やつしろ全国花火競技大会〜熊本県八代市

2年前は花火が始まる前に雨に降られ殆どの写真がボツとなり、
そのショックで去年は雨予報だったことで八代を断念した。
先週の大垣遠征から1週間、今度は九州に向けて片道500Kの道のりは正直言って腰が重かった。
去年みたいに雨予報であれば諦めも付くのだが、
今年は何と絶好の晴れ予報とあれば行かない理由が見つからなかった。
八代の花火はここ数年、メイン会場側から撮影しているが、
実はいつもメインと裏のどちらで撮るか迷っていた。
以前、何度か裏から撮ったこともあるが木々で視界が開けた場所は少なく、
どうしても撮影場所が限られていたのだが、
数年前から木々が伐採され、どこからでも見れるようになっていた。
天気が良ければオープニングスターマインをトワイライトの空を背景に撮りたいと思っていたこともあり、
今年は天気にも恵まれそうなので裏から狙うことにした。





7時頃、高速道路に乗り順調に車を走らせて八代に着いたのは13時頃。
八代神社など近い駐車場は早々と満車になっているようだが、
お目当ての県庁舎の臨時駐車場は満車予定時刻が15時頃なので全然余裕で止めることが出来た。
ちなみに9月の3連休に引き続き、今回も高速道路の周遊割引の恩恵を受けて高速代は往復1万円ほど。
この周遊パスは来年以降も継続してもらえると九州方面の遠征が気軽に出来て嬉しい。
会場まで3キロ以上の長い道のりだが、裏から狙うのなら3キロもかからないし、
八代ICから近いので花火終了後、どのくらいで高速に乗れるのか試してみたいのもあった。
そして何より臨時駐車場の中でも無料で止められるのが嬉しい。
球磨川土手の交通規制は14時からなので本格的に場所取りが始まる頃に合わせて現地入り。
ところが14時前に現地入りした時点で既に最前列は殆ど押えられており、
交通規制前は場所取りは禁止されているはずなのに、
安全柵にシートは巻き付けられていたり道路上にガムテープが貼られていたりしている。
若干、下流側と上流側にまだ余裕があるといったところだが、
最前列に場所取りしている人がすべてカメラマンという訳じゃないので、
観覧客らしき人を見つけて後ろで撮影させてもらえば良い。
1m下がったところで特に撮影に支障は無く、
後々背後の観覧客とのトラブルにならないように場所を決めて様子見。



見た所やはり真正面付近に三脚が集中しており、朝一番でも確保は難しいらしいが、
特に真正面に拘りは無く、何に一番拘りを持って場所を決めるかがポイントになっている。
今回の拘りとしては、構図の下部に草木が入らずなるべく視野が開けている場所、
太陽の沈む方向に花火の筒が設置されている場所、
真正面と思われるカメラマン集中スポットは太陽が沈む位置が少しずれているので、
そこから数十メートル上流から狙うことにした。

とりあえず場所を確保したところで、
遅い昼食を取ろうと会場の物産コーナーまで行く元気は無かったので近くのうどん屋で済ませる。
双眼鏡で対岸のメイン会場の様子を見てみると、
いつも撮影している場所が例年以上に混雑しており、
河川敷へ降りる道が目隠しされている影響かもしれない。
それにしても今日は本当に天気が良くて日差しや風が気持ち良い。
夜になると寒くなる予報なので一応防寒対策も用意しているが、
花火を見る環境では文句の無い条件であり、
いつもメイン会場では煙で泣かされているので今日は久々に綺麗な八代の花火が見れるかもしれない。
そう思うと居ても立っても居られず、無駄に上流や下流をウロウロしてしまった。
プログラムは以前は有料だったが、去年からスポンサーが付いたのか、
無料となっておりかなりボリュームのある内容になっているので見応えがある。
球磨川を目の前に出品者の玉名や解説を見ているだけで時間は流れていき、
時間が経つにつれて真正面から下流に向けて徐々に人が埋まっているようだが、
それでもメイン会場に比べると混雑の度合いがこれほどまで差があるのかと驚かされた。
以前は少しだけ露店があったような気がするが、
プログラムやグッズなどの販売所も無くなり花火大会の雰囲気がまったく無い。
たとえ混雑していても物産館で美味しい物を食べ歩きして花火を見るこの雰囲気は、やはりメイン会場でなければ味わえない。
そんな雰囲気が好きでここ数年、ずっとメイン会場から撮影していたが、
今回ようやくその呪縛から解けたような気がした。


