尾関山公園〜広島県三次市

中国地方の一本桜も殆ど撮影済みだが、
益田市内の金谷城山桜はタイミングが合わず行ったこと無いので、
今シーズンは最候補地として浜田から益田にかけて桜撮影計画を練った。
5時過ぎに家を出発。
高速道路でのアクセスだと戸河内から国道を北上するのが便利だが、
早く到着する必要も無いのでゆっくり下道で向かう。
三次を通過する辺りで太陽が顔を覗かし三次市内の桜が綺麗に輝ているのを目にして、
せっかくなので尾関山へ立ち寄ってみようと予定外の寄り道。





6時30分、尾関山公園の駐車場に止めて江の川沿いの桜並木へ行ってみる。
ここは3年前に三江線と桜並木の撮影以来で少し懐かしさもあるが、
あの時は霧で晴天下での撮影が出来なくて心残りだったことを思い出した。
今日は霧が三次市内まで到着していないので青空が広がり、
日差しが桜に当たって、日差しが有ると無いとでこうも景色が違って見えるのかと驚かされる。
散歩している地元の人と何人かすれ違う程度でカメラマンは誰もいない。
桜は綺麗だがアクセントになるものが見つからず、
ただの桜並木の構図だと面白くないが、
ここは逆にライトアップの方が面白いかもしれない。



その後、尾関山の展望台まで上がり江の川を絡めての桜撮影。
先ほどの桜並木も俯瞰出来て面白い構図になったのではなかろうか。
ただ桜の木々が成長し過ぎて市街地と桜を俯瞰する構図は難しい。
こちらもさほど人の姿は見えず、散歩している人達がチラホラ見かける程度だった。
公園内は見事に桜が満開を迎えていたが、
ここでフィルムを無駄打ち出来ないので花見散策のみで済ませた。


平原のしだれ桜〜島根県石見町

尾関山で寄り道したせいですっかり空が明るくなってきたので急いで三隅へ向かう。
国道375号線から県道7号線に入って旧羽須美村を横断。
国道261号線から再び県道7号線に入って石見を横断して国道186号線を目指す。
その途中、ちょうど旭町の手前の日貫地区の道沿いに桜祭りの幟があり川沿いに綺麗な桜が目に入った。
この辺に桜の名所があったかな?と思ったら平原のしだれ桜という案内板があり、
石見に有名な一本桜があることは把握しておらず、
ちょっと興味もあったことから予定外だが行ってみることにした。



決して広くない山道を3キロ上がっていき8時45分に到着。
古民家の庭にしだれ桜があり、人が住んでいるかわからないが表札はかかっている。
門が閉まっているが自由に見学は出来るらしい。
樹高はさほど高くないが樹齢350年にしては幹や枝ぶりが見事で綺麗に花を付けていた。
場所的に自由に撮影出来ず構図が決まってしまうが、
この限られた構図が訪れた時間帯的にも一番理想の構図で良かった。



桜の見頃に合わせて何かイベントが行われる予定だったが、
こんな小さな所でもコロナウィルスの影響で中止となっていた。
ネットの情報網をこまめにチェックしているつもりだったが、
石見にこれほど立派なしだれ桜があるとは思ってもみなかったが、
地元の人達は知る人ぞ知る有名な桜なのだろうか。
その割には場所が場所なのか人の姿をまったく見かけない。
帰る頃になってようやく1組の家族がやって来た。


※左:しだれ桜の裏山にある珍しい桜らしい。右:県道沿いの桜並木


野坂桜並木〜島根県弥栄町

国道261号線を南下して県道52号線に入ってしばらく走っていくと弥栄町内となる。
弥栄町内から県道306号線を西に走ると野坂地区となり、
10時15分、今日の本当の最初の目的地に到着した。
いろいろ寄り道して時間がかかったが、
車も信号も無い山道なので順調に行けば3時間くらいで到着していたと思う。
県道34号線沿いに桜並木があり2車線なので桜のトンネルとはいかないが、
ちょうど今が見頃でとても綺麗だった。
ライトや雪洞が設置されているので夜になるとライトアップされるのだろう。
ライトアップは他の予定があるが機会があれば見てみたい。



