大佐山の雲海〜岡山県大佐町

東城の花火を撮影後、次の撮影地である大佐山へ向かう。
県を跨いで遠くないので明地峠でも行ってみようかと思ったが、
新見市内から片道20キロ以上もあるので止めた。
国道180号線から県道318号線経由が近そうだが、
道が狭く案内板も無いので、ここは無難に大回りして大佐町内から上がることにする。
県道58号線沿いに案内板があり、
分岐点ごとにも案内板があるので迷うことなく山頂まで行くことが出来ると思ったが、
灯かり1つない7キロの狭い山道はさすがに不安で山頂に着くまでドキドキながら進んでいった。

山頂に着いたのは24時になるかならないかくらい。
事前調査で見覚えのある建物や景色だが肝心の展望台が見当たらない。
山頂にある案内板も曖昧でよくわからず車で行ける範囲で探してみたやはりわからない。
レストハウス周辺も草木が生い茂っておりコロナ禍ということもあってあまり手入れをしていないのかもしれない。
外に出て調査をしようにも灯りが無いのであまり出歩く勇気も無く、
オマケに風が強くてはっきり言って1人で行動するにはかなり怖い。
まだ合併する前の大佐町では天文台やレストハウスなど流行っていたのかもしれないが、
案内板を見るといくつか無くなった施設もあるようで、
天文台があった場所は更地になっていた。
まさか展望台も既に撤去されたのでは・・・
とりあえず周辺が肉眼でも見えるくらい明るくなってから展望台を探してみることにした。
眼下に見える街灯りから霧は出ていないようだが果たして雲海は見れるのだろうか。

車の中でウトウトしながら4時にセットしておいたアラームで目が覚めた。
外に出てみると三日月の灯かりで周りの景色が少しだけ見えるようになり、
辺りを見渡してみると展望台があった。
来た時は暗くてわからなかったが確かに1ヵ所だけ砂利道のような坂道があり、
そこを上がっていけば展望台とパラグライダー基地のある広場になっていた。
来た時は展望台がわからず軽く混乱してしまったが、
答えがわかれば大したことでは無かった。







あれだけ強く吹いていた風も落ち着いているので早速、展望台へ上がってみると、
霧が各地に発生して見事な雲海になっているのが月灯りで確認出来た。
何故か大佐町内だけ霧が無く街灯りが見えるが、
そのうち霧に包まれるはずなので、その見え隠れする状況を写真に撮ることにした。
月が出ているので30分、20分と段階的に撮影。
さすがに4時を回ると微妙に東の空が明るくなり始めるので写真にどう写っているか、
実際に見た景色と違うので現像を見るのが楽しみである。
展望台の近くにあるハングライダーのテイクオフ場も視野が開けて大佐町内方面を眼下に望めて迫力のある雲海が撮れそうだが、
今回はさらに高い場所から360度どの角度からでも狙える展望台に絞って撮影することにした。
展望台の通路が狭いためカメラマンが数名でもいるものなら移動するだけで苦労しそうだが、
今日は幸いにも終始誰も来ることが無かったので助かった。
一応、螺旋階段を上がって2階と最上階という構造になっており、
撮りたい方角を狙おうと思えばせいぜい定員5、6人くらいだろうか。
そういう意味ではハングライダーの方が撮りやすいかもしれない。


※展望台の通路は狭い

今日は雲一つない見事な朝焼けが水蒸気に反射して広範囲に渡って赤く広がっていた。
そんな空の色が雲海に染まってとても綺麗。
大佐山の山頂が約900mあるので少々の霧が上昇したところで埋まることは無いが、
その分、雲海の迫力は少し欠ける。
大佐山周辺の山々もそれなりに標高があるのか一面が雲海になることは無く、
いくつもの山々が雲海から顔を出して例えで言うなら瀬戸内海のような感じ。
気になる大佐町は相変わらず霧に隠れたり隠れなかったり、
でもそれはそれで常に景色が変わっていく姿が面白い。
雲海撮影は太陽が上がるまでが前半だとしたら、
前半戦だけで十分楽しませてもらえた。


※大佐町から新見市内にかけて雲海が広がる


※こんなに雲海が大量発生してるのに何故か大佐町内だけ見え隠れ。


※この時期は大佐町の方角から太陽が上がる





6時08分、ちょうど大佐町の方角から太陽が上がり始めてしばらくすると景色は一変する。
所謂、後半戦が始まる。
ハレーションやフレアに気を付けながら変化していく雲海を楽しませてもらった。
東から西にかけていろんな角度で撮影は出来るが、
展望台からだとやはり大佐町内が眼下にあることから雲海が一番近くまで迫って見えるので、
他の方角に比べると東方面に集中して撮影していた。
太陽が上がる角度も考えればやはり今の時期がベストかもしれないが、
他の方角から昇ればそれはそれで違う景色が見れそうで気になる。
今日の雲海の様子だとかなり広範囲に発生しているようなので、
きっとどこへ行っても綺麗な雲海が見れたに違いない。
ある程度太陽が昇ると霧の動きも落ち着いてさほど変化の無い写真を撮っても仕方ないので、
7時頃に撮影は終了。