※最前列は早々と場所取りが終了している



澄み切った青空もいつしか西の空に雲が広がり、期待していた夕暮れ空にはならないかなと思ったが、
その雲も次第に散らばり綺麗な夕焼け空となった。
花火が上がる頃に空に青みが残っていることが最大の条件であるが、
主催者の挨拶が手際よく終わってくれることを祈りたい。
18時00分、主催者の挨拶が終わり競技大会が始まる前にオープニング花火が披露される。
数年前までナイアガラとスターマインがオープニングを飾っていたが、
今ではすっかり250mワイドスターマインが定番となっており、
今年は最も流行ったであろうDA PUMPの曲に合わせて打ち上がった。
頭に描いていたとおり夕暮れ空を背景に花火が打ち上がり、
これが見れただけでも八代に来た甲斐があった。
メイン会場からだと近いと思っていたワイドスターマインも、
裏土手からだと程よい距離で広角レンズを横にして綺麗に収まり撮影はしやすかった。


※土手のすぐそばを走るSL人吉号

競技大会の参加業者は30社で去年から10号玉の部に九州業者も参加しており、
かつて小浜で行われた全九州花火師競技大会を思い出すようで嬉しかった。
5号玉の部、スターマインの部など花火師の技術とセンスによって素晴らしい花火が披露されていく。
ここでしか見れない業者もあればお馴染みの業者、特に先月は廿日市で生島煙火、姶良市で大洋花火も見る機会があったので、
個人的に一目置いて見てしまった。
ミュージック花火は「The Entertainer」というタイトルから、今年は例年以上に凄い演出を用意している予感がした。
音楽は「グレイテスト・ショーマン」に乗せて約7分間という青木煙火店によるミュージック花火。
打上幅も450mとこれほど規模の大きなミュージック花火が見れるのは本当に全国でもそう見れるようなものではない。
何年か前に同じ場所で同じような花火を見て、その時も確かに感動はしているはずだが、
以前とは比べものにならないくらい音楽とのシンクロの高さとパイロの技術などすべてにおいて凄かった。
あれだけの花火を打ち上げても殆ど煙の影響を受けなかったのも大きく感動を与えた1つだったが、
球磨川に映り込むロケーションの素晴らしさなどすべてにおいて良い条件が整っており、
もっと早くここで撮影すれば良かったと後悔してしまった。


※まだ暗くなる前に始まるトワイライト花火

時間が経つのはあっという間で、すべての競技大会が終わり、
恒例の八代愛唱歌に合わせて7号玉80発、10号玉30発の協賛花火で幕を閉じた。
いつもは八代愛唱歌を聞く暇も無く機材撤収してシャトルバスに向かって急いでいたが、
今日はのんびり片付けながら八代愛唱歌を聞くことが出来た。
メイン会場では花火業者との光の交流が行われており、
青白いLEDライトが無数に点灯して綺麗だった。
帰りは特に急ぐこともないし道路も渋滞しているだろうから、
昼食に寄ったうどん屋で夕食を食べた。
何年も八代に通って花火終わりにこれだけのんびりしたのは本当に久しぶりで、
ずっと立ち続けていた体を休息出来るのは嬉しい。
駐車場に戻ったのは22時頃ですっかり閑散としていたが、
目の前の道路は相変わらず渋滞している。
このまま八代ICまで行っても良かったが、
試しに迂回路になっている宇城氷川ICに向かってみると、
これが意外とスムーズに進み、国道3号線に出ると少し渋滞していたが意外と早く高速に乗ることが出来た。
このパターンは意外と穴場かもしれない。



写真館 二千年一夜