うへ山の棚田~兵庫県美方町

うへ山の棚田は以前から行ってみたかった棚田の1つで、
兵庫県内でまだ棚田百選を制覇していなかったこともあり、
今年のGWに今年こそ行こう!と気合が入っていたのだが、
棚田全域に水が張り終えるのがGW明けというので敢え無く断念。
何とかGW明けに行けないものかと調整していたが生憎の天気予報で半ば諦めかけていた。
ところが今年は例年になく梅雨入りが早まりそうで、
天気予報も日付が替わる度に週末の天気予報が雨マークから晴れマークへ変わっていた。
あまり遅いと苗が成長して綺麗な水鏡にならなくなるので遅くても今月中には訪れておきたい気持ちが焦り、
田植えが終わる頃である今週末に焦点を当てて計画を立てた。





出発当日の天気予報は晴れマークが付いていたが、
真っ白なGVP予想を見て絶望的だった。
ただ晴れのち雨の予報であれば、早朝は劇的な朝焼けの可能性もあるし、
仮にもし朝から天気が悪ければ滝でも撮って帰る第2プランも考えていたので、
これが僅かながら行く気力の源となった。

美方町も合併して香美町となったが、以前はよく余部鉄橋を撮りに行っていた。
今にしてみれば何故その時に、足を延ばしてうへ山の棚田を撮りに行かなかったのかが不思議でならない。
そんな余部鉄橋を撮りに行ってた頃は10年以上前で道路事情も随分と変わった。
ただいくら自動車道路が出来てもやはり但馬は遠いことには変わりない。
いくつか候補ルートがある中で当初、尾道松江道路、山陰道というルートを考えており、
距離は長いが鳥取まで安価で且つノーストップで行くことが出来るので体力的にも消耗は少ない。
ところが尾道松江道路が工事のため夜間通行止めとなるので敢え無く選択肢から外れた。
岡山道や北近畿道も候補にあったが高速代がかかってしまう。
それを考えると無料区間の山陰道か鳥取道を上手く使いたいところだが、
下道で山陰道まで行くにはリスクがあるので、
備前まで山陽道を走り、下道で佐用平福まで行き鳥取道に乗って鳥取を目指す。
このルートは以前、佐用で雲海を撮りに行った時と同じルートで経験済み。
備前までの高速代しかかからないので安価で済ませることが出来る。
河原インターで降りて若桜経由で行けば1時間30分で着くが、
夜中の狭い山道は無駄に体力を消耗するので、今回は岩美経由にした。
時間と体力に余裕があれば備前まで下道で行っても良かったが、
さすがに備前まで頑張っても2時間30分はかかるので、
今回は体力温存を考えて山陽道で備前まで行くことにした。



14日金曜日、22時30分に出発。
空は星1つ見えないくらい雲に覆われているがこれは想定内。
但馬方面に比べると広島県南部の明日は雨の予報になっているのでこれ以上の改善は見込めないだろう。
福山西から山陽道を東へ走り途中、瀬戸パーキングで深夜割引を適用させるための時間調整のため仮眠を取って、
日付が変わるタイミングを狙って備前インターを降りる。
国道2号線を東へ走り上郡から県道5号を走って国道373号を北上。
案内板を注意深く見れば迷うことなく佐用まで行くことが出来るが、
街中にも関わらず普通に野生のシカがいるのでスピードの出し過ぎには気を付けた方が良い。
佐用平福インターから鳥取道を走って鳥取インターで一度下道を走らないといけないのは面倒だが、
福部インターから山陰近畿自動車道を利用して岩美で降りる。
ちなみにこの山陰近畿自動車道も余部鉄橋に通ってた頃はちょうど工事中だったような気がするが、
今では浜坂から佐津まで開通している。
そのうち鳥取から豊岡まで全線開通するのだろう。
国道9号線を東へしばらく走り、香美町に入って国道482号線を南下すると今回の旅の目的地である小代地区となる。
岩美を過ぎると山の中へ入っていくので国道9号線を走りながら空の状況はどうだろう?と気になっていたが、
どうやら星が見えるので何とか朝焼けくらいは期待出来そうな気がしてきた。



