赤穂東御崎公園、赤穂城跡〜兵庫県赤穂市

4月に入って最初の週末にして既に桜名所の殆どは満開もしくは散り始めになっている。
そんな中、沿岸部の桜が少しだけ開花がずれているお蔭で週末に合わせて満開になっていた。
しかし今年の春は何故か週末になると天気が崩れる負のスパイラルから抜け出すことが出来ず、
日曜日の雨は確実に避けられそうに無かった。
辛うじて土曜日は雨から晴れの予想に変わったが、
その晴れもどのくらい続くかわからない予報で青空の下で桜が見られる保証は無かった。
それなら近場で済まそうかとも思ったが、
以前から行ってみたい場所や気になる所を今年は1ヵ所でも多く潰すことを目標にしていたので、
瀬戸内海を背景に桜が見れる赤穂東御崎から王子が岳にかけて桜巡りをすることにした。




4時00分、家を出発。
月は出ていたが東の空はどうも雲が広がっているように見えた。
高速道路を利用して1時間30分くらいで赤穂に到着。
今の日の出時刻が6時前なのでもう少し早く現地に着いておけば良かったのだが、
仕事疲れでつい出発が遅れてしまい、現地に着いた時は既に周りが明るくなっていた。
赤穂御崎に着いたのは6時頃でカメラマンがたくさんいると覚悟していたが、
不思議と殆どいなくて、海が開けている展望所は思いのほか狭いので助かった。
既に太陽が顔を出していたので早速撮影に入りたいところだが、
桜が成長して海があまり見えずらいので脚立と大型三脚を取り出して高い位置から狙う。
わざわざそんなことをしなくても普通に撮影出来ないことも無いのだけど、
ここは自分の拘りの1つであり他のカメラマンとの差別化の意図がある。
朝の日差しが目の前の桜に当たって良い感じで、
これを見たくて頑張って早起きして来た甲斐があった。
ところが太陽は雲に隠れてそれから数時間先まで顔を出すことは無かった。



今日の天気予報は曇り時々晴れで晴れる時もあれば曇りの時も有り、
まさに今が曇りの状態で正直言って上空を見るからに晴れる予感がまったくしない。
せっかく来たし時間もたくさんあるので御崎周辺を散策。
もし青空が広がっていた時のことを想像しながらどこでどのようにして撮るか想像しながら構図を練っていく。
県道32号線から御崎を通って赤穂温泉街までの区間は桜が多く、
道路沿いから桜を撮れるポイントもいくつかありそうだった。
灯台や海岸など歩いてみたが、結果的には御崎公園が一番の見応えがあるので、
後は訪れる時間帯で景色も変わって来る。
今回は朝一の日差しを狙って早く来たが、
青い海と桜を一緒に撮るなら午後が良さそうだ。



8時くらいまで粘ってみたが晴れる気配はまったく無しで、
ここで一旦、御崎を諦めて赤穂城跡へ行ってみることにした。
赤穂城跡は御崎から車で10分程度と近い距離にあり、
隣接された運動施設の無料駐車場に止めて歩いて向かう。
本丸や二之丸庭園は9時から開園だが、
それ以外の花見広場などは開園時間に記載が無かったのでいつでも入れるかどうかわからないが入り口は開いていた。
花見広場にある池に映り込む桜を見たくてやってきたのだが、
風が強かったのと日差しが無い曇空なのでどことなく感動は薄い。
御崎の時にも思ったが赤穂市にとってどちらも有名な桜の名所のはずだが思った以上に人が少ないのは、
やはりこのご時世の影響だからなのだろうか。
お蔭で撮影はしやすいが生憎の悪条件でここでもしばらく散策しながら構図を練るだけの時間がしばらく続いた。



多分、昨日か一昨日に満開になっていると思うのだが、
花びらの散り具合がかなり激しくて今週の20度超えの暖かさが原因かわからないが、
今週はあっという間に満開になってあっという間に散る傾向のようで、
一度風が吹くと早くも終盤を迎えるかのようにヒラヒラとたくさんの花びらが舞っていた。
せっかくなので曇ってはいるが池に映り込む光景を数カット撮影。
天気が悪くて撮影出来ない訳じゃないし、むしろ曇っている方を好む人も中にはいるが、
やはり青空の下で日差しを浴びる桜を見たいのが本音。
このまま青空を見せることは無いのだろうか・・・



9時30分、赤穂城跡で無駄に歩いて疲れたので次へ行こうと機材を片付けていたら、
何やら西の空に青空が見えて来た。
このまま青空が広がってくれるのでは?ともう少し粘っていると次第に雲の隙間から日差しが当たるようになってきた。
赤穂城跡で再び撮影した後、10時30分、赤穂御崎へ再び行ってみた。
さすがに朝のように閑散とはしていなかったが、車が止められないほどの混雑ではなく、
花見客で渋滞を覚悟していただけにちょっと予想外だった。



確かに公園を見渡してみると花見をしている人がいるが、
飲み食いしながら騒いでいる人達は誰もおらず、例年だともっと混雑していたのかもしれない。
東の空は相変わらず雲が広がっていたので、
どうやら雲の動きは西から東へと移動しているようで西の空は随分と回復してきた。
個人的には海を見渡せる東の方角に青空が広がって欲しかったのだが、
こればかりは仕方ないので西の方角で何とか撮れそうな場所を探す。



