高山はその県堺にあるため、実は豊松から近いことが判明。
過去に一度だけ、井原経由の313号線を走って行ったことあるが、
もし今度行く機会があれば豊松経由で行くとアクセスが楽かもしれない。



写真館 二千年一夜