国道482号線沿いにうへ山の棚田の案内板は無いので、
代わりに「吉滝キャンプ場」を目安に山道へ上がっていくと次の分岐点で「うへ山の棚田」の案内板がある。
出来れば国道沿いにあればわかりやすいのだが・・・
分岐点からしばらく山道を上がっていくと、うへ山の棚田に到着。
何人かカメラマンがいるだろうと思ったが既に10台ほどの車が止まっており、
星空の撮影をしていたのには驚いた。
そんなに星が出ているのか?と外に出てみると声が出ないくらい空一面に星空が広がっており、
出発前に見たGPVの予報から誰がこの星空が見れると思っただろうか。
久しぶりに星景撮影しても良かったが、
既に3時を回って東の上空に星があまり目立たなかったので今回は止めて大人しく車内で仮眠する。
4時になると周りの景色も肉眼で見えるくらいの明るさになったのでどこで撮るか辺りを散策。
少しでも立体感を出したいので向かって左側から見下ろす形で落ち着いたが、
どこから撮っても棚田の雰囲気が変わって見えるのが面白い。
ただ今日はカメラマンが多いこともあって、あまり自由に移動出来ないので、
今回は太陽が上がるまで大人しく同じ場所で撮影することにした。
時間が経つにつれて東の空が明るくなり良い感じのトワイライト感が出て来た。
期待していた劇的な朝焼けにはならなければ雲海も出なかったが、
程よい朝焼けが棚田に映り込んでくれたのは撮りたかった光景そのもの。
朝の風景は刻一刻と変わっていくので4時頃から撮影を開始。
ここの棚田は殆どの田んぼに水が張られて休耕田を探す方が難しいくらい潤っている。
ちょうど地元の学生による田植えも終わったようで殆どの田んぼで田植えが終わっているのではなかろうか。
太陽が上がれば苗が日差しに当たって綺麗なのだが、
道路上からの撮影が限界なのでどう頑張っても東方面に向けての構図しか撮れなかった。



太陽が山から顔を出したのは5時30分頃。
まさかこれほど眩しい太陽が見れるとは思ってもみなかったが、
澄み切った青空になっているのはもはや奇跡に近いかもしれない。
出発するまでは正直、行くのを断念しようかとも思ったが、
今回ほど来て良かったと思ったことは無い。
似たような構図ばかりかもしれないが、気付けば夢中でシャッターを切っていることに気付け、
フィルムもあまり予備を持って来てないのでキリの良いところで終了。
最終的に20人ほど集まっていたであろうカメラマンも気付けば殆どがいなくなっていた。
この場所を去るのが惜しいくらい美しい棚田の風景。
そんな風景も地元の人にとってはごく日常的なことなのかもしれないが、
朝早くから目の前の大きな田んぼの田植えの準備を行っていた。




西ヶ岡の棚田~兵庫県村岡町

うへ山の棚田撮影後、6時にして滝撮影をするには早すぎるので、
もう一つの棚田百選である西ヶ岡の棚田へ行ってみる。
1度国道9号線まで戻り、県道4号線を北上すると案内板があるので狭い山道を上がっていく。
6時30分、西ヶ岡の棚田に到着。
軽自動車が何とか走れるくらい狭い山道で何とか来れたが、
万が一、対向車が来たものなら泣きながらバックしなければならなかった。
駐車場が見当たらないのでどこか邪魔にならないところに車を止めようと先に進んでいるうちに行き止まりとなり、
そこが少し広い場所になっていたので車を止めて散策する。



うへ山の棚田と反対にここの棚田は西に向けて開けているので、
この時間帯でも棚田に日差しが当たっていなかった。
それなら早く来る必要は無かったが、
あと数十分もすれば太陽も山から顔を出すだろうと先ほどコンビニで買っておいた朝食を食べて時間潰し。
結局、朝食を食べ終わっても棚田に日差しは当たらず、
構図探しに散策しているうちに棚田に日差しが当たり始めたのは7時を回ってからだった。



過去の画像を見る限りでは休耕田は少ないと期待してたが、
実際は思った以上に休耕田が増えており、
まだ水が入っていない田んぼもありそうなので最終的にどのくらい稼働しているのかわからないが、
タイミングとしては少し早すぎたのかもしれない。
眼下に見える町並みと一緒に棚田を撮りたかったが、
試行錯誤しながらも思うような構図が見つからなかったのは心残りとなった。
それにしても何故か風が強くて、山の天気は変わりやすいというが、
澄み切った青空もあっという間に曇空へと変わっていくのだろうか。




久津山天の滝~兵庫県村岡町

西ヶ岡の棚田を下って県道4号線を北上すると滝がある。
時間帯的に早いと思ったが回る件数が多いのでとりあえず近くにあるので行ってみた。
案内板に気を付けながら走っていたつもりだったが、
県道550号線の分岐点まで来て行き過ぎてしまった。
Uターンして再び注意深く走っていくと案内板が倒れていたので気付かなかった。
8時00分、秋と違って日の出時刻が早いのでこの時間帯でも渓谷は意外と明るかった。
約190mの遊歩道にいくつかの菩薩が祀られており、
どことなく信仰的な場所なのだと思ったが、
遊歩道のあちこち、そして滝の周囲にも折れ木が目立ち、
これではとてもじゃないが撮影する気分になれなかった。
小ぶりながら綺麗な滝なので管理されている方がおられるのなら、
せめて滝周辺だけでも撤去を願いたい。




