富士山〜広島県吉舎町

元旦に初日の出を見ようと思うことは無いが、
この日は雪上がりの日の出が見れそうだったので標高の高い山頂で朝を迎えたかった。
いつか雲海と雪景と朝日を撮りたいと思い、
その条件が一番揃うのは高谷山であるが、
さすがに元旦は初日の出詣で混雑しそうなので、
吉舎にある富士山に行ってみることにした。
ちなみに富士山と書いて読みは(とみしやま)
富士山には雲海撮影で何度か訪れているがもうすっかりご無沙汰となっている。
ご無沙汰だがアクセスは吉舎町内から県道を入って案内板に沿って上がっていくと簡単に着く。
バンガロー施設などもあるので道路も広くて雲海スポットの中では比較的お手軽に見ることが出来るが、
どうしても近くに高谷山があるので知名度はさほど無い。


※夜間でも展望台付近に外灯が灯っているので助かる。
 星景撮影には向いてないかも。





現地に着いたのは6時頃で駐車場には車一台も止まっていないことから、
今日はバンガローの利用客もいないのだろう。
さすがに年末年始は閉まっているのかな。
施設は閉まっていても園内は自由に入れるので、
適当に車を止めて展望台を目指して遊歩道の階段を上がっていく。
昨日に比べると今日は世羅辺りから雪が積もっていたので雪雲は南下しているとすれば、
昨日じゃなくて今日、東城へ行けば良かったか。
それも考えたが昨日は昨日でそれなりに撮れ高があったので今日は吉舎を選んだが、
果たしてどうなるか・・・
吉舎町内は薄ら積もっていたがさすがに標高の高い駐車場まで来ると10cmほどの積雪があり、
さらに遊歩道は15cmのパウダースノーが積もっていた。



6時50分、展望台に到着すると上空は星や月が出ているものの東の空は雲に覆われ、
どこからともなく風に流れて雪が舞っている。
屋根付き展望台があるので雪が降ってもそこは撮影にさほど支障は無いが、
どうやら高谷山の方角が真っ白になっているのでそこから流れているのだろう。
もし高荷山へ行っていたらまず車から出られなかったかもしれないので、
やはり吉舎を選んだのは正解だった。
周りの木々も綺麗に着雪して白い花が咲いているように見える。
後は日の出が上がるのを待つのみ。
太陽が昇る方角が赤く染まっているのでまず間違いなしに日の出が見れるだろう。

今日は誰もいないまさに独り占めの景色を楽しもうと思っていたのだが、
時間が経つにつれて1組、また1組と徐々に人が増えてきた。
地元の人達、毎年ここで初日の出を見ている常連さんだろうか。
こんなマイナーでしかも雪が積もっているのに、
そこまでして初日の出を見たいのだろうか。
別に山へ上がらなくても日の出は見れるだろうに、
何とも不思議な話である。
まぁ考えてみれば自分もわざわざ山頂まで上がらなくても、
着雪している場所ならどこでも良かったのだが、
あわよくば雲海が出ればとほぼゼロの可能性をかけて上がってみただけの話。
最終的に15人ほど集まり、それなりに賑やかな感じになって来た。



今日は確実に日の出が見れると思ったのだが、
思いのほか厚い雲がとれず少し微妙な感じになってきた。
それでも上空の風が強いお蔭で刻一刻と状況は変わり、次第に薄ら朝焼けが出てきた。
太陽が上がる前に1構図だけシャッターを切る。
予定時刻から少し遅れて太陽が顔を出した。
ただ思ったほど太陽らしい太陽ではなく、どうやら雲に邪魔されて光が分散されている。
辺り一面雪に染まった木々をオレンジ色に照らしてくれる光景を想像したのだが、
何とも中途半端な初日の出。
何だか今年一年を象徴するかのような始まりとなった。

気付けば辺りは誰一人もいなくなり、ようやく360度の大パノラマを独り占め出来る。
少し粘れば太陽が雲から顔を出して幻想的な景色を作ってくれると思っていたのだが、
どうやら太陽はなかなか雲から姿を見せてくれず朝日のピークは過ぎてしまった。
雪雲は収まり周りの景色も随分見通しが良くなって高谷山も見えるほど回復。
もう少し粘れば良かったのかもしれないが寒さで足の感覚も危なくなってきたので下山を決めた。
上がる時は何とも思わなかったが、下るときはみんなが雪道を踏み固めているので滑りそうで怖かった。
駐車場付近の桜の木々が着雪で真っ白になっており、
今朝は相当の冷え込みだったのだと改めて思った。







七塚ヶ原のポプラ並木〜広島県庄原市

2日続けて早起きして疲れたので帰ろうかと思ったが、
せっかく積雪があるのに帰るのは勿体無いと思い、
少し足を延ばしてお気に入りのスポットである七塚ヶ原へ行ってみることにした。
北へ行けば行くほど積雪は深くなり期待度も高まっていく。



8時10分、七塚ヶ原のポプラ並木に到着。
ポプラには着雪していなかったが、周りの景色は一面銀世界で、
一部を切り取ると美瑛に来たかのように錯覚させられる。
曇っていた空も徐々に青空が見えてきて日差しが当たってきたのはまさに奇跡的だった。
本当に山の雪空は気まぐれで目まぐるしく変化していく。
ポプラ並木周辺は農場なのであまりウロウロ出来ないことから構図はほぼ決まってしまうが、
澄み切った青空と真っ白な雪が良い演出をしてくれた。
七塚ヶ原は何度も来ているが、
構図を探しながらひたすら美瑛の雪道を歩いた時のことを何となく思い出した。
決して美瑛のような広大さは無いが、どことなく雰囲気が似ているのかもしれない。
そう思うとまたいつか美瑛に行きたくなってきた。




灰塚ダム下流の桜並木〜広島県三良坂町

七塚ヶ原へ行く途中、桜並木が雪で真っ白に染まっている光景を目にしていたので、
帰りに寄ってみようと目を付けていた。
9時40分、桜並木に到着。
桜が咲く時期はもちろんのこと、以前勤めていた仕事の関係で何度も見ている見慣れた光景だが、
雪で染まる光景は初めて見た。
まさかこれほど綺麗なものだとは・・・というかここまで白く染まるとは思ってもみなかった。
これなら意外と1本桜もここまで白く染まると面白いかもしれない。
ただ桜のピンクは周りの景色と色を差別化出来るが、
周りの景色が雪で白いので何かしら工夫しないと同化してしまう。
あれやこれや考えたが特に案は浮かばず、
強いて言うなら日差しが当たった瞬間、
桜並木には日差しが当たるが背景は当たっていないので明暗差が出て同化はしなさそうだった。



雪で染まる桜なんてそう滅多に撮れるものではないので、
果たして撮影結果がどうなってるか楽しみであるが、
もし結果次第では1本桜を狙って行きたいと思う。
まさに1年に2シーズン桜を楽しめることになる。
現地調査を兼ねて近場の1本桜を撮りに行けないこともないが、
さすがにもうそれだけの体力は残っていないので今日はこのまま大人しく終了。


※灰塚ダム





写真館 二千年一夜