吾橋の雲海〜徳島県西祖谷村

吾橋地区はホテル秘境の湯から車で5分ほどで辿り着く雲海スポット。
国見山登山口やアザミ峠などもあったが今回は一番近い吾橋を選んだ。
5時30分過ぎにホテルを出ると今季初のフロントガラスが凍っており、
館内が暖かかっただけに完全に油断していた。
吾橋の道のりは県道45号線のトンネルを抜けると国見峠登山口の案内板があるので、
そこを曲がって最初の分岐点に展望台の案内板がある。
曲がった先に吾橋3キロの道路標識もあるが暗いとあまり目立たない。
元々標高が高いので緩やかな坂道を進んでいくと展望台に着く。





6時00分、今日は誰もいないと思っていたが狭い展望台に既に三脚が3本立っている。
それでも撮れないことは無かったが、展望台からさらに先へ進んだ所が吾橋の集落となっており、
景色が開けているのでそこから撮ることにした。
それにしても風が強くて霧が溜まっているが風に流されて雲海にならない。
先客のカメラマンによると夜中は雲海になっていたらしいが、
夜が明けると共に霧が晴れて来たとか。
さすがに風が強ければ雲海にならないし、何とか風が収まってくれることを祈るばかり。
しかし無情にも風は止むことも無く空が明るくなって雲海になることは無かった。



せっかくなので吾橋からさらに先にある上吾橋まで足を延ばしてみると、
展望台よりさらに標高の高い地区で景色の展望も良い。
目の前に広がるススキや紅葉が朝の日差しに当たり、雲海が出ていればさぞかし素敵な絵になっていただけに残念で仕方ない。
目の前に雲海は無かったが、少し遠くに霧溜まりがあるので、
日差しが全体的に当たったところで1カット撮影。
集落があるので電線など入ってしまうのは仕方ないが、
敢えて入れることで不自然さが無くなったような気がする。
上吾橋で見つけた景色は儲けものだったが、もし雲海になっていたら出会えていなかった景色でもあった。
雲海はまたの機会に狙えるが出会える景色は一期一会なので、、
そう考えると今日は雲海が出なかったのは良かったと思うようにした。



せっかくなので国見山登山口に寄ってみたかったが、
朝食の時間である8時30分が迫っていたので急いでホテルに戻る。




祖谷渓、ひの字渓谷〜徳島県西祖谷村

朝ごはんを済ませチェックアウトしたのは10時頃。
青空の広がる気持ちの良い朝だがホテルの建物は未だ日差しが当たっていない。
せっかく天気が良いのでかずら橋へ行ってみようかと思ったが、
既に橋を渡れる時間帯なら観光客で混雑しているかもしれないので止めて祖谷渓に向かった。
約10キロ続く祖谷渓をどういう風に撮ろうか、
レンタサイクルでのんびり散策しながら撮影して回ることも考えたが、
意外と撮影するポイントは少なく、同じような構図になりがちなので、
比較的紅葉が目立つ場所、祖谷渓らしさのある景色を踏まえて通称「ひの字渓谷」と出合地区に絞った。



村の中心部からひの字渓谷までは道も走りやすく近いので観光客も気軽に訪れることが出来る。
近年、道路を拡張して車を数台止めるスペースも出来ていた。
10時20分、ひの字になっている渓谷、200m眼下に見える底はまさに絶景である。
ちょうど日差しが山肌に当たって色付いた紅葉を際立たせてくれた。
時間帯的には今がちょうど良さそうで早速いろんな構図でシャッターを切っていく。
広角レンズで全体を入れるのも良いが、引き算の法則でズームして一部分を切り取るのも悪くない。
祖谷渓といえばやはり「ひの字渓谷」が代表的なので、
ここで満足のいくものが撮れればこれ以上望む景色は無いかもしれない。
せっかくなので小便小僧にも足を延ばして行ってみたが、
断崖に立っている像がよほど珍しいのか、観光客がたくさんいて記念撮影していた。








祖谷渓、出合地区〜徳島県池田町

小便小僧からそのまま県道32号線を北上すれば出合地区に続いていたが、
どうしても祖谷に来たからには県道45号線を走りたくて、
この道を走らなければ祖谷に来た気がしないので、
敢えて遠回りして出合地区に向かう。
そのせいで出合地区に着いたのは13時とあっという間に午後になってしまい、
少し祖谷渓で時間を使い過ぎたかもしれない。



県道沿いの紅葉は今が見頃で綺麗に色付いていた。
午後の日差しが紅葉に当たりとても綺麗だったが、
渓谷や向かいの山は既に日が陰っており明暗のコントラストの差が激しすぎて、
写真を撮るには少々厄介である。
これならまだ曇っていた方が撮影はしやすかっただろうか。
同じ祖谷渓でも出合地区の一帯は何故か青みがあって、
まさに仁淀ブルーに匹敵する祖谷ブルー。
ひの字渓谷に比べると出合地区一帯はあまり聞かないので、
県道32号線を祖谷渓沿いに走って来た人だけが出会える紅葉スポットであり、
たまたま通りかかった車の殆どが足を止めていたので紅葉の美しさが伺える。
何とか紅葉と青い川を一緒に撮ろうと探してみたが、
これがどう頑張っても良い場所が見つからず時間だけが過ぎて行った。




小歩危〜徳島県山城町

出合地区の紅葉も程々に切り上げて大歩危小歩危へ戻る。
14時20分、国道32号線を走っていると西日が当たっている渓谷が目に飛び込み、
実は昨日も気になって立ち止まって撮れないものかと思っていた。
よく見ると河川敷に駐車場がありどうやらラフティング体験の終着地のようだ。
階段で国道まで上がれるので国道から見下ろす構図も良いが、
駐車場から渓谷を見上げる構図も悪くない。
川も綺麗で小歩危の中では最高の撮影地の1つではないかと思う。



その後、大歩危にも行ってみたが15時を回っていたので既に日差しは当たらずただ寒い光景になっていた。
それでも川下り乗り場は大勢の観光客で賑わい、観光客は徐々に戻っているようだった。
今回の撮影はこれで終了。
時間をかけて大歩危の撮影が出来なかった事、竜ヶ岳を撮れなかったこと、かずら橋の見頃を過ぎていたことなど、
今回の旅は何かと心残りがあったが、それでも2002年以来の祖谷の紅葉撮影。
18年経って果たしてどれくらい上達しているのか楽しみであり不安でもあるが、
かなり手応えのある撮影が出来たような気がする。
また機会があれば祖谷の紅葉を見に来よう。







写真館 二千年一夜