野土路峠〜岡山県川上村

今冬の目標として真冬の蒜山を撮りたいと思っていた。
ところが今冬は暖冬で雪が降らない。
このまま今シーズンは終わりかと思った2月になってようやく本格的な降雪がやってきた。
しかしそれも長く続かず、これを逃すと今シーズンは無理かもしれないので、
前日の降雪予報と翌日の晴天予報から蒜山撮影に行くことを決めた。





前日の夜、なかなか寝付けず3時に家を出発する予定だったが2時30分に家を出る。
ガソリン入れたり朝食の買い出しをしたりして2時50分くらいに蒜山に向けて出発。
今回は国道313号を走り2時間かけて落合の道の駅を手前に醍醐桜がある県道に入って縦断。
国道181号線をさらに北上して1時間かけて新庄の道の駅に。
ここで少し休憩してさらに県道58号を北上すると撮影ポイントである野土垰に辿り着く。
地図で見ると遠く、当初一部高速を利用するつもりだったが、
時間に余裕があったので高速は利用せず3時間かけて下道移動。
夜中の山道なので睡魔さえ来なければ比較的楽な道のりである。
どの辺から雪が出てくるかそれなりに慎重に走らせていたが、
落合は深い霧に包まれ違う意味で慎重に車を走らせた。
雪が見えてきたのは美甘地区辺りからで、
北上するにつれて路肩や畑に雪が増えていった。
満月の月灯りが雪に反射して妙に周りの景色が明るく感じられた。
それでも道路上に雪は無く、一見ノーマルタイヤでも走れそうだが、
よく見るとキラキラ輝いており、どうやら溶けた雪が道路に流れて凍結しているようで、
車を降りて路面状況を確認してみると確かにツルツルに凍っており、
ノーマルタイヤだと間違いなくスリップしているに違いない。

そんな道路も蒜山に近づくにつれて道路上にも積雪があり、
野土路峠のトンネル付近は圧雪道路となっていた。
トンネルを抜けるとどんな雪景色になっているのか、
トンネルを抜けると雪国だった・・・そんな一文が頭を過る。
6時00分、野土路峠のトンネルを抜けて撮影ポイント附近に到着。
何も無い暗闇の世界を想像していたが、
近くにスキー場があるので朝早くから駐車場の除雪やゲレンデのコンディションを整えてフル稼働していた。
そのスキー場のお蔭なのか野土路峠の県道も除雪してくれているので苦労せずにここまで辿り着くことが出来る。
三平山の登山口途中に撮影ポイントがあるのだが、
林道は除雪されておらず、さすがに冬用タイヤで進むには無理がある。
ここまで来て諦める訳にはいかないが、
朝一の日差しを迎えるにあたって他に良い場所が無いか、
蕎麦畑スポットの東茅部へ行ってみる。
ところが県道を下り、町の中心部である国道482号沿いは雪が殆ど無く、
標高の差があるにしてもこれほど積雪に違いがあるとは。
期待していた東茅部は畑に雪があるものの木々に着雪は無く、
太陽が昇る位置も悪いので期待出来そうな景色に出会える気がしなかった。
ハーブガーデンに行けば何か見つかるかも、と向かったが、当然ながら除雪されておらず途中で断念。
せっかく蒜山に来たのに手ぶらで帰る訳にはいかず、
そうこうしているうちに日の出時刻の6時57分が近づいてきた。
そもそも野土路峠で朝日を撮るのが目的だったのでダメ元で再び戻ってみる。
先ほどよりも肉眼で周りの景色がはっきり見えるので、撮影ポイントまで歩いて向かう。
去年の紅葉シーズンに現地調査しているので、さほど遠い道のりではなかったはずと不安は特に無かった。
おまけに道標かのようなタイヤの跡が残っているのも歩くのに助かった。
林道に積もった積雪は膝下辺りくらいで積もったばかりのパウダースノーは歩くのに苦労はしなかったが、
何分、歩き慣れてない雪道なので態勢を崩しながら少し進んだだけで疲労は重なっていく。



15分ほど歩いて蒜山三山が見えるポイントに到着。
林道附近の木々や着雪しているが、
風通しの良い木々はあまり着雪しておらず風に飛ばされたのだろうか。
草木もあまり白くないが確かに晴れている割には気温が思ったほど下がっていない。
期待していた霧もまったく無し。
去年の秋に訪れた時も思ったが、真庭周辺は霧が出ているのに何故に蒜山に霧が無いのだろうか。
蒜山は割と霧の名所として有名なはずなのだが。
太陽は湯原温泉のある方角から上がるので定刻になっても当然のことながら太陽を見ることは無い。
その代わり徐々に蒜山の山頂に日差しが辺りオレンジ色に染まっていく。
もっと白く染まっていれば綺麗なんだろうけど、せっかくなので一応撮影。
思い描いていた光景とは程遠いが、蒜山三山の周辺に雲がかかり朝焼けが何とか良い演出してくれたのが救いであった。