そこから少し北に行ったところの上野坂地区から見渡る田園やビニールハウスの風景が美しく、
至る所に桜もあって凄く雰囲気が良かった。
どこをどう切り取って撮影しようか散策しながら構図を考えたが、
時間に余裕があれば数時間かけてじっくり撮影したいと思った。
朝と西日が当たる夕方の時間帯にもいつかまた来よう。
これだけ美しい光景が広がっているのに殆ど人がいないのは何気に嬉しい。



11時20分、野坂での撮影を切り上げて次へ行こうと思ったが、
どうしても気になって仕方なかったのが野坂地区内にある水仙群。
実は個人が所有している敷地内に自ら植えているようで、
桜も染井吉野以外に紅しだれ桜や桃菊など春色彩々の見事な景色を作り上げていた。




平栃のしだれ桜〜島根県美都町

予定ではこの後、井川の一本桜へ行く予定だったが、
思いのほか時間を費やしてしまったので、
井川を飛ばして美都へ向かった。
弥栄から県道34号線を南下すれば国道191号線に入り美都となる。
ちなみに県道34号線を北上すれば浜田市内に入り、
県道34号線は浜田市内から国道191号線に続く主要道路のような存在である。

美都町内には3本の1本桜があり、
視野を広げれば益田市内にも桜の名所はいくつかあるのだろうが、
今日は時間の関係上、美都の一本桜に絞ることにした。
まず最初に訪れたのが平栃のしだれ桜。
あまり有名ではないがSNSで存在を知り撮影候補の1つとして注目していた。
国道191号線を益田市内に向かって走っていると、
数時間ぶりにコンビニを見つけて昼食を購入。
隣接しているガソリンスタンドでガソリンも満タンにしてこれで一安心。
それからしばらく走って豊川地区に入ると枝垂れ桜の幟や案内板があり、
ここから7キロの山道を上がっていく。
平坦な道なら7キロはあっという間だが、
狭い山道を7キロ走るのはそれなりの時間の流れを感じるもので、
それでも分岐点ごとに案内板があったので現地まで迷うことは無かった。
ちなみに地図を見ると他のルートもあるようだが、
豊川地区からのアクセスが楽で安心かと思われる。



12時50分、平栃のしだれ桜がある大元神社に到着。
さすが7キロの山道を走っただけあって日本海が見えるくらい標高の高さが伺える。
標高が高いとさすがに見頃は少し早いかと思ったが桜はちょうど見頃を迎えており、
桜の開花は気温はさほど影響無く一斉に咲くのだろうか。
樹齢約120年と比較的若い桜で花付はとても良い。
狭い境内に植えているのでここもまた構図が限られてしまうが、
個人的に光の当たり具合から構図は特に深く考えるまでも無く、
また訪れる人も撮影が終わるまで1家族のみと実にストレスの無い撮影であった。


※遠く日本海が見える





金谷城山桜〜島根県美都町

再び国道まで戻り走って来た道を東へ戻る。
県道172号線の分岐点に案内板があるので迷うことは無く安養寺に到着したが、
その先にある金谷城山桜を先に撮影しておく。

14時00分、駐車場に到着。
知名度は比較的高いと思ったが意外と訪れている人は少なかったのは、
やはり場所的に問題があるのだろう。
よほど一本桜が好きな人か、
たまたま益田の山道を走って案内板を見た人が興味本位で寄ってみた人か。
いろんな写真を見る限りでは小高い山の上にあるのだろうと思っていたが、
そうなると下から見上げる構図となるので写真にするにはあまり面白くない。
実際に山道を上がっていくとその姿が見えて来た。
樹齢500年以上のエドヒガンだけあって幹の太さや横に延びる枝の迫力が凄い。
これは下から見上げるからこそ伝わる迫力だと思う。
一応、展望台も設置されており横の姿も見ることが出来るが、
電線と電柱が入るので写真にするにはあまり面白くない。
周りの山に囲まれているので朝や夕方は日差しが当たらず、
訪れる時間帯は日中のトップ光がちょうど良い。
エドヒガンらしく真っ白な花びらと青空がまさに最高の組み合わせであり、
これなら下から見上げての構図も有りだと思った。