神鍋渓谷~兵庫県日高町

国道482号線を豊岡方面に走り長い蘇武トンネルを潜ってすぐ左折して山道を進んでいくと神鍋渓谷となる。
8時40分、渓谷に到着したが思っていたような渓谷の雰囲気では無く、すっかり観光地となっているように見えた。
渓谷内には二ヵ所滝があるので最初に一ツ滝へと向かう。
車を止めて5分ほど遊歩道を歩いていくと一ツ滝が見える。
この時間帯にして滝に日差しが当たって周辺の新緑が綺麗だった。
ただあまりにも明暗が強く写真を撮る条件としては厳しいので欲を言えば曇っていて欲しかった。



さらに上流に行ったところに二ツ滝があり、
道は良くないが一応、車で近くまで行くことが出来て、
同じく遊歩道を5分ほど下っていくと二ツ滝へが見える。
一ツ滝と似たような形状だが二ツ滝の方が迫力があって美しい。
9時00分、滝の周辺が開けているせいもあって滝やその周辺に日差しが当たってとても心地良い。
これだけ晴れた日の中での滝撮影は久しぶりだったので、
どうやって撮れば良いのか思い出すのに時間がかかった。



神鍋渓谷の中に水没林があることを知って密かに楽しみにしていたが、
残念ながら水が干上がっていた。
田植えのシーズンなので水門を開いて水が溜まっていなかったとしたら訪れるタイミングが悪かった。
これだけ新緑が綺麗なら秋の紅葉もきっと綺麗に違いないので機会があれば秋にも訪れてみよう。







八反の滝~兵庫県日高町

喉かな風景が広がる国道482号線を南に下っていくと旧日高町内に入りお目当ての滝がある。
最初、二段滝に行ってみたが思ったほど感動しなかったので見学のみ。
そこで初めて知ったがどうやらこの周辺には神鍋溶岩流により出来た滝や淵がいくつもあり、
二段滝もそのうちの1つであった。
さすがに全部回るには1日がかりになるのでその中で一際迫力のありそうな八反の滝へ向かう。
どのスポットにも案内板があるので道に迷うことも無ければ、
国道沿いということもあって気軽に散策出来る。
遊歩道も以前はさほど整備されていなかったのかもしれないが、
手摺なども新設されて観光として力を入れているのかもしれない。



9時50分、八反の滝に到着。
と言っても、駐車場から急な階段を下って行かなければならないが、
駐車場からも展望所として見学出来るので体力に自信の無い人でも遠目に新緑に囲まれた滝を見ることが出来る。
急な階段と言っても綺麗に整備されて手摺まであるのでさほど苦にはならなかった。
落差約24mある直瀑で大きな滝壺が特徴の見事な滝である。
ただ先ほどの二段滝の時にも思ったが水がかなり濁っている。
これは田植えの時期だからなのかどうかはわからないが、
せっかくの迫力ある滝壺もこれでは台無しだ。
新緑が綺麗ならきっと秋の紅葉も綺麗なはずなので、
ますます秋の紅葉シーズンに行きたくなってきた。
いろんな角度から撮れるがそれは次の時に撮っておいて、
今回は1ヵ所に絞ってシャッターを切った。



豊岡市、特に日高町は標高が高くスキー場やホテルがあって云わばここは観光地。
藤の花もあちこちで見かけるので沿岸部に比べると四季が1週間遅れている。
中国地方でいうなら芸北や蒜山と雰囲気が似ており、
本来なら観光客で賑わっていても良いはずだが、
時期が時期なので殆ど人の姿も見かけなければ店も閉店していた。


別宮の棚田~兵庫県関宮町

八反の滝を撮影し終えた時点でまだ10時過ぎだったこともあり、
かなり時間に余裕があった。
晴天が続いているので再びうへ山の棚田に戻りたい気持ちもあったが、
せっかくなので別宮の棚田へ足を延ばして行ってみることにした。
別宮の棚田は日本の棚田百選ではないがカメラマンの間では人気のある棚田で、
真夜中に大勢のカメラマンが星を撮りに訪れるらしい。
行く予定は無かったが事前調査で場所を調べていたお蔭もあって記憶を頼りに現地へ向かった。



