大撫山の雲海〜兵庫県佐用町

随分前に佐用町へ桜を撮りに行った時、
たしか道の駅で見つけたパンフレットに佐用町で雲海が見れることを知り、
いつか行ってみたいと思っていたが、
あれから時は流れてすっかりそのことを忘れていた。
ここ最近、ふと思い出し、そういえばどこだったかなぁと調べてみると、
佐用町にある大撫山と判明。
場所は岡山県と兵庫県の県境で思ったほど遠く無く、
先月のドイツの森へ行ったついでに寄ってみようとしたが、
曇天だったので諦めたものの今シーズン、いつか行ってみようと思っていた。





先週の土日は見事に霧にフラれたが、
今週末の天気は晴れ時々曇りで朝は雲の無い放射冷却で湿度はあるが風は無い、
まさに雲海にうってつけの条件が整っているではないか。
大撫山に焦点を当てて、その周辺の紅葉スポットを探して計画を立てた。
当初2時過ぎに家を出る予定だったが、
なかなか寝付けなかったので1時過ぎに家を出発。
眠くなれば途中で仮眠を取ろうと思っていたが結局一睡も寝ることは無く車を走らせた。
佐用ICまで高速道路で移動するつもりだったが、
岡山ジャンクションが工事で通行止めになっていたので、
それなら備前ICで降りて上郡経由で作用を目指すルートに変更。
お蔭で高速道路代が安く付いただけでなく、
上郡経由のルートは車も信号も少ない山道なので意外と高速道路で佐用ICまで行くのと時間は変わらなかった。
途中、何度も休憩を挟みながらのんびり車を走らせたので、
佐用町に着いたのは4時頃。
上郡辺りは一切霧が無くて、今日は大丈夫だろうか!?と不安になっていたが、
上月辺りから霧が出迎えてくれて一安心。
ところが佐用町に入ってから霧は無くなり、上空は綺麗な星空が輝いていた。
今日は本当に大丈夫だろうか・・・

雲海スポットまでの道のりは、
「西はりま展望台」という町内至る所に案内板がある有名な場所に向かって行けば自然と辿り着くので迷うことはまずない。
ところが実はその展望台の敷地内に雲海スポットがあるものだと思っていたので、
実際に展望台へ到着すると閉園して敷地内に入れず途方に暮れてしまった。
その側に展望台の案内板が目に入り、そこで初めて勘違いしていたことに気付く。
道路沿いの広い駐車場には1台も止まっておらず、
狭い山道を150mほど上がったところに十数台止められる空き地があり、
先客が1台止まっていた。
兵庫県内では有名な雲海スポットなので早くからカメラマンで賑わっているかと思ったが、
外には誰一人の姿も見当たらずちょっと拍子抜け。
これなら早く来る必要も無かった。
それにしても眼下には佐用町内の素朴な夜景がはっきりと見えて、
本来なら既に霧で何も見えないはずなのに一体どうなってるのだろうか。
あと数時間で霧が流れてくるのか、
そもそも霧の発生源が一体どこなのか、
来る道中、上月地区は確かに霧が出ていたので佐用町内にも霧が出ていておかしくないはずなのだが。。。



そのまま夜が明けるのを車内で待つつもりだったが、
居ても立ってもいられず外で三脚を置いて夜が明けるのを待った。
月灯りで肉眼でも周りの景色は見えたが、
そのうち徐々に東の空が明るくなって月灯りに頼らなくてもはっきり見えるようになってきた。
1人、また一人とカメラマンがやってきて各々三脚を立て始める。
以前は狭い範囲での撮影現場だったらしいが、
地主の方々が木々を手入れしてくれたお蔭で撮影範囲が広くなったと他のカメラマンが言っていた。
確かのこの状況だとかなりのカメラマンが押し寄せても対応が出来そうだ。
拘りが無ければどこから撮っても良さそうだが、
少しでもワイドで撮ろうと思えば場所は限られる。
ただ太陽が昇ればハレ切りの役目にもなる木の側が意外と良かったりする。



太陽が昇る30分前くらいから撮影が始まる。
思った以上に霧は少なく、この時点で未だ佐用町が霧に沈まない。
とりあえず遠方の山々は雲海になっているのでシャッターを切ったものの今日も不発で終わった。
ところが太陽が昇ると佐用町内に霧が流れてきて、
雲海にはならなかったが太陽の日差しが霧に当たって面白い光景を見せてくれた。
これもまた雲海撮影の醍醐味で、常に「霧は生き物」と思っているので、
時間が経つにつれて霧の変化が見ていて面白い。
上空は雲一つない青空が広がっており、
放射冷却で冷え込んだお蔭かもしれない。
撮影現場は風に影響が無いせいか思ったほど体感温度は寒く無かった。

