木次線〜広島県西城町、島根県横田町

春の新緑シーズンに木次線を訪れたのはこの日のためと言っても過言ではない。
以前から紅葉の木次線を撮りたいと思って何度か訪れたことがあるが、
タイミングが合わなかったり天気に恵まれなかったりしたが、
ようやく晴れの日に撮影する機会が訪れた。
昨日に引き続き今日も良い天気なのでどこか雲海を撮りたい、
という気持ちを押さえて始発に間に合うように5時30分に出発。
霧に包まれる尾道松江線や庄原を走り、
もしかして木次線エリアのおろちループにも霧がかかっているかも!?と期待したが、
不思議なことに西城町内の手前で霧のトンネルを抜けて青空が広がっていた。


※梶谷トンネルポイント、朝は日差しが当たらない。



約2時間で木次線エリアに到着。
まずは一番の本命であるスイッチバックお立ち台ポイントへ向かう。
7時40分、旧国道の悪路を下り現地へ到着。
幸いなことにまだ誰も来ていない。
このポイントはどちらかというと朝には向いていないかもしれないが、
霧が出ているかもと期待して寄ってみたが残念ながら霧どころか霞みすら無かった。
それでも朝の日差しが山に影を生んで立体感のある光景に見応えがあり、
紅葉も今が見頃で綺麗に色付いていた。
ただ新緑シーズンの時には気付かなかったが意外と杉が多く思ったほどの感動は無かった。
結局、誰も来ないままこの景色を独り占めして8時台の下りを撮影。


※意外と杉が多く広葉樹の色付きが少ない

次に移動したのは多くのカメラマンが集まる人気の唐松ポイントから上りを狙う。
ここもまた幸いなことにカメラマンは1人のみ。
唐松ポイントは唐松に日差しが当たり黄金に輝いていたが線路は陰っていたので、
車を止めた所から狙うことにした。
日差しが当たって色付いた唐松や広葉樹が綺麗だったが、
キハ120がやってくる時に太陽が雲に隠れて不発に終わるという何とタイミングの悪さ。
追っかけでやって来たカメラマンが多く、気付けば周りに5人くらいのカメラマンで賑わっていた。



12時台の奥出雲おろち号下りまで時間があるので、
出雲坂根駅で名物の焼き鳥と仁多米産の山菜おこわを昼食用に購入。
木次線撮影の時は出雲坂根駅で焼き鳥を買うのがすっかり恒例となってしまった。
待ち時間が2時間ほどあるので梶谷トンネルポイントへ移動して先ほど買った昼食を食べて仮眠。


※道の駅より、午後になると陰になるので午前がベスト



朝は日差しが当たらないが訪れた時は渓谷全体に日差しが当たって撮影するには絶好のコンディションだった。
風が無ければ川の水面に山や鉄橋が映り込んで、鉄道風景としては最高に美しい。
ただこのポイントは車を止めるスペースがかなり限られているため、
敢えて追っかけはせずに場所を確保するために早めに来た甲斐あって一番乗り。
ところが12時を過ぎた辺りから徐々に川の周辺に陰が生まれ、
このままだと赤く色づいた紅葉も陰ってしまう、と思ったときに何とかおろち号が通過してくれた。
5月の時には気付かなかったが、
川へ降りられる道があり、旧道よりも水面を多く写せて構図的に良かったのだが、
廻りのカメラマンにとっては大いに迷惑となるので、
もし撮るなら早くから三脚を立てらせておけば良かった。


※左:川に降りて撮影、右:旧国道より。ちなみに下りのおろち号は後ろ向きでやってくる

折り返しのおろち号をどこで狙おうかいくつか候補があったが、
唐松ポイントはポスターになっているだけあってカメラマンで賑わっており車を止める場所すら無かった。
スイッチバックのお立ち台も既に5台ほど車が止まって三脚が針のように立っていたが、
撮れないこともなくここで狙おうか考えたが、
思いのほか平凡な景色で朝に撮影しているだけあって止めた。
それならどこで狙おうか場所取り難民になっていたところ、
おろちループを下った所に数人のカメラマンの人だかりが出来ており、
ここもまた人気のあるポイントであった。
多分、場所は空いていないと思ったが、全然余裕だったのでここから狙うことにしたが、
歩道が無いので撮影するには少し勇気がいる場所で、
もし単独撮影なら止めておいた方が良さそうな雰囲気である。
午後の日差しが山に当たり色付いた紅葉が最も美しく見える瞬間の中、おろち号はゆっくりと駆け抜けていった。
車窓から見る景色はどんな光景が見えるのだろうか?とさぞかし車内は賑わっているのかと思ったが、
意外と空席が多く人気はあまり無いのかもしれない。
観光PR不足なのか、かつて陸の孤島と呼ばれた名残なのか観光にやってくる人はあまりいないのだとしたら非常に勿体無い。
三江線の二の舞にならなければ良いのだが、
きっと廃線が決まると大勢の人達が押し寄せるに違いない。


※上りは前進

おろち号が通過して閑散としているであろう唐松ポイントへ移動して14時台の下りを狙う。
カメラマンが1人いたが撮影に支障は無く、支障があるのは逆光のハレーション。
手すりを影にして何とかハレ切り対策して挑む。
木次線撮影には欠かせない唐松ポイントなので、
逆光ではあるが予想通り日差しの当たらないキハ120を撮影。



14時台の上りをどこで撮ろうか国道を走ってみたが、
意外と14時を過ぎると影が多く予定していた場所も使い物にならなかった。
またループへ戻るのも面倒なのでこのまま備後落合駅まで走り撮影場所を見つける。
通過したキハ120を追いかけることも出来たが、
再びループまで10キロの道のりを走る元気も無く、
次の16時台を待つのも翌日の仕事に差し支えるので今日はこれで終了。



紅葉は普通に綺麗だが木次線はその紅葉の中に埋もれてしまい、意外と撮影場所は限られてしまう。
午後より午前の方が開けている場所が多いような気もするが、
何せ午前だけでも上り下りともに1本しか無い区間なので選択の余地が無い。
ススキもあれば色付いた木々など探せばたくさん絵になる光景がありそうなので、
機会があればまた紅葉シーズンに訪れてみたいと思う。
その前に雪景色の木次線の方が先かな。



写真館 二千年一夜