国道9号線まで戻り道なりに下っていくと道の駅ハチ北があるので、
それを目印に県道269号を入っていく。
棚田への案内板が無いがハチ北スキー場の途中にあるので道に迷うことはまず無いと思う。
11時00分、別宮の棚田に到着。
それなりに標高の高さを感じる場所に滑らかな形状を利用して田畑を切り開いている。
1枚1枚の畑が大きいのでさほど立体感はあまり感じられないが、
視野が開けているので空の条件によっては水鏡になってカメラマンに人気があるのもわかる気がする。
ただあくまで主役は水鏡であって棚田では無い。
殆どの田んぼに水が張られて今も田植えを行っている最中だったが、
残念ながら休耕田も見られて完全なる水鏡は以前の話。
おまけに向かいに見える山が崩れて痛々しい。
通りがかる人は立ち止まって綺麗と言っていたが、
正直言ってさほど感動は無かったのは、うへ山の棚田を見た後だったからかもしれない。
せっかく来たので何カットか撮影してみたが、
完全に水が張られた状態の棚田を見てみたかった。


猿尾滝~兵庫県村岡町

国道9号線から県道267号線を少し入ったところに日本の滝百選の猿尾滝がある。
11時40分、駐車場に到着。
滝百選ということもあって駐車場もトイレも完備。
閉店しているが売店らしき建物もあった。
本来ならここも観光客で賑わう名所なのかもしれないが、
今日は数人ほどしか見かけず閑散としていた。
遊歩道を少し歩いたところに滝があり難所らしきところが無いのも滝百選の良い所。
二段からなる滝は下から全体を見上げる構図と、
中段から見上げる構図の二ヵ所から見学が出来る。
ちょうど太陽がトップ光ということもあって、
滝全体に日差しが当たり水飛沫も輝いてとても綺麗だったが逆光で撮影に苦労した。
14時くらいに虹が出るかもしれないとのことなので、
時間帯としては午後から来た方が良かったかもしれない。



今年の冬は2週連続の寒波が来て各地の滝が凍ったニュースが出ていたが、
猿尾滝も氷瀑した記事が駐車場に張り出されていた。
アクセスも遊歩道もさほど危険な個所は無いので機会があれば氷瀑を狙ってみたい。



猿尾滝から少し北に行った県道259号線沿いに女郎滝があるが、
ここは道路沿いにあるので簡単に着くことが出来る。
ただ単調な直瀑であまり魅力が感じられず見学のみ。




双身の滝~兵庫県村岡町

村岡高校から県道135号線に入り県道89号線を南へ行くと瀞川渓谷があり双身の滝を目指す。
稲荷神社に車を止めて行くのが正規のルートだが、
狭い砂利道を上がって行くと滝の遊歩道まで行くことが出来る。



13時20分、双身の滝までの道のりは2通りあり川沿いと山道のどちらでも行けるが距離はさほど変わらず10分ほどで辿り着く。
落差は無いが二手に落ちる爽快ある滝であり、
正面と側面の2構図で狙ってみる。
13時40分頃だったが既に上空に青空は無くなり天気予報通り午後から雲の広がる天気になっていた。
風が強いのも不気味だが何よりクマの生息地域で誰一人とも合わない山奥でアクシデントがあれば一貫の終わり。
早々に撮影を切り上げて、その奥に瀞川滝があったがアクセスが困難だったので泣く泣く引き返すことにした。



最後にうへ山の棚田へ寄るつもりだったが青空も日差しも無くなったので止めて、
せっかくなので猿壺の滝へ行ってみようと狭い林道を走らせていたが、
途中でガソリンの底を尽きそうだったので引き返した。
但馬の魅力ある滝はまだまだたくさんあるので機会があればまた力を入れて計画したいと思う。
帰りは雨の中、米子から日南、庄原経由で帰ってみたが、
結果的に交通費がかからない節約ルートであるが雨の中で疲労のせいもあってか物凄く距離が長く感じた。


※霧ヶ滝の遊歩道入り口に綺麗な駐車場が完備。

~今後の参考のためのまとめ~

・福山西ー岩美(尾道松江線、山陰道経由)
 275キロ、4時間20分
 距離も時間もかかるが安価

・福山西ー岩美(岡山、鳥取道経由)
 260キロ 3時間30分
 距離も時間も短いが高速代が高い

・福山西ー備前
 110キロ、1時間10分、
 備前ー佐用平福
 45キロ、1時間20分
 佐用平福ー岩美
 75キロ、1時間
 合計230キロ 3時間30分
 道に迷わなければ距離、時間、高速代どれも平均的

・三良坂、庄原、米子経由~岩美
 260キロ
 高速代はかからないが気力体力が必要

※岩美ーうへ山
 約40キロ、約1時間


備前、佐用、若桜経由
合計260キロ
距離は短縮されるが狭い山道

備前、岩美経由
合計270キロ
大回りになるが普通に走りやすくコンビニなどもある

・福山西ー養父、うへ山(北近畿道ルート)
230キロ(2時間30分)、40キロ 合計270キロ
距離、時間ともに一番の最短。高速代は最も高い




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