苦労して林道から蒜山三山を撮影したが、
後にして思えば県道沿いから大山南壁を撮れば良かったような気もする。
この時期に雲に隠れない全体の姿を見られるのは意外と珍しいかもしれない。







御机地区〜鳥取県江府町

積雪の少ない蒜山は早々と去り御机地区へ向かった。
国道482号の路上に雪は無かったが標高600mある内海峠付近はさすがに圧雪となっており、
トラックはチェーンを巻いて走行していた。
内海峠から見る大山南壁も迫力があり思わず車を止めて眺めてしまった。
何度か走っているので見慣れた景色であるが、
さすがに雪化粧した姿が珍しかったのか、どの角度から見ても大山が美しく思えた。



内海峠を下ると積雪は消えて次第に畑に積もった雪も消えてく。
御机は積雪が残っているか心配になってきたが、
県道315号から北上するにつれて再び雪景色へ変わっていった。
8時20分、御机地区に到着。
さすが標高600mの位置に存在する地区だけあって積雪はかなりのもの。
農道は積雪で通行止めとなっており積雪の深さを感じさせられる。
御机地区のマスコット的存在である小さな茅葺屋根の小屋は見事に雪の帽子を被っており、
その周辺の畑も綺麗なパウダースノーが積もっていた。
青い空と真っ白な雪、何度か大山に訪れているが、
この時期にこのような景色が見れるのはとても珍しく、
これも暖冬の影響かどうかはわからないが、
1シーズン滅多に無いチャンスに早速シャッターを切った。
蒜山にいたときは大山山頂に雲がかかりそうだったので、
このまま山頂が隠れるかと思ったが、
御机に着いた時は雲の姿はまったく無くなっていた。
ありきたりな構図ではあるが、逆にありきたりな構図でこの光景を残しておきたいと思った。
まだ朝が早いのと雪の輝きを消したくないのでPLフィルターは装着せずに撮影。
あまり身動きの出来ない現場なので構図は限られるが、
この景色が見れただけでも深夜早朝頑張って車を走らせた甲斐があった。



大勢のカメラマンで混雑しているかと思ったが、
何名かカメラマンがいるだけで代わり替わり撮影ポイントで撮影しており、
自分の時は幸いにも誰も撮影していなかったので、
最高の青空の下で撮影することが出来た。
茅葺屋根の小屋から少し下った棚田スポットからも一応撮影。
去年の秋にも、いやここへ来る度に撮影する場所はほぼ決まっているので定観測と言っても良いかもしれない。
探せば良い場所もあろうのだろうけど、
雪であまり広範囲な移動も出来ないのでどうしても撮影場所が固定されてしまうが、
それはそれで特に気にすることは無かった。
今日はかなり濃霧だったのだろう。
江府町内でもかなり霧が出たようで、
御机で雲海が見れるとは思ってもみなかった。
もし早朝一番に訪れていたら面白い景色に出会えただろうか。




明地峠〜鳥取県日野町

御机地区で撮影を終えた後、
せっかく天気が良いので大山周辺を探索したかったのだが、
明日が仕事ということもあり今日は早々と撤収。
青空が続くようなら帰りに明地峠に寄って帰ろうと思っていたので明地峠へ向かった。
明地峠に到着したのは10時前頃。
明地峠は標高700もあるが道路上は既に溶けていた。
それでも駐車場は積雪となっているので早朝はそれなりに圧雪だったのかもしれない。
お目当ての霧はまだ残っており、さすがに雲海までとはいかないが、
せっかく来たので残りのフィルム消化程度に撮影。
以前あった記憶が無いが、駐車場から少しだけ山道を上がった所に見渡せる場所がある。
定員は少ないので撮影するなら早めの場所取りをしておいた方が良さそうだ。
駐車場からでも狙えないことは無いが、
手前の山など入れるならこの場所が一番のベストポジションと言えるだろう。


※左:駐車場横の山から。中央:駐車場より霧氷をイメージした構図。右:以前ドライブインがあった空き地より電線が邪魔

まだまだ上空の青空は健在でこのまま帰りたくないけど、
仕方なく明地峠を下って家路に向かう。
近くのスキー場は積雪で最高のゲレンデ状態に大勢のスキー客で賑わっていたが、
それも明日からの雨と高温で長くは続かないだろう。





写真館 二千年一夜