仁淀ブルーを求めて

元々7月中旬に予定していた仁淀ブルー撮影計画だったが、
なかなか明けない梅雨のせいで予定を先延ばし、8月の梅雨明けに合わせて8月8日からの3連休に予定を組んだ。
ところが太平洋沖に発生した台風で天気予報が晴れたり雨になったり変わる毎日。
当日はどうなることかと思ったが何とか雨は間逃れそうだった。
8月8日土曜日、雨の気配は無く日差しは眩しいが何かおかしい。
晴れているのに空が白い。
夏特有の霞みだと思ったが小笠原諸島・西之島の活発な噴火活動が影響しているらしい。
寄りによって・・・ただ渓谷巡りなら空の青さはさほど影響しないので日差し有れば何とかなりそうだ。
それでも青空が無いと何ともテンションが上がらない。





三樽権現の滝〜高知県土佐町

7時過ぎに家を出発。
しまなみ海道を渡れば仁淀川町まで3時間ほどの道のりだが、
今回はちょっと寄り道するので瀬戸大橋経由で高知県を目指す。
大豊ICで降りて早明浦ダムを横目に国道439号線を西に走る。
仁淀ブルーを求めてやってきたが、
実は高知県内の山奥に行けばどこの川も綺麗だったりするもので、
以前仕事で本山町へ訪れた時も、
国道沿いの吉野川の綺麗さに驚いたことがある。
さすがに綺麗な場所に立ち止まっていては時間もキリも無いので最初の撮影ポイントへ向かった。

地蔵寺地区に入り湖畔りんご園の看板を目印に右折、
その後、湖畔りんご園を過ぎたことに気付かず狭い道を進んでいくと滝の案内板がある。
10時30分、滝の駐車場に到着すると早速アブの洗礼を受ける。
今までいろんな滝を巡ってきたが、いきなりアブの襲撃を受ける経験は無かったが、
後で調べるとどうやら綺麗な水にアブがいるらしい。
幸い肌を露出するような恰好ではないのでアブの襲撃を受けても害は無いがあまり良い気分はしない。
滝への遊歩道は約200mの平坦な道のりであまり綺麗ではないが難なく到着。
ちょうど滝壺に日差しが当たり噂には聞いていたがかなり美しく、
この光景を見れただけでも来た甲斐があった。
滝の落差は短いが広く深そうな滝壺はにこ淵にも似ており、
訪れる人もいないので撮影はしやすかったが構図がかなり限られているのが残念。
いきなり美しい滝壺に出会い、さすが仁淀ブルー!と言いたいところだが本流は吉野川なので吉野ブルー。
と言ってもあまり耳馴染みではない。



一通り撮影して車に戻ってみると相変わらずアブは車を攻撃している。
どうやらハチと同じで車体の黒色に反応しているようだ。
どう頑張っても車内に入ると一緒にアブも入って来るので追い払うのに一苦労。
その時思った。
やはり渓谷巡りは夏より春か秋だと。



アメガエリの滝〜高知県土佐町

国道439号線まで戻り、再び西へ車を走らせていく。
国道400番台にしては走りやすい道であるが、これもトンネルが出来たお蔭であり、
地図を見るとトンネル前後にある旧道らしき狭い山道が生活道路として今も活躍しているようだった。
郷ノ峰トンネルの手前に県道6号線に入り、ここから12キロの狭い山道が続く。
このような道は四国ではまったく珍しく無く、むしろこのような道を走り、
標高の高い山の中腹にある集落に出会うと四国へ来たと実感が沸く。
ひたすら上がっていく県道6号線もいつしか下り道へ変わり瀬戸地区の小さな集落に入ると、
瀬戸川渓谷の案内板があり、しばらく進むと駐車場があった。



瀬戸川渓谷の中にあるお目当てのアメガエリの滝に着いたのは12時くらいで、
12キロの狭い山道のせいでかなり時間を費やしてしまった。
道路から滝に降りる階段が綺麗に整備されており、
トゲの草木に苦戦しながら下っていくとアメガエリの滝へと簡単に行くことが出来る。
2段に落ちる幅の広い滝で遠くから見ても迫力があるが近くで見るとスケールの大きさに圧倒される。
梅雨が明けてからしばらくまとまった雨が降らなかったせいか、
水量が少なく感じられるがそのお蔭で近くまで接近して撮影が出来た。
2段滝なのでもう少し距離を開けた方が構図的に好みではあるが、
この滝もまた構図が限られているので1カットのみの撮影となった。