エドヒガンの桜も素晴らしかったが、
その周辺の桜並木も迫力があって美しかったが、
今回はフィルムの残量と時間の関係であまり深堀はしなかった。




安養寺のしだれ桜〜島根県美都町

14時30分、先ほど通過した安養寺に到着。
実は密かに期待していた枝垂れ桜だったが、
実はかなり構図的に厳しく、どう探しても人工物が入り込んでしまう。
全体的な姿は諦めて上部の一部を切り取っての苦し紛れの構図で1カットのみ。
樹高もかなりあり立派な姿なだけに実に残念であった。




井川の一本桜〜島根県三隅町

美都から県道48号線を北上し突き当りの県道に案内板が出ていたので迷うことなく辿り着くことが出来た。
今日の本命である井川の一本桜に着いたのは15時20分頃。
ちょうど西日が桜に当たって絶好のタイミングだった。
ここに来て意外と花見客も多くて、不便な場所ながらみなさんよく知ってるなぁと関心した。
桜の見頃に合わせ地主さんが田んぼに水を張ってくれるようで、
本来であれば田んぼに桜が映り込むのだが、
今日は生憎の強風注意報が出ていたので映り込みは厳しい。
とりあえず桜の周辺を散策して構図を練る。
樹齢250年の山桜ということだが、思ったほど大きさは感じられない。
枝垂れ桜と違ってアップで狙うにはあまりにも単調過ぎるので、
周りの景色に溶け込ませて狙うと面白い絵になりそうだった。
花見客は多いと言っても有名スポットと違って少し待てば人もいなくなるので、
撮影するのにさほど時間はかからなかった。



夜のライトアップまで時間があるので帰りに備えて車内で仮眠する。
天気予報は夜に雨が降ると言っていたがそんな気配は全然無かった。
このまま風が収まってくれれば良いのだが、
風が収まらなければここでライトアップを狙う意味がない。
太陽も山に隠れて風がちょっと冷たくなってきた夕方。
あれだけ晴れ渡っていた空は徐々に雲が広がり始めた。
やはり天気予報通り雨が降るのだろうか。
ライトアップ目当てでカメラマンも何名か待機しているが、
とてもじゃないがこのコンディションで撮影する気が起きなかった。
そういえば野坂桜並木にライトが設置されていることを思い出し、
帰りも少しだけ早く家に着きそうなので、
ここは井川を蹴って野坂へ行ってみることにした。


※風は夕方になっても止まず水鏡にならない

野坂桜並木〜島根県弥栄町

18時10分、野坂地区に到着。
井川から野坂まで県道を走って行ったが、
実は井川から北へ走り農道を右折すれば弥栄まで楽に行くことが出来ることを後になって知った。
ちなみにこの農道、県道48号線と県道34号線を結んでいるので、
野坂から美都へ行くにはこの農道を使えば、もっと楽に早く移動出来ていたと思われる。

早めに井川から野坂に移動すれば西日の当たる野坂の風景が見れたかと思うとちょっと後悔。
薄暗くなる18時30分くらいにライトが点灯すると思ったがなかなか点灯しない。
もしかしてライトは設置しているがライトアップは自粛で点灯しないのでは!?
そもそも野坂でライトアップするとどこにも情報に記載しているのを見ていない。
誰かに聞こうかと思っても人っ子一人、カメラマンも花見客すらいない。
たまーに県道に車が通過するそんな寂しい雰囲気の中、
とにかくライトが点灯するまで構図を決めて粘ってみる。


※太陽が沈む前に戻れば良かった

18時50分にライトと雪洞が一斉に点灯して一安心。
ライトは白色灯ではなく投光器なので今日は緑被りしなくて済みそうだ。
ただ単にライトアップした桜並木では面白くないので、
県道を走る車の光跡を入れての構図。
どんな写真に仕上がっているかは現像が上がって来てのお楽しみ。
ただ場所が場所だけになかなか車が通過してくれず、
空が暗くなる19時20分、フィルムが無くなるまで粘って今日の撮影は終了。



野坂から2時間かけて三次市内まで戻り遅い夕食をとる。
高速を使わなくても2時間で三次から野坂まで行けるのなら、
三隅も意外と近いのだと春に向けて新たな撮影地の範囲が広がりそうな気がした。
それにしても今日は本当に青空に恵まれた最高の桜撮影日和だった。



写真館 二千年一夜