御机、貝田〜鳥取県江府町

夏休み8日目、延期になった長良川へ行く予定だったが、
台風の増水が引かず開催は当日にならないとわからない状況だった。
始発から行って中止になる可能性もあるし、
行ったところで増水後だと観覧場所も限られて混雑は想像以上と判断して断念した。
実は前日、七類の帰りにタイヤがバーストして余分な出費と気分的に遠征する気になれず意気消沈。
結局、17日固定日開催の江尾十七夜へ行くことにした。

14時30分に出発。
2時間30分で着く距離だが少し早めに出たのは、せっかく江府町へ行くのなら、
町内にある大山定番撮影スポットである御机と貝田へ行ってみようと思ったから。
今の時期、何かある訳じゃないけど夕方の西日が照らす大山を見てみたかったというのもあるし、
田んぼの稲も少し色付いて何か発見があるとちょっと期待していた。
数日前にも走った鍵掛峠越えで江府町を目指す。
家を出た時は相変わらず暑くて外も霞みかかって雲も厚い。
これだと大山は期待出来ないかと思ったが、
鍵掛峠を越えた辺りで上空は青空が広がり、
標高が高いので気温は30度を切って窓を開けて走っても気持ち良かった。



江府町に着いたのは17時10分頃で、
既にお祭りは始まっているので町内は大勢の人で賑わっていた。
そのまま通過して大山撮影スポットへ向かう。
江尾から国道482号を上がって県道315号をさらに上がっていくと御机地区に着く。
江尾地区からさほど急な坂道を上がった感覚は無いが、
約400mもの標高差があり標高600mに位置する御机地区。
昼間の猛暑が嘘かのような涼しさで気持ち良い。
カメラマンの間では超度定番の場所であり、
稲が色付いていることを期待していたが、
思ったほどの色付きは無くまだ稲穂も垂れていなかった。
大山付近は雲が無いものの少し霞がかかっており、
西日が当たって少しベールに包まれているようにも見える。
柿も実っていなければ雪が積もっている訳でもない殺風景な景色だがせっかくなので1カット撮影。



来た道を戻って貝田に着いたのは17時50分頃。
こちらの方が少し稲に色付きがあって稲穂も垂れていた。
久しぶりに貝田地区に来てみたが、
殺風景ながらどこか心惹かれる魅力があり、
ここもまたカメラマンの間では有名なスポットになっている。
御机同様、西日に当たる稲穂と夕方の雰囲気を消さないようにPLフィルターは付けずにシャッターを切った。
撮影しているとカメラマンがやってきてちょっと雑談していると、
江尾地区から花火の音が響いてきた。
時計を見ると18時になっており急いで江尾へ向かった。


江尾十七夜〜鳥取県江府町

18時30分、江尾の街並みにはたくさんの人で賑わっていた。
江府には大山や蒜山へ行く時の通過点で国道181号線はよく走っていたが、
実際に江尾の街並みを歩くのは初めてで、
江尾駅前の本町通りはかつて昔の主要道路だったのか、
奥床しい建物が並んでいるとは思わなかった。
今日は祭りで賑やかだが、普段どのような光景なのかゆっくり歩いてみたい。



街の小高い所に江美城があったことから駅前周辺は城下町として昔から賑わっていたのだろう。
そんな街の雰囲気を楽しみにながら花火の撮影場所を探す。
花火は日野川を挟んだ運動公園グラウンドから上がるので、
国道181号線の歩道から撮ろうと思えばどこからでも撮れるが、
それだとあまり面白く無いので何かお祭りらしさや街の雰囲気と一緒に撮りたいと構図を探していた。
舟谷川に並べられた灯籠から狙うには距離があるし、上空に走る電線が気に入らない。
江美城の裏山が良いよ!と前日の七類で花火師さんに教えてもらった場所にも行ってみたが、
距離が近いのと周りが暗くてちょっと怖い。
江尾駅前広場が会場の1つで太鼓の演奏が披露され大勢の人が集まっていた。
どのくらいの人が集まるのかわからないが、
正直、想像以上の人出でここまで混雑するとは思っておらず、
伝統あるお祭りくらいの情報量しか無かったので、
地元の人達くらいしか集まらないと思っていたが、
臨時駐車場も多めに確保しておりJRの臨時便も出してるくらいなので、
米子の方から訪れる人も多いのかもしれない。
そして何より目立ったのは若い人たちが多いということ。
毎年8月17日固定日の開催だが、今年は土曜日という日程の良さもあったのかもしれない。
本町通りはただでさえ狭い道に両サイドに露店が並び、
前に進めないくらいの混雑で移動するだけでくたびれた。