今回の経験でまたいつか訪れてみたい。
その時は今日みたいに早く来る必要は無いのでのんびり訪れよう。




諏訪神社〜鳥取県智頭町

雲海撮影を適度に切り上げて大撫山を下山すると、
田畑に霜が降りていたのでそれなりに寒かったようだ。
佐用町から鳥取自動車を走って智頭町を目指す。
智頭町は通過することがあっても立ち寄ることは無く、
今回の撮影で初めて立ち寄るのでどんな景色が待っているのか楽しみにしていた。
8時頃に智頭町内に到着。
車は小学校の近くに観光用の無料駐車場があり、
そこから歩いて宿場町の名残を散策して回るのが定番らしい。
まだ早いせいか観光客らしき人達の姿は見えなかったが、
それでも駐車場に車がいっぱい止まっていたのは、
近くでゲートボールが行われていたからであり、何ともほのぼのとした町である。



石谷家住宅は10時からの開園なので、その側の坂道に続く諏訪神社へ向かう。
一応、今が見頃になっていたが境内は緑のモミジが多く占めている。
所々綺麗に色付いている場所を見つけて構図を練って撮影開始。
もう少し遅ければモミジ全体に日差しが当たるのだが、
何故か智頭町上空に厚い雲が広がっており、
今にも太陽を呑み込みそうな雰囲気だったので撮影を急いだ。
幸い観光客は殆どおらず、散歩している近所の人が数人見かけた程度で撮影はしやすかった。
もっと綺麗に全体に色付けば確実に穴場的スポットなのは間違いない。
そもそも智頭町自体が朝早くから観光客が来るような場所じゃないので、
早朝から混雑することはまず無さそうだ。



一応、一通り神社やその周辺を散策してみたが、
一番心に惹かれたのは神社へ上がるまでの石階段付近で、
その周辺は朝の日差しも当たって綺麗に色付いていたこともあって集中してシャッターを切った。









坂井原集落〜鳥取県智頭町

諏訪神社での撮影を終えて石谷家住宅の開園まで宿場町を散策していたが、
心配していた暑い雲が上空に広がり、先ほどまでの気持ちの良い朝が嘘かの様に薄暗くなってきた。
雨の予報では無かったが今にも降りそうな不気味な厚い雲である。
そもそも標高の高い山の中の街なので天気がいつ急変してもおかしくない。
このコンディションで色付きも期待出来るかわからない石谷家住宅で入館料500円+庭園見学料200円払うリスクは高いので今回は断念。
このまま佐用町まで戻ろうかと思ったが、せっかくなので坂井原集落へ寄ってみることにした。



坂井原集落は智頭町内から狭い県道の山道を4キロほど上がった所に存在し、
かつてトンネルが出来る前は車で行くことが出来なかった閉ざされた集落だったらしい。
そのお蔭で今でも古い建物が今も現存されている。
9時50分、トンネルを抜けて坂井原集落の入り口に観光用の駐車場があり、
そこから歩いて10分ほどで集落へ辿り着く。
いつもどのくらい混雑するのかわからないが、
今のところ観光客の姿もあまり見かけず、
集落内にも車を止めるスペースがあったので車で行っても良かった。



坂井原集落についての詳細はあまり把握しておらず、
茅葺屋根の藤原家住宅と紅葉が撮れれば良いと思っていた。
今でもどのくらいの人達がここで生活しているのかわからないが、
集落内はかなり電線や電柱があり撮影する意欲が薄れてしまった。
一応、ここも紅葉の名所になっており小さな神社の周辺にあるモミジが綺麗に色付いていた。
神社から藤原家住宅と紅葉を一緒に撮ると絵になるのだが、
目の前を走る電線がこれほどまでに憎いと感じたことがあっただろうか。
おまけに上空は曇っていて風景も体も何もかもが寒い。
せっかくなので何とか構図を考えに考え抜いて藤原家住宅を1カットのみ撮影。



それだけだと寂しいからと向山神社付近の紅葉も撮っておこうと機材をセットしていると、
あれだけ曇っていたのに急に日差しが射し始め、
赤や黄色に色付いた紅葉が輝き始めた。
こんな偶然、いや奇跡があるだろうか!?
その日差しはほんの一瞬の出来事で再び日差しを見ることが無かった。
ちなみに後でフェイスブックを見ると、
9時くらいまでは集落全体に日差しが当たっていたようで、
先に諏訪神社に寄ったのは選択のミスだったかどうかは何とも言えない。