11時00分、赤穂に来て5時間が経ってようやく見たい景色が見れて撮りたい物が撮れたような気がする。
青い空を背景に日差しが当たる満開の桜。
これに青い海を入れることが出来れば最高だったのだが、
その代わりに周りの新緑の木々を入れてみたり試行錯誤しながらシャッターを切っていく。
辛うじて海も入れる構図も見つけてそれなりに楽しい時間を過ごすことが出来た。
今回、赤穂御崎の桜撮影は念願だったが思い描いていた構図には出会えず、
今日の撮影を参考にまたいつか訪れたい。






山麓窯の天空の桜〜岡山県備前市

備前にある窯元に桜の名所があることを数日前にニュースでたまたま見つけて、
ちょうど赤穂からそんなに離れてないので寄ってみることにした。
県道96号線を走って国道2号線に入り、しばらく西に走らせると大池の向かい側が山麓窯がある。
12時30分、ちょうど昼時ということもあってか駐車場はほぼ満車状態。
何とか車を止めてから歩いて展望所へ向かう。
ただ上空は日差しがあるものの赤穂で見た青い空はいつしか薄い雲が広がっていた。
夕方には雨の予報なのでもう青い空は見ることが出来ないのだろうか。



駐車場から10分ほど坂道を歩いていくと展望所に着くことが出来る。
車道はあるが私有地なので車で行くことは出来ない。
テレビのニュースで紹介していたとおり小高い山から見下ろす景色は確かに素晴らしく、
これで気象条件が整っていれば感動も大きかったに違いない。
今日は生憎の空なので記念に1カットのみ撮影。
西の空が開けているので朝が良いかもしれない。
背景は備前の街並みや新幹線が入るので工夫次第では面白い桜撮影が出来そうだった。



桜見学を済ませてせっかくなので備前焼を見学していると、
展望所からの桜風景の写真が飾ってあり、
窯元の煉瓦造りの煙突が入ってとても雰囲気のある写真だったが、
この写真がいつ撮ったものなのかわからないが、現状は桜の木が成長して煙突は見えなかった。
機会があれば今度は天気の良い午前中に訪れてみよう。


吉井川の菜の花〜岡山県長船町

14時00分頃、国道2号線を西に走らせている時にたまたま目に入った黄色い絨毯。
思わず立ち寄ってしまった。
何故か人間の背丈ほどある菜の花で普通に撮れば絨毯に見えないので、
こういう時のために約立つのが脚立。
何とか高い位置から黄色い絨毯になるように撮ることが出来た。
ここも気象条件が揃っていれば面白い絵になっていたかもしれないが、
特に平凡な構図しか思いつかなかったので1カットのみ撮影で切り上げた。






種松山〜岡山県倉敷市

夕方から雨の予報なら回復することも無いだろうからこのまま家に帰ろうかと西に車を走らせていた。
途中、コンビニで休憩がてらローカル雑誌で桜特集を見てみると、
背景に夕焼けが映った種松山の桜が掲載されており、
過去に一度だけ梅の時期に訪れたことがあったが、
その写真を見て西に開けているのかと思った。
そんなことを思いながら車を走らせていると何故か西の空が徐々に明るくなっていくではないか。
雨の予報なのに何故か雲が掃けていく気配を感じたので倉敷まで戻っていたが、
急遽進路を変えて種松山へ向かった。
正確なアクセスは把握していなかったが、鷲羽山スカイラインの北口からそのまま北の山道にあることは知っていたので、
とりあえず児島に向かって行けば走りなれた土地勘を頼りに何とか辿り着くはず。



県道275号線から案内板があったので15時30分、何とか着くことが出来た。
とは言っても種松山には山頂公園と西園地があり、何も知らないものだから山頂公園に行ってしまった。
実際、山頂公園に桜は無く何があるのかわからないまま西園地へ向かう。
着いた時は夕方に近い時間帯だったので人も少ないかと思ったが、
帰る客より来る客の方が多いんじゃないかと思うくらいの混雑具合で、
駐車場に止められない車が溢れていた。
確かに倉敷市内で子供たちを遊ばせる広場とお花見が両方揃った場所というのは珍しく、
地元の人からすればお花見といえば種松山なのかもしれない。
桜は既に散り始めてピークは過ぎていたが、
桜で山を染める光景は見応えがあるので数日前ならさぞかし感動していたに違いない。



西の空は徐々に回復して雲の隙間から太陽が顔を出し、
山の斜面に咲き誇る桜がオレンジ色に輝き出した。
種松山の桜がこれほど見事だとはまったく予想もしていなかったが、
考えてみれば岡山県南部の桜名所は近いこともあってあまり注目していなかったかもしれない。
水島の街並みや工場地帯を桜と一緒に見渡せる光景は中国地方を代表する桜名所といっても過言じゃないくらい素晴らしい。
空気も澄み切って遠く瀬戸内海も綺麗に見えて最高に良い気象条件へと変わっていき、
夜から雨の予報とは到底信じられないような上空の空が広がっていた。
結果的には桜のピークが過ぎていたのでいくら気象条件が良くてもさほど感動は無かったが、
今日の経験はきっといつか役に立つ日が来るはず。
太陽が沈んだ後、徐々に街や向上に灯かりが灯り始めた。
工場夜景として名高い水島コンビナートと桜を一緒に撮れると思って30分くらい粘ってみたが、
果たしてどんな写真になっているか。



今日1日桜巡りして思った事は、
もし桜が満開で1日中天気が良いと仮定して計画を立てるとすれば、
王子が岳、山麓窯、赤穂御崎、王子が岳、種松山という順番で巡ってみたい。
いつか実現する日を夢見て。




写真館 二千年一夜