浄善寺の大イチョウ〜島根県大田市

去年、SNSで一躍有名になった浄善寺の大イチョウを見たくで撮影の計画を立てていた。
この日は生憎の雨予報で、観光客も少なくて都合が良いと思っていたが、
前日くらいになってから晴れマークへと変わり、嬉しいような残念のような複雑な気持ちだった。
14時過ぎに家を出て、廃線になった三江線を横目に国道375号線を北上。
すっかり晩秋の景色になっていたが、西日に当たる江の川沿いの山は綺麗だった。
三瓶温泉街を過ぎて紅く色付いた三瓶山を背景に西の原は喉かでとても絵になる光景に、
ちょっと外に出て散歩しようかと思ったら、あまりの風の強さと冷たさに断念。
早朝に訪れると幻想的な光景に出会えるかもしれないが、
三瓶山付近はまったくの未開拓なので、いつか力を入れて撮影してみたい。



浄善寺に着いたのは16時30分頃。
既に駐車場には何台か車が止まっており、
その後、続々と車がやってきた。
境内は思ったほどの混雑は無かったが、
狭い境内なので無人状態での撮影となると少々時間がかかりそう。
暗くなるまで構図を練りながら散策していると、
17時にライトが点灯された。
曇りのち晴れの予報になったとはいえ、
多少の雲が広がるだろうと思っていたが、
驚くほどの快晴で西の空は雲1つない澄み切った青空が広がり、
時間が経つにつれて夕焼けの赤からブルーモーメントへと変わっていく。
この瞬間こそが最も美しい時間帯で急いで撮影に取り掛かった。
予め練っておいた構図で撮影を行うが、
こういう時に限って観光客も大勢訪れたりするもので、
去年無かったベンチが幹の近くに置かれ、大枝にブランコが掛けていたりして、
観光客にとっては絶好のSNS映えポイントであり、
あっという間に終わるトワイライトのタイミングに思い通りの撮影が出来ないもどかしさが続いた。





徐々に空は暗くなり、お蔭で周りの障害物も暗闇に消えていき、
これで心置きなく人が掃けるのを待ちながらシャッターチャンスを待ち続けた。
しかしトワイライトの光景ほどの感動は無く、
18時を過ぎた辺りで程々に撮影して終了。
地面にそれなりのイチョウの葉が落ちていることから、
全体的に散り始めかけているが、そこまで目立った落葉姿ではなかった。
時折吹く風にたくさん舞い散っていたので明日の朝は黄色い絨毯が一面に広がっているに違いない。
例年だと24日くらいが見頃で、それに合わせて浄善寺でも催し物が行われるらしいが、
多分、来週末はもうすっかり落葉しているだろう。



それなりの混雑を覚悟していたが、思ったほどの混雑ではなかった。
最寄りの公共機関といえば便数の少ないバスくらいで、
近くに高速道路が走っている訳でもなく、交通の便の悪さが幸いしたのかもしれない。
よほどの物好きでない限り、イチョウだけを目当てに遠くから訪れる人はいないと思われるが、
せっかく三瓶山や三瓶温泉、世界遺産にもなっている石見銀山があるのに、
上手く観光資源を生かされていないのが勿体無いような気がした。




写真館 二千年一夜