東平〜愛媛県新居浜市

まんのう公園でイルミの点灯式に合わせて花火が上がるので、
せっかく四国へ渡るのならということで愛媛、香川、両県の紅葉撮影を兼ねて計画を立てる。
今年は暖かいので紅葉のスピードも遅いということもあるが、
比較的瀬戸内海沿いに愛媛、香川の紅葉スポットは色付きが遅いようで、
ちょうど今が見頃だったり色付き始めだったりしている所がいくつかあった。
以前、一度だけ走ったことのある別子ラインも今が見頃ということで、
前回はさほど感動もせずただ通過しただけだったので、
今回はもっと時間をかけて撮影すべく最初に別子ラインに決めた。





7時に家を出発。
出発した時は青空が見えていたが、しまなみ海道を渡り四国へ入ると何故か曇空となっていた。
どうやら前日の雨が長引いて雲が掃けていない様子。
天気予報では晴れ時々曇りなので青空が見えても良さそうなのだが。
このままだと空振りで終わるかも、という不安が過るが、
何より交通費をかけて四国へ渡って収穫無しだとショックも大きい。
何とか晴れて欲しいという願いは何とか天に届いたみたいで、
新居浜市内に入った時は雲の隙間から日差しが当たり青空が見えて来た。

県道47号線を南へ進むと標高1000mクラスの四国山脈が立ちはだかる。
マイントピア別子を通り過ぎて所謂、別子ラインの入り口へ入るのだが、
9時を過ぎても渓谷に日差しは当たっておらずこれでは絵にならない。
先に市内の寺院を廻れば良かったか・・・
このまま引き返すのも面倒なので、
時間を稼ぐために予定には無かったが東洋のマチュピチュと呼ばれる東平へ行ってみることにした。
紅葉の名所という訳ではないが、
標高750mにかつて鉱山があった場所で、今は廃鉱となって観光地化されて多くの観光客が訪れている人気スポットである。



狭い山道を5キロほど上がり10時00分頃にようやく到着。
駐車場規制されるほどの混雑を予想していたが、
午前中だとまだ早い方なのか意外と空いていた。
市街地から一気に750mもの高低差で瀬戸内海上空にかかる雲が雲海のように見える。
紅葉はとっくに終わっていると思われたが、
モミジは綺麗に色付いて落葉はしていなかった。
ツツジは既に終わっていた
殆どの建物が取り壊されて一部の建物をそのまま残していたり、
リノベーションしてお土産屋になっていたりしている。
事前予習をしていなかったので来た時はさほど感動はしなかったが、
後から来た団体のボランティアガイドの話を聞くと、
この場所にかつて5000人もの人々が生活しており、
娯楽施設や学校、険しい山を走る鉱山鉄道もあったことを知ると、一気に景色が変わって見えた。
春はツツジでピンク色に染まるとお土産屋さんの人が言っていたので、
今度はいつか春に訪れてみたい。



時間の関係上、奥まで散策はせず、
旧保安本部をリノベーションしたマイン工房から上がった所の宿泊施設跡地がずっと気になり、
撮影するつもりは無かったがあまりの美しさにシャッターを切った。
ちなみにHPやガイドブックなどでよく見かける東平の鉱山全貌を撮影したいと思っていたのだが、
実はどこかの誰かが道なき道を歩いて撮影した物らしい。
撮影を終えて下山しようと思ったら、
シャトルバスが上がって来るのでしばらく待っていて欲しいと係員から足止め。
あの狭い道路にバスが上がって来るのだから大したものである。
帰りは離合を避けるためにシャトルバスの後ろを追いかけるように下っていった。




別子ライン〜愛媛県新居浜市

東平地区を下ってすぐの所に清滝へ続く旧道があるが、
旧道はがけ崩れのため通行止めとなっており車が進入出来ないようになっているので、
新道の清滝トンネルに入る前の少し広い路肩に車を止めて歩いて進む。
道路の荒れ具合からもう何年も通行止めのままで手つかずなのだろう。
上を見上げれば今にも襲い掛かって来そうな岩肌はむしろ恐怖を超えて非現実的な世界にワクワクする。