佐用の大イチョウ〜兵庫県佐用町

佐用町まで戻ると天気は晴れ渡っており、
岡山と鳥取の県境で天気がコロッと変わっている。
町内を走っていると目に付いて気になった佐用町名物ホルモン焼うどんを食べて休憩がてら昼食。
12時50分、午後の撮影一発目は佐用町にある大イチョウ。
智頭急行と姫新線が分かれる所にあるので場所的には街の中心部にあってわかりやすいが、
イチョウ周辺に建物があり電線などの障害物も多い。
思ったほど観光客はいないが鉄道沿いにあるだけあって鉄道撮りのカメラマンが数名待機していた。
元々鉄道と一緒に撮る予定は無かったが、
あまりにもイチョウ周辺が絵にならないので急遽、撮り鉄道に参戦。



田舎のローカル線に比べると比較的よく通過してくれるのでシャッターチャンスはありそうだが、
イチョウに日差しが当たってまさに今がシャッターチャンス!という時に限って鉄道は来ず、
なかなか思い通りの撮影が出来ず無駄に時間だけが過ぎていった。
色付きはあと少しで見頃といったところだが落葉していないので見応えがあった。
午後は時間が経つにつれて影が出来るのが早いような気がする。
撮影のタイムリミットはせいぜい13時30分まで、
それ以降はイチョウの足元から徐々に陰っていくので、
もし本格的に撮ろうと思えば午前中が良いかもしれない。


清林寺〜兵庫県上月町

佐用町から国道373号線を南下して上月に入る。
佐用町でどこか紅葉スポットが無いかと調べてみると、
必ずと言っていいほど出てくるのが清林寺だった。
事前調査で見るとかなり見応えのある紅葉スポットで人気らしいので楽しみにしていた。
14時00分、清林寺に到着。
外から見ると綺麗に紅葉が色付いており、
西の方角は山が開けているので今の時間でも紅葉に日差しが当たっている。
逆に東の方角は山に囲まれており、朝一に訪れても日差しが当たらないかもしれない。
境内は綺麗に手入れされており見応えはあるが、
何となく手を加えすぎてむしろ不自然に見えるのは自分だけだろうか。
紅葉がもっと綺麗に色付いて日差しがもっと強ければ写欲も沸いたかもしれないが、
今日はちょっと期待外れで1ヵ所に集中して撮影。



拝観料もかからなければ駐車場も無料なのでお寺の紅葉スポットにしては気軽に訪れやすい。
夜になるとライトアップするのでこのまま夕方になるまで待っていたいところだが、
ライトアップ撮影はまたいつか。




ふるさとこうぬ花火大会〜広島県甲奴町

今日の最後の撮影地は広島県甲奴町ということで、
一気に山陽道で西へ戻るがさすがに殆ど寝ていないのでコーヒーなど飲みながらこまめに休憩をとる。
甲奴町に着いたのは17時過ぎで辺りは既に暗くて筒場が見えなかった。
例年だと夏に行われる花火大会だが台風で中止となり、
今回、初の試みで場所をカーター球場付近に移動して秋の開催となった。
関係者の情報を頼りに撮影場所を決めるが周りに何も無く、どこで撮っても同じ絵になるので面白くない。
ただ西の空が綺麗な夕暮れ空だったので18時から打上だと既に暗くなるので、
少し早めにシャッターを押してトワイライト花火を1カット押さえておくことにした。



18時00分、主催者の挨拶、メッセージ花火の紹介の後に花火が打ち上がる。
予想していた場所を大きく外して、あまりの近さに完全にフレームアウト。
急いで場所を移動して撮影態勢を整えるが、
花火は僅か10分程度で終了。
公式な打ち上げ数は不明だが多分350発くらいだろう。
上下町の伊藤商店が打上を担当しているとのことで、
伊藤商店といえば随分前にあやめ祭りで数発花火を上げていたのも伊藤商店だったかな。
そもそも甲奴町で花火が上がっていたことすら知らなかったので、
どんな内容か調査を兼ねて強行で行ってみたが、
これならあのまま清林寺でライトアップ撮影をしても良かったかな。
ただ甲奴町には近い街でありながら撮影で訪れることは滅多に無いので、
甲奴の街並みを見ると何となく素朴であり、
でも福塩線が走る風情ある街でもあり、
意外とじっくり時間を掛けると面白い何かが見つかるかもしれない。




写真館 二千年一夜