芦田川の桜並木〜広島県世羅町

今年の桜は開花が早かったが満開が遅く、
その後の寒の戻りもあって日曜日に満開を迎えた所は散り始めているもののまだ辛うじて見頃は続いている。
土曜日は天気も良くPM2.5や黄砂の無く、霜注意報が出るくらい寒いのであれば、
春にしては珍しい突き抜ける青空が期待出来そうであった。
天気の条件が良くても散り始めの桜を見るには実に惜しいが、
先週は黄砂で海と桜が思うように撮れなかったこともあるので、
再び海と桜を撮りたい気持ちもあったが、
開花状況がわからなかったので、
ここは確実に満開である美波羅川千本桜を選んだ。

6時頃に家を出発。
いくつかルートはあるが途中、気になるところがあったので世羅から県道52号線コースを選んだ。
6時50分頃、世羅町内にある桜土手を通った時、
綺麗に桜が咲いていたので思わず寄ってしまった。
実は以前、仕事で何度か目にしている光景で気になっていたが、
実際に足を止めて見るのは初めてで、
沿岸部よりも1週間の差があるとは知らなかったが、
もしかしたら、と思ってはいたものの見事な満開だった。


※芦田川に映り込む桜は美しいが、上空に電線、川もさほど綺麗じゃないのが残念

決して規模が大きい訳でもなければ、
街中なので電線などの障害物も多く、芦田川も大して綺麗ではないが、
朝一番の日差しを浴びる桜は場所に関係せず美しいものだと改めて思わされた。
写真を撮ろうと思ったが、今日はフィルムをさほど用意していないのと、
ここでこのような光景を見てしまったからには、
急いで今日の本命に行きたいという焦りが出てしまった。
機会があれば本腰を入れて撮影してみようと思う。


※こんなに美しい桜並木なのに誰もいない。見頃は沿岸部の1週間遅れといったところ。


美波羅川千本桜〜広島県三和町

先ほどの世羅に来た時、もっと早く三和町内に行けば良かったと気持ちが焦る。
三和町は霧で包まれることが多いので早く必要は無いと思っていたが、
世羅であれだけの美しい桜を見せつけられると少しでも早く現地に行きたかった。
7時25分、美波羅川千本桜に到着。
霧は無く澄み切った青空が広がり、桜撮影にとって最高の条件が整っていた。
情報によると火曜日に満開になったようで、
さすがに地面に落ちた花びらも目立つが、それでもまだ十分満開と言っても嘘ではないものの、
欲を言えば2日前くらいがベストだったかもしれない。


※桜マップには橋名が記載されており、
 後にどこで撮影したかは橋名を頼りに記録出来るので助かった

事前に入手しておきたかった桜マップが無かったので、
現地の案内板でまずは作戦会議。
約9キロも続くと言われる桜並木を歩いて回るには1日では足りないしまず体力が持たない。
広範囲に渡る桜並木をどこでどう撮るか・・・悩んでも仕方ないので、
とりあえず北から徐々に攻めていくことにした。
ただ美しい桜を目の前にして、つい同じような構図で撮ってしまいがちなので、
構図を練りながらロケハンを兼ねて廻っていくことにする。

7時35分、まずは大笹橋がかかる通称、今原桜並木に移動。
国道375号線沿いということもあり、
仕事で三次から東広島へ移動していた頃に気になっていた場所の1つでもあった。
残念ながら田んぼに水が入るのは桜が終わった頃なので、
もし休耕田があれば観光用として水を張ってもらえたらどれだけ美しいことかと思ったのだが、
何と現地に行って衝撃が走った。
田んぼに水が張られているではないか。
張られているといっても1か所のみだったが、これはどういうことなのか。
田んぼを見る限り休耕田では無ければ観光用という訳でも無さそう。
稲の品種を早生に替えたのか、それとも遅い見頃が代掻きに間に合ったのか。
ただ桜並木が田んぼに映り込んだだけではあまりにも単調過ぎて面白くない。
何かもう一練り欲しいところだが、ここは一旦保留にして違う角度から撮影を開始。
今原桜並木だけでもう十分来た甲斐はあった。