しばらく歩いていくと洞門があり、この一帯が別子ラインの見応えのある紅葉スポットで、
何パターンか角度や構図を変えてシャッターを切る。
少し見頃は遅かったかもしれないが、
それでも険しい岩肌に色とりどりの紅葉が輝いてとても綺麗で見応えがあった。
深い谷の間にある渓谷なので全体に日差しが当たるタイミングはほんの僅かで、
訪れたのは12時頃で既に谷底は日差しが当たっていない。
タイミングとしては11時頃が良かったかもしれないが、
太陽の微妙な位置で風景も微妙に変わるので訪れるタイミングは難しくまさに一期一会である。



ネットで下調べしている時は、これほど美しい渓谷美だと大勢の人がいると予想したが、
実際に現地へ行ってみると、これは誰もいないだろうと思ったがカメラマンと数名遭遇。
いざという時のことを考えると少し心強かった。
別子ラインと呼ばれる渓谷は、生子橋からマイントピア別子・鹿森ダム・遠登志渓谷・清滝等を経て、河又に至る延長約10kmの渓谷景勝地とされているが、
実際に県道沿いを走ってみる限りでは杉の木などの植林が多く、
やはり清滝附近が一番の見応えがあったので、
今回は時間も無いし、お腹も空いたので見送った。
10キロもあるのなら時間をかけて散策すれば良い所もありそうなので、
今回はマイントピア別子も見送ったので次回は一緒に散策してみよう。


瑞應寺〜愛媛県新居浜市

別子ラインへ行く道中、県道沿いに瑞應寺の案内板が目に入っていたので、
瑞應寺へは迷うことなく辿り着いた。
近くのスーパーで購入した弁当で腹ごしらえして13時30分、瑞應寺を散策。
山門前の階段がモミジのトンネルになっており、
ちょうど午後の日差しがモミジを透過して綺麗に色付いた赤からまだ色付いていない緑までのグラデーションが綺麗だった。
お寺の紅葉スポットらしいありきたりな構図だが、
これが京都ならとんでもない混雑になっているのにあまり人がいないのは紅葉スポットとしてあまり知られていないからだろうか。
お蔭で撮影はスムーズに出来た。
境内はかなり広く山門から本堂までの間に紅葉があるかどうかはわからないが、
時間が無いので山門付近の紅葉を撮影して終了。



その後、同じ市内にある慈眼寺に寄ってみたが、
こちらは人気のお寺のようでそれなりに混雑している。
訪れた時間が14時と少し遅い時間帯ということもあり、
境内の紅葉に日差しが当たっていないように見えたので、
拝観料を払ってまで入るまでも無いかと今回は断念。
外のイチョウの木が綺麗に色付いていたのが印象的だった。
もしいつか再び紅葉シーズンに訪れることがあればここへ寄ってから別子ラインに入ると良いかもしれない。







国営讃岐まんのう公園ウィンターファンタジー
光と音の花火ショー〜香川県まんのう町


新居浜市から高速道路を使って三豊市へ移動。
ちょっと期待していた不動の滝は既に紅葉は終わっており太陽も周辺の山に隠れて陰っていた。
さすがに滝撮影で15時30分は遅すぎたか。
不動の滝から山道を上がると天空の鳥居で有名な高宮神社があるのだが、
今日は時間が無いので断念。
同じく市内に宝光寺、釈迦堂の紅葉スポットがあるがそちらも時間の都合上、今回は断念したが、
時期的にまだ色付き始めで来週が見頃のようで香川県沿岸部の紅葉はやはり遅いようだ。



まんのう公園に着いたのは16時30分頃で予定通りの到着。
今日からイルミネーションが始まり花火が打ち上がるので、
かなりの混雑が予想されたが、現時点ではまだ中央駐車場に余裕があった。
少し仮眠しようかと思ったが天気が良いので園内で何か面白い物が撮れないかと散策する。
会場では多くの人達で賑わっており、
早くから場所取りをしているカメラマンや一般客も大勢いた。
前回訪れた時もそうだったが、リーフレットに掲載されているような全体を見渡せる小高い山が人気スポットで、
今日も早々と良さそうな場所は埋まっていた。
撮ろうと思えばどこからでも撮れるので特に焦ることは無いが、
とりあえず人の流れの邪魔にならない所に仮で三脚を置いた。