※大佐山の展望台は360度の大パノラマ。大佐町の反対側は高い山々で雲海は無い。

撮影を終えてもこの景色はもうしばらく見ていたい。
こんな景色を見ながら朝食が食べれたら最高なのに、
もっと施設を利用して観光に繋げれば良いと思うのだが、
このまま衰退していくのかと思うとあまりにも勿体無い。
撮影の手応えはそれなりにあったが、
機会があればまた訪れたい。
そう思わせるくらい本当に素晴らしい景色だった。








総社サプライズ花火〜岡山県総社市

今日は総社で花火撮影を予定しており大佐から国道180号線を南下すれば総社なのでそのまま直行出来るが、
特にすることも無いので一度家に戻ることにした。
そして総社に着いたのは18時頃。
高梁川をかかる県道80号線の橋の上流辺りが会場となっている。
サプライズ花火にしては意外と観覧客やカメラマンが多いように感じられるが、
さすがカメラマン人口の多い岡山だけあって横のつながりがあるのだろう。
昨日の東城もそうだったがこの時期に現地入り18時は既に太陽が山に隠れて筒場がわかりずらいので、
せめて17時までに来ておくべきだと改めて反省。
筒場を確認して対岸へ向かう予定だったが19時からの打ち上げということで、
あまり時間が無いことから対岸へ行くのは止めた。

実際に確認出来なかったがカメラマンの話によるとワイドに打ち上がるとのこと。
確かにワイドっぽいパイロ系の筒は確認出来た。
8号玉の筒場は左側の下流にあるのが見えたので、
後はどのくらいの距離でワイド演出するか、
もしかしたら距離が近すぎて広角レンズでも収まりきらないかもしれない。
そう考えて対岸での撮影を考えていたのだが、
とりあえず無難に正面附近から狙うことにした。



綺麗な夕暮れ空が広がる総社市上空。
18時30分頃に花火を打ち上げてくれたらトワイライトの空と花火が一緒に撮れるが、
なかなかそのような会場は少ない。
事前露光すれば良い話だが、それだとフィクションになるのでよほどのことが無い限りやらない。
19時00分、定刻通り花火が打ち上がる。
さすがに近すぎて完全に被りつきになってしまったが、
8号玉以外は普通に縦構図でカバー出来る。
ただ今日はワイドをメインで狙うつもりだったので前半は観覧を楽しもうと思っていたが、
意外と良い玉や面白い演出をしてくれるのでつい縦構図で撮影。
8号玉は3発打ち上がり、考えてみればここ最近で大玉らしい大玉といえば大崎上島の時くらいかな。
地方へ行けば大玉が上がっている現場もあるが、あまり遠出出来ないご時世でもあるので仕方ない。
たった3発だったがされど3発。
久しぶりに綺麗な大玉を見させてもらった。
そしていよいよ最後のプログラムであるワイド演出。
広角レンズをもってしても両サイドが収まり切れないワイド間隔で一体どのくらい幅を取っていたのだろうか。
さすがに両サイドは無理でも上部だけは何とか入るのでタイミングを合わせてシャッターを切っていく。
時間にして約5分弱くらいのワイド演出を近距離で見る迫力。
通常の花火大会ではまず有り得ない体験が出来るのもサプライズならではかもしれない。
岡山県のサプライズ花火は不思議とワイド演出が多くて、
通常の花火大会では珍しいのにサプライズだとワイドが多いというのは不思議な話である。

気付けば周りにはそれなりに人が多く集まっており、
花火が終わるといろんなところから拍手が沸き起こっていた。
みんなそれだけ花火を欲しているのだと改めて思った。
撮影に関しては距離が近すぎたこともあって散々な結果に終わってしまったが、
たまには撮影を抜きにして被りつきで体感するのも悪くない。
19時30分に終了したので早く家に戻れると思ったが、
まさかの大渋滞で県道80号線に出る数百メートルの距離に40分以上かかってしまった。
それにしても花火愛好家でもサプライズ花火の情報入手は難しいのに、
今日の花火は一体どこでみんな情報を入手したのだろうか。
家に戻って改めてネットやSNSで調べてみたが結局最後まで今日の花火が誰の何のための花火だったのかわからなかった。




写真館 二千年一夜