※ボンボリ提灯がぶら下がっているので夜はライトアップされる



今原桜並木から少し南下して日南橋から蔵谷橋、廣瀬橋。
個人宅に有名な枝垂れ桜の老木があることでお馴染みの地区で、
川を挟んで見事な桜並木が続いている。
川が綺麗なら絵になるのだが、美波羅千本桜はこのように似たような光景がたくさんあるので、
桜が綺麗だけで撮影しているとキリが無い。
この地区の田んぼは水が張られておらず、
それはそれで悪くは無いが似たような光景はたくさんあるのでいちいち撮っているとやはりキリが無い。
少し小高いところから見下ろせる場所もあり早朝時は面白い絵が撮れるかもしれない。





国道375号線から平和橋を渡ると喉かな田園風景を眺めながら桜並木を見ることが出来る。
殆どがまだ水張前で綺麗に田んぼが耕されている状態であった。
ちなみにここから浜田橋に向かって桜並木ウォークロードになっており、
聖橋公園が駐車場となっているが案内板が無いのでわかりずらい。


※八日市橋付近、美波羅川は昨年の西日本豪雨の影響なのか岩や砂が多いような気がする。
 土手は綺麗に整備されているので崩落している所は見当たらなかったが、
 撮影する雰囲気としては物足りなさがあった。


※三つ又橋から国道375号線を離れて県道52号線沿いに桜並木が続く。
 ここまで来て思ったのは、ここの桜並木は割とカーブしているので、
前景に桜を入れて背後に桜並木をカーブさせると面白い構図になる。



※浜田橋附近で桜並木ウォークロードの終着地。
 敷名一区集会所が駐車場になっているが、やはりわかりずらい。
 個人的にはこの場所が喉かで他の場所に比べると何か魅力があったのでフィルムカメラで撮影。


※箕口橋付近、本当に約9キロもあるのか定かでないが、
 桜並木の終着ポイント付近かと思われる。



この美しい桜並木を何とか高い場所から俯瞰出来ないものだろうか?と思ったが、
これといって高い場所は無く、唯一高いといえば県道52号線と国道375号線が交わるポイントだろうか。
ここへ訪れた時に車を運転しながら気になっていたが、
残念ながら近くに車を止める場所が無かったので、泣く泣く素通りしてしまった場所である。
太陽が昇ればさほど感動は無く、電線なども多いので撮影は難しい。
やはり朝早い時間帯、太陽が昇り田園に日差しが射す瞬間が面白いかもしれない。



一通り回ったのでこの辺で撤収しようかと思ったが、
来た道を帰ると違う発見があるかもしれないのでUターンして戻ることにした。
10時30分、太陽もすっかり上空に昇り、朝日を浴びた桜もうっすらピンク色から白色になっていた。
これはこれで美しく満開ならではの光景である。
上空に無かった雲も少しずつ出てきて、これもまた朝に無かった光景だった。
同じ場所、同じ被写体なのに時間が違えば景色の雰囲気も変わる。
これが風景写真の面白い所であり嵌ると抜け出せなくなる。
浜田橋付近はつい2時間前に撮影したが、2時間前に無かった感動が見つかり再び撮影に挑んだ。

12時00分頃、最後に朝一番最初に訪れた大笹橋ポイントに戻ってこの日の撮影を終了することにした。
国道375号線沿いにはたくさんの花見客が訪れており、
時間が時間なので桜を見ながら昼食を楽しまれてお腹が空いてきた。
ウォーキングしている人も見かけたが、
やはり露店が出ていないのと、駐車場がわかりずらい、知名度がさほど無いことから、
有名桜名所に比べるとのんびりした場所である。
もしかしら大勢のカメラマンがいるかも・・・と思った桜鏡ポイントは誰もいなかった。
農家の人が作業しておりもう1枚水が張られた田んぼが完成していた。
残念ながら水が濁っていたので翌日なら綺麗な水鏡になっているに違いない。
風が吹くたびにたくさんの桜が舞い散っているので、
その水面に桜花びらで埋め尽くされているかもしれない。
そう思うと翌朝もう一度訪れたいところだが、
残念ながら翌朝は青空とは程遠い天気予報であった。






写真館 二千年一夜