お祭りが披露される上の段広場では踊りが披露され櫓が組まれている。
花火が上がる方向と櫓が合いそうだが、単発以外は見えそうにない。
5号玉が上がるとこれもまた前日の七類で教えてもらっていたので、
それならここで撮るのも有りかなと思って一応頭の隅に置いておく。
そうこうしているうちに上空が暗くなり西の空が綺麗に焼けていたので、
急いで灯籠が並ぶ舟谷川へ向かった。
19時30分、あまりの混雑で撮影ポイントに着くのに時間がかかり少し空のピークが過ぎてしまい、
事前に構図は練っていたので急いで機材をセットしてシャッターを切った。



灯籠の撮影を終えて少し休憩。
気温は高くないが汗が噴き出てきそうな蒸し暑さに襲われる。
少し休憩して再び上の段広場へと戻るのだが、
また本町通りを歩かないといけないのかと思うとちょっとうんざりする。
地図を見てみるとさすが城下町だけあって上の段広場へ続く道は何通りかあり、
本町通りから一歩外れた新町通りは意外と空いて歩きやすかった。
既に奥大山踊りが終わり、貝田傘踊りが始まろうとしていた。
詳しいことはよくわからないが貝田集落による伝統の傘踊りらしいが、
そういえば山陰地方ではいろんなところで傘踊りを見かけるような気がする。
江尾十七夜のお祭り最大のメインイベントであるこだいぢ踊りが始まると、
上の段広場にはたくさんの人が集まっていた。
何とこの踊り、500年もの伝統があるようで江美城城主が居た頃から踊られていたのだとか。
花火はなかなか上がらないのでただの時間潰しで見ていたが、
今この瞬間、500年もの時を超えて地元の人に愛されていた踊りを見ているのかと思うとちょっと何か考え深いものがあった。



かつて一晩中踊られていた踊りも21時前に終了。
大勢の人達も疎らとなり先ほどの賑やかさが嘘かの様な静けさとなり、
みんなどこへ行ったのかと思ったら江尾駅前の会場が凄く賑やかになっていた。
21時10分、やっと花火が打ち上がる。
予想通り3号玉は木々に隠れて4号玉が辛うじて半分見える程度。
もう少し見えるかと思ったが上の段広場が小高い場所にあるので仕方ない。
今日は撮影場所を見誤り撮影にならないと思ったが、
5号玉が上がると見事に構図通りの絵になった。
櫓に設置された灯りが途中で消灯されるアクシデントがあったが、
ご厚意で花火が終わるまで点灯してもらい、
煙の掃けは今シーズンで一番悪かったが何とか最後まで煙に隠れることなく花火が見えて良かった。
最後は灰示花火らしい迫力ある芸術的な演出で幕を閉じたが、
国道の歩道で見てたらそれなりに楽しめたかもしれないが、
今日は江尾らしい写真が撮れて良かった。
台風の影響で十七夜の火文字が点灯しなかったのは残念だったが、
縁があればまたいつか訪れてみたい。

花火が終わったのは21時35分頃、
急いで江尾から出ようと頑張ったが既に渋滞が発生して20分ほどかかった。
帰りは信号も車も無い来た山道なのでさほど苦にならないが、
やはり花火打上時刻が遅い分、今日も家に着いた時は日付が変わっていた。












写真館 二千年一夜