遊歩道は続いていたがトゲの草木が道を遮っていたので引き返す。
展望台から見渡る瀬戸川渓谷は素晴らしく紅葉時はどんな景色になっているのだろうか。
今日は時間の都合上、アメガエリの滝のみ撮影となったが、
次に訪れる機会があれば時間を掛けて瀬戸川渓谷を散策してみたい。

瀬戸川渓谷から再び県道6号線を走って国道439号線まで戻るは正直うんざりだったが、
途中、いの町への案内板が目に入り、物の試しに走ってみると、
これがまた走りやすい林道で標高の高い景色を楽しみながら走ることが出来た。
今回は三樽権現の滝に寄って瀬戸川渓谷に来たので県道6号線を走ったが、
実は国道194号線から県道17号線を走って大川村経由で行く方が楽のような気がするので、
瀬戸川渓谷へ直行するなら次は大川村経由で訪れてみようと思う。





にこ淵〜高知県吾北村

長い林道を無事に抜けると以前訪れたことのある程野の滝に着いて一安心。
今回は時間の関係で程野の滝には寄らず、その先にあるにこ淵へ向かう。
13時50分、ここ数年で爆発的に人気を誇るにこ淵だけあって駐車場は満車状態。
警備員に誘導されながら何とか駐車出来た。
以前はにこ淵までの道のりは険しい坂道が続いていたが、
最近になって新設された階段で楽に行くことが出来るようになったのも人気の要因かもしれない。



距離は短いが急な階段に恐る恐る下っていくとにこ淵が出迎えてくれる。
決して足元が良い訳でもなければ範囲が広いという訳でも無く、
そんな場所で大勢の人が集まっているので撮影はかなり制限される。
吾北には過去に何度が訪れているが、
今までにこ淵の存在に気付かず、いや気付いていたがさほど興味が無かったのか、
もっと早い段階で撮影に訪れておけば良かった。
先ほどまで殆ど人のいない所で秘境らしさを体感してきただけに、
完全に観光地化されていることと、今日は生憎の曇空で淵に日差しが当たらず思ったほど感動は無かったが、
せっかくなので数カット撮影して早々と切り上げた。




中津渓谷〜高知県吾川村

にこ淵の撮影を終えたのは14時頃で次の撮影地が今日の最後になりそうだ。
予定では安居渓谷へ行く予定だったが、なるべく時間をかけて散策したいので、
足を延ばして中津渓谷まで行くことにした。
国道439号線を西に走らせて仁淀川町に入り、さらにしばらく走ると案内板がある。
中津渓谷は国道439号からさほど時間がかからないので比較的気軽に訪れる渓谷ではなかろうか。
15時40分、駐車場に到着。
この時間でも渓谷は明るく観光客も意外と多かった。
そういえばこの時期にこの時間だと本来なら花火会場に向かっていることが殆どで夏の渓谷にいることはまず無い。
秋なら既に太陽が山に隠れて日陰になっているが、夏の渓谷は夕方になっても日差しが当たって撮影出来るのだと今更ながら知った。



中津渓谷といえば雨竜の滝と石柱が有名だが、
今日は時間が無いので雨竜の滝だけ寄ってみる。
遊歩道は綺麗に整備されて比較的簡単に歩くことが出来る。
その道中、仁淀ブルーと呼ばれる美しい淵があり、
午後のトップ光が当たればさぞかし美しかったに違いない。
今日は生憎の曇がちな天気で本来の美しさに出会えなかったが、
それでも十分な青さにしばし酔いしれてしまった。
川の美しさもさる事ながら、岩の渓谷美もまた素晴らしく、歩くたびに圧倒されてしまう。
長い年月をかけて作られた自然の造形美は何とも言えない感動がある。



意外と短時間で雨竜の滝に行けるかと思ったがそれなりに距離があった。
いや道中、立ち止まったせいで時間がかかったのかもしれない。
梅雨が明けてしばらくまとまった雨が降っていなかったせいか、
本来の迫力のある姿ではないらしいが、
そのお蔭で水飛沫を浴びることなく近距離で撮影が出来た。
日差しが当たれば虹も出来るらしいが、さすがに16時を回ればただの薄暗い滝。
これもまた次回への課題だ。



駐車場に戻ったのは17時頃で、天気が良ければ四国カルストで夕景撮影をする案もあったが、
今日はのんびり宿で夜を過ごしたかったので撮影はこれで終了。
仁淀川町内にある宿で汗を流した後、カツオのタタキを舌堤ながら今日の疲れを癒した。




写真館 二千年一夜