会場内には早くから花火担当業者が花火の準備を終えていたので、
ちょっと近くで見学させてもらったが、
イルミネーションで打ち上がる花火にしてはワイドに設置しており、
音楽に合わせて花火が上がるので単発よりもパイロ系の筒が多く見えた。
花火業者は先月、徳島で行われた「にし阿波の花火」でフィナーレを担当した岸火工品製造所。
どんな花火と演出を見せてくれるのか楽しみである。

16時45分、まだ空は明るいがイルミネーションの点灯式が始まり点灯される。
さすがに明るいので感動も無ければ歓声も聴こえないので、
点灯式はもう少し遅くにしても良かったと思う反面、
早めに点灯してくれたお蔭で構図を決められるので助かった。
先ほど仮置きしておいた場所に戻り微調整して最終的に固めた。
花火が上がるまで時間があるので西の空がトワイライトに染まるタイミングを狙ってイルミ撮影を行う。
今年は「0〜希望の和」というテーマに輪(繋がり、広がり)、和(日本、調和)をモチーフにした電飾を装飾されているらしいが、
前回訪れた時に比べるとテーマがテーマだけに少しシンプルのように見える。
広大な敷地に見応えのあるイルミであるが、
同じようなものを何カ所も撮っても仕方ないので、
夕暮れ空とイルミを絡められる場所に絞って構図を決める。
雲1つ無い晴天、今日は暖かい1日だったので思ったほど綺麗なトワイライトにならなかったが、
それでも太陽が沈んでからの17時30分くらいの時間帯は最高に綺麗な夕焼け空を見せてくれた。



イルミ撮影を切り上げて花火撮影にモードを切り替える。
会場内はどこからでも花火は見れるが、
時間が経つにつれて空いていた場所は徐々に人で埋まり、
次第に通路沿いにも人一人隙間無いほどの混雑になっていた。
筒場近くで場所取りしていた人たちも保安距離の関係で、
後方へ誘導されていたので前列付近はかなり混雑していた。
今回は縦、横の2台態勢でかなり気合が入っている。
横構図は広角レンズを付けてイルミを主役にした構図、
縦構図は満開の桜のイルミと花火を入れて構図を練る。
ところが花火打上間近で何故か消灯してしまう何とも摩訶不思議な演出で台無し。
これだと縦構図がまったく面白味が無くなってしまった。



19時00分、光と音の花火ショーが始まった。
ヒット曲や人気曲に合わせて2部構成。
場所が場所なだけに大玉は上がらないが、
距離が近いので2.5号玉クラスでも迫力があり、
音楽に合わせたシンクロ率の高い演出で会場は盛り上がった。
夏の花火大会でも音楽に合わせたシンクロ花火はなかなか見れないので、
比較的近くで見れるまんのう公園の花火は、訪れた人にとっても貴重な体験だったに違いない。
約1000発とこの時期、四国で行われる花火にしてはそれなりの規模であり、
前回訪れた年はイルミシーズンに数回に分けて行われていたと思うが、
今回は1夜限りの花火ショーなので内容はかなり凝縮されて前回よりもかなり見応えがあった。
そして何と言ってもここ数年で目覚ましく進化を遂げている岸火工の演出は想像以上であり、
それが見れただけでも来た甲斐があった。



アップテンポの曲からバラードなど4曲に合わせて約15分の花火ショーは幕を閉じた。
帰りはかなりの混雑で会場を出るのに一苦労して、
一体どれくらいの来場者数があったのだろうか。
この混雑具合からして、もしかしたら花火ショーに間に合わなかった人達も居たに違いない。
会場を出るのには一苦労したが駐車場は意外とスムーズに出ることが出来て帰りも山の中の田舎道なので渋滞することは無かった。
帰りは急いで帰る必要も無いので瀬戸大橋を渡ってのんびり下道で帰宅した。





写真館